三島由紀夫の初心者に読んでほしい 生誕100年で知る文豪の“静の顔”

2025.07.02 07:00
友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 「文喫 六本木」副店長の濱中諒太朗さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。「真夏の死」/三島由紀夫
今年は三島由紀夫の生誕100年になります。死と美、肉体と精神、そして伝統と近代。鋭利な言葉で数々のテーマを突き詰めた彼の作品群は、今なお読み継がれ、再解釈が繰り返されています。三島由紀夫をこれから読む人に勧めたい一冊が、三島由紀夫の自選短編集『真夏の死』です。
表題作『真夏の死』では、死が突如として日常に滑り込んでくる感覚が、美しくも不穏な筆致で描かれます。死が起点となり引き起こされる感情の微細な変化の数々が、読み終えたあとで胸に余韻を残す短編です。
三島由紀夫というと、その生き様を含めて力強い印象を受けますが、本短編集ではむしろ“静かな怖さ”や“日常に潜む断絶”といった繊細さを感じます。事件が起きるわけでもないのに、ページを閉じたあとに心がざらりとする。そんな感覚こそ、大人の読書の醍醐味かもしれません。
美や死、感情の機微といった三島由紀夫の主題が、長編とはまた違った形で、むしろ生々しく息づいています。100年という節目の今こそ、三島由紀夫の“静かな顔”と向き合ってみる絶好の機会です。
「真夏の死」三島由紀夫(新潮文庫)/¥825(税込)
COOPERATION
文喫 六本木 副店長/ブックディレクター 濱中諒太朗
2020年日本出版販売入社。企業内ライブラリーや商業施設のブックディレクションを手掛け、2023年より文喫 副店長として企画選書や展示など、本のある空間プロデュースを行う。好きなお菓子はギンビスのアスパラガス。
  文喫 六本木
文化を喫する、入場料のある本屋。人文科学や自然科学からデザイン・アートまで約3万冊の書籍を販売している。閲覧室や研究室、喫茶室を併設し、企画展も定期的に開催。普段あまり出会うことのない新たな興味の入り口となっている。
住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
営業時間:9:00~20:00(L.O. 19:30)/不定休
https://bunkitsu.jp/
Edit : Hiroto Goda

あわせて読みたい

オトナが童心に帰る“鉄ちゃんの隠れ家” 祐天寺のカレー屋は夢を作る
BRUDER
【新刊】『三島由紀夫 神になった男』発売! 一部はネットで多くの人に読まれ、最高傑作と称され、四半世紀に渡る「行動者 三島由紀夫」ブームを牽引しながらも、封印されていた「三島と楯の会の真実」の書籍化
PR TIMES
大人気のMAMBOエコバッグに新作が登場!
PR TIMES Topics
留守中の「大どろぼう」の家に忍び込む? PLAY! MUSEUMで「大どろぼうの家」展が開催。
美術手帖
【ウルフの美容道vol.57】TEAM Men’s VOCEとして改めて自己紹介〜GHEE&HIROTO〜
VOCE
菊家のロングセラー商品「ぷりんどら」にカカオ香る「ショコラ」が新登場
PR TIMES Topics
原爆の本当の恐怖とは 戦後80年で「黒い雨」と向き合う
BRUDER
本当にあった四代証券会社の廃業 経済の勉強を小説で
BRUDER
【富士見パノラマリゾート】夏でも涼しく快適な「犬連れ避暑旅」
PR TIMES Topics
本屋「文喫」がBS朝日「バトンタッチ SDGsはじめてます」と初コラボ! “SDGsに取り組む人々”をテーマにした特設コーナーを「文喫 六本木」にて2025年6月18日(水)より展開
PR TIMES
文喫 六本木、いきものがかり 水野良樹による「HIROBA」とのコラボ企画展を2025年8月9日(土)より開催
PR TIMES
秋の味覚をひと足先に!タンテ・アニーより「栗のフレッシュチーズケーキ」数量限定発売
PR TIMES Topics
「文喫」史上最大規模の新旗艦店『BUNKITSU TOKYO』オープン記念!文喫 六本木・栄・福岡天神にて6月1日よりキャンペーン開催
PR TIMES
店舗面積1,000坪超!「文喫(ぶんきつ)」史上最大規模の新旗艦店『BUNKITSU TOKYO(ブンキツ トーキョー)』2025年9月12日開業 ニュウマン高輪にオープン決定
PR TIMES
【Minimal】夏季限定「カカオ80%で実現した驚きのフルーティなチョコレート」
PR TIMES Topics
永劫回帰に横たわる虚無三島由紀夫生誕100年=昭和100年
Premium Japan
「三島由紀夫生誕100年=昭和100年 『豊饒の海』 永劫回帰に横たわる虚無展」(GYRE GALLERY)開幕レポート。三島由紀夫と「虚無」の時代を見つめて
美術手帖
「家の中でも、本物の履き心地を」日常生活の質を高めるルームシューズ
PR TIMES Topics
三島由紀夫生誕100年…激動の時代に放つ「問いかけ」とは
radiko news
三島由紀夫をテーマとした現代美術作家展@GYRE GALLERY(東京・表参道)
Numero TOKYO
【ゴールデンコンセプト】旅先でも、視線を奪うゴールドの輝き
PR TIMES Topics