東京檜原村の築400年古民家&フィールドに息吹を。みんなの「学び舎」をつくろう!

2024.12.19 00:05
東京・檜原村にある築400年の古民家と、その周辺の広大なフィールドを、衣食住など、生きるために必要なものを自分たちの手でつくりながら、遊び学べる場所にしていきます。今回は、地域にあるものを使い、メンバーの手でつくるトイレとシャワーを新設するためにクラウドファンディングを行います。
はじめまして。「東京・檜原村の築400年の古民家&フィールドに、学び舎として新たな息を吹き込む」、息吹プロジェクト発起人の渡部由佳と申します。
私は2020年に家族で東京本土唯一の村・檜原村(ひのはらむら)に移住し、自然体験イベントや探究学習プログラムの企画・運営を行ってきました。そして昨年、縁あって村内にある築400年の古民家と、その周辺の広大なフィールドを所有することになりました。
このフィールドを、衣食住など、生きるために必要なものを自分たちの手でつくりながら、遊び学べる場所にしたい! そして、集まった人たちと拡張家族のようなゆるやかな関係性を築きながら、みんなのアイデアをどんどん形にして、面白いフィールドに育てていきたい! そんな想いから、仲間たちと「息吹プロジェクト」を立ち上げました。

息吹プロジェクトではこれまで、親子向けの週末型スクールやワークショップを通じて、かまどや囲炉裏を使った料理体験や、階段・ベンチ・ファイヤーピットなどの設備づくり、そして川や山道の整備など、プロの講師も招きつつ多様な体験を提供してきました。
また、メンバー一人ひとりが養蜂や五右衛門風呂づくり、蔵書室の開設など、興味に応じて大小さまざまなプロジェクトを発足させ、それぞれの「やってみたい」を形にしながら、フィールドを少しずつ育ててきました。
しかし現状では、広大なフィールドの持つポテンシャルを、まだまだ活かしきれていません。
私たちが所有する土地は5,500平米以上で、敷地内には古民家のほか、耕作放棄地や500年以上の歴史を持つ古道、天然の森や川も含まれています。耕作放棄地をフードフォレストにしたり、森の中にツリーハウスを建てたり、川のそばにウッドデッキを設置したりと、少し考えただけでもできることは無限大です。


そこで今回、クラウドファンディングを通じて「資金」と「新たな仲間」を募り、フィールドのインフラ整備を進めることで、この場所をより多くの方々が遊び、学べる空間に進化させていきたいと考えています。
私たちのフィールドのシンボルである大きな古民家は、江戸時代に建てられ、かつては代官の休憩所としても使われていた歴史ある建物です。その後はお蕎麦屋さんとして長年親しまれ、テレビ番組『ポツンと一軒家』(ABCテレビ)で特集されたことをきっかけに、細い山道に渋滞が起きるほどの人気を博していました。しかし数年前にお蕎麦屋さんが閉店して以来、空き家となっていました。
少しずつ荒れていく古民家とその周辺のフィールドを眺めながら、「あの古民家を守れないかなぁ……」と考えていた私たち。その思いが通じたのか、驚くことに文化財レベルのこの古民家とのご縁が、ある日私たちのもとに巡ってきました。
400年以上にわたり歴史と文化を紡いできたこの家を守り、次世代に引き継ぎたい──そんな思いから古民家を購入し、「紬(つむぎ)」と名付けました。また思いがけず、紬の周りの広大なフィールドも同時に手に入れることができました。
私たちがこれまで展開してきた活動には、「探究学習」と「環境再生」という二つの大きな軸があります。
自然の中で遊んで「楽しかった!」と感じるだけでなく、自分なりの問いや好奇心を育んでほしい。そして五感や観察力を磨き、自分なりに表現する力を身につけてほしい。そんな思いのもと、探究学習の第一人者とも呼ばれる市川力さんと共に「Feel度Walk(※1)」や「知図づくり(※2)」など、大人も子どもも楽しめる探究学習の要素が充実したプログラムをつくり、実施してきました。
(※1)Feel度Walkとは、当てもなく歩きながら気になるモノやコトをひたすら追いかけ、集め、記録すること。市川力さんが考案した、身の回りのモノやコトへの感度を高める歩き方。(※2)知図とは、日常のなかで見つけた面白いモノやコトを記録するために描く絵のことで、Feel度Walkと同じく市川力さんが考案したワーク。


また、自然体験には心身のリラックスや環境意識の芽生えなど人にとってのメリットはたくさんある一方で、多くの人が山や川に入ることで意図せず自然環境に負の影響を与えてしまう、という側面があることも否めません。そこで私たちは、大地の再生士(※3)・佐藤俊さんを講師に招き、環境再生の視点を取り入れたプログラムを実施することで、楽しみながらも自然がより元気になっていく──そんな好循環を生み出すことを目指してきました。
佐藤さんと共に環境整備を進めてきた結果、土中環境が改善されてフィールドの水はけが良くなったり、踏み固められて植物が生えていなかったエリアに草が生え始めたりと、この1年間で目に見える変化も現れ始めています。
(※3)大地の再生とは、地中の空気と水の循環を回復させることによって環境を再生する手法のこと。
そしてこのほど、現地の素材を使い、アフリカをはじめとする世界各地で、現地の人たちと協力して家を建てる「セルフビルド建築」を手がけてきた建築家・安田治文さんが、新たに息吹プロジェクトの仲間に加わってくれました。
「探究学習」と「環境再生」の二軸は引き続き大切にしつつ、今後は安田さんの力を借りて、これまでは手がつけられなかったトイレやシャワーなどのインフラ整備や、ウッドデッキやサウナなどの建築物の制作にも、ワークショップ形式で多くの人を巻き込みながら取り組んでいきたいと考えています。
しかし、そうしたインフラ整備には、材料費をはじめとする多額の費用や施工のための多くの人手など、多くのものが必要となります。そのため今回、クラウドファンディングを通じて資金と新たな仲間を募ることを決断しました。
かつて檜原村では、ゾウヤマと呼ばれる共有林から伐り出した木を原料とした「炭焼き」が盛んに行われていました。五日市方面へ向かう尾根道に位置する「紬」は、焼いた炭を運ぶ馬の休憩所になったり、炭問屋の任を負っていたこともあるといいます。
そこから着想を得て安田さんが考案したのが、「炭蔵(すみぐら)トイレ」。壁に木炭を積み上げ、檜原村の原風景である「炭蔵」を思い起こさせる建屋をつくり、トイレとシャワーを設置したいと考えています。
もちろん材料には檜原村にあるものを使います。屋根には、各地で利活用が課題となっている竹を使います。建屋を支える構造体の丸太も檜原村の木材を使い、その間に「蛇篭(じゃかご)壁」をつくります。
蛇篭壁とは、構造体の間に竹や鉄線でカゴを編み、その隙間に石などを詰め込んでいく伝統的な森林土木工法です。通気性が高いため湿気や匂いの対策になり、また隙間が生じるため生木で構造体を組んでも伸縮に耐えられます。
石をつめた蛇篭壁。今回は木炭を中心に詰めて、「炭蔵」を再現します。
今回は蛇篭壁に「木炭」を詰めていき、「炭蔵」を作り上げます。
浄化槽には、微生物の力で分解・浄化する「あうんユニット」を使用し、そこで得られる液肥を畑で利用する予定です。また使用する水は、紬のフィールド内のアロマオイル工房から、その制作過程で発生する水を再利用(※4)。もしかしたら、シャワーから微かにアロマの香りがするかもしれません。
(※4)檜原村の林業会社「株式会社東京チェンソーズ」が操業。未利用の部材を活用して、アロマオイルを抽出します。
炭蔵トイレのイメージ
「あるもの」を使って、「みんなでつくる」のが安田さんのセルフビルド。竹屋根も、丸太の構造体も、蛇篭の壁も、プロジェクトメンバーみんなの手でつくっていきます。
この「みんなで」ということこそ、私たちが息吹プロジェクトで大切にしたいと考えているポイントです。
古民家「紬」を囲むこのフィールドで私たちが見たいのは、おとなも子どもも、体力のある人も、遊ぶのが得意な人も、それぞれの思いを持ち寄って場を整え、人も自然も喜んでいる景色です。
教え合い、支え合い、いっしょにごはんを食べたりお酒を酌み交わしたり、季節の移ろいを感じたりする、愛すべき記憶の共有です。
ぜひみなさんも、「新しい仲間」として、プロジェクトメンバーとして参加しませんか。
今回は息吹プロジェクトに関わりはじめていただけるよう、ワークショップというかたちのリターンを用意しました。
ちきゅうのがっこう<おとな・学び編> 全5回受講チケット(オンライン)
「トイレ」をテーマに、全5回のオンライン講座を実施します。トイレづくりは環境再生の第一歩。大地の再生流「風の縄文トイレ」や、現地適正技術を用いた参加型建設手法を用いた「炭蔵トイレ」など、トイレを通して環境再生を座学で学んでいきます。
※2025年4月~5月に開催(詳細日程は追って公開します)。
※檜原村で実際の施工方法を学びたい方は、<実践編・縄文トイレワークショップ>や<炭蔵トイレワークショップ>の追加支援をお勧めします。 
ちきゅうのがっこう<おとな・実践編> 縄文トイレワークショップ参加チケット
2025年5月17日(土)~18日(日)、1泊2日で、大地の再生士・佐藤俊さんを招き、古民家周辺のフィールドに「風の縄文トイレ」をつくり上げます。風の通り道を探して、そこに穴と溝を掘り、落ち葉や炭を入れていく。とてもシンプルな構造ですが、驚くほど臭いがなく、心地いい空間になります。
※<学び編>を受けていなくても受講できます。 
※現地までの交通費、食費はチケットに含まれません。
※送迎あり(武蔵五日市駅から)、お子様連れ可。
※風の縄文トイレとは?参考ページ:
炭蔵トイレづくりワークショップ参加チケット 
2025年6月~8月に開催する、炭蔵トイレづくりのワークショップ(①竹屋根、②丸太の構造体、③蛇篭壁)に参加いただけます。チケットには、フリー参加券、1日参加券、【学生限定】フリー参加券があります。
※6/14-15、7/20、8/24を予定。施工の進捗によって日程変更がある旨、ご了承ください。
※現地までの交通費、食費はチケットに含まれません。
※送迎あり(武蔵五日市駅から)、お子様連れ可。
ちきゅうのがっこう<親子編>2025年前期(2025/5~2025/9)
テーマは【探究×環境再生!人の道、水の道を整える(古甲州道・瀬戸沢の整備)】 
家族で集い、大人も子どもも四季の巡りを体感しながらともに成長する年間プログラム。「Feel 度 Walk」や「環境再生」を通して、森の中で四季おりおりの体験を楽しみます。 
※日程:5/4、6/8、7/13、8/17~19(2泊3日サマースクール)、9/14
※プログラム詳細は
をご参照ください。
※宿泊はキャンプ場を利用いただきます。
※送迎あり(武蔵五日市駅から)
ちきゅうのがっこう<親子編>2025年後期(2025/10~2026/4)
テーマは【探究×環境再生!フードフォレストをつくろう!】 
家族で集い、大人も子どもも四季の巡りを体感しながらともに成長する年間プログラム。「Feel 度 Walk」や「環境再生」を通して、森の中で四季おりおりの体験を楽しみます。
※日程:10/12、11/9、12/14、3/29、4/12
※プログラム詳細は
をご参照ください。
※送迎あり(武蔵五日市駅から)


ワークショップ参加者には、学びを支え合うオンライングループをご用意し、ワークショップの事前告知や作業の進捗共有などを行います。そこからさらに、実践している人同士の仲間探しや情報交換などの場に発展していけたらと思っています。
佐藤俊さんはじめ大地の再生に関わる人たちが大事にしている要素のひとつに、「結(ゆい)」の精神があります。みんなで力を出し合い、ささやかな結の作業を重ねながら、紬を中心とした人と自然に、息吹を吹き込んでいきましょう。
息吹プロジェクトは、一度つくって終わりではありません。
環境整備をした場に草木が芽吹いたり、濁っていた川が見違えるほど透明になったり、紬は通うほどに新しい顔を見せてくれます。「炭蔵トイレ」の竹屋根は数年ごとにメンテナンスが必要ですが、葺き替えのときにみんなと集うことがいまから楽しみです。あうんユニットや風の縄文トイレによって、人が出す有機物を土中に還すことで、耕作放棄地も畑やフードフォレストへと生まれ変わっていくことでしょう。
みんなの学び舎として育ち続ける「紬」を、ぜひ一緒に見守っていきませんか。    
今回のクラウドファンディングを通して、プロジェクトを応援してくれる人、参加してくれる人が、この先の紬を気軽に見守りに来てもらえるように、私たちは紬周辺のフィールドを1日1組限定のプライベートキャンプ場としても運営していきます。
週末に家族や仲間と過ごしたい方、企業や団体での学びの場とされたい方、自然に囲まれて自分自身と向き合う時間を持ちたい方、思い思いのひと時を過ごしていただけます。
1日1組限定 プライベートキャンプ場 宿泊券(1泊2日・定員10名まで)
古民家「紬」を望むキャンプフィールドをご利用いただけます。 定員10名/管理人在駐/基本的に土日祝利用(平日は応相談) 
※フィールド内でのテント泊となります。古民家の利用には別途費用をいただきます。
※炭蔵トイレ(シャワー含む)施工前は、水洗トイレとシャワーはありません。汲み取り式トイレまたは縄文トイレをご利用いただきます。
古民家「紬」・蔵書室「とうげ」イベント利用券<1日>
古民家「紬」と蔵書室「とうげ」を、イベント等の会場として利用いただけます。
※定員30~50人/管理人在駐/平日利用OK 
※周辺案内や自然体験などのオプションは別途費用をいただきます。
※炭蔵トイレ(シャワー含む)施工前は、水洗トイレとシャワーはありません。汲み取り式トイレまたは縄文トイレをご利用いただきます。
古民家「紬」・蔵書室「とうげ」イベント利用券<1泊2日>
古民家「紬」と蔵書室「とうげ」を、イベント等の会場として利用いただけます。 
※定員30人/管理人在駐/平日利用OK 
※周辺案内や自然体験などのオプションは別途費用をいただきます。
※炭蔵トイレ(シャワー含む)施工前は、水洗トイレとシャワーはありません。汲み取り式トイレまたは縄文トイレをご利用いただきます。
※宿泊はキャンプ場を利用いただきます。
息吹プロジェクトでは今回、クラウドファンディングで集まった資金やつながりをもとに「炭蔵トイレ」をはじめとした基本的なインフラ整備を行いますが、これがゴールでは決してありません。
一度でも紬に関わってくださった皆さんには、今後も仲間として、この場所を存分に活用してもらいたいと思っています。なぜなら、紬は私たちだけでは到底手に負えないほどの大きな可能性を持っているからです。
紬を手に入れてからの約1年間で、いろんな人が仲間に加わり、様々なプロジェクトが動き始めました。キャンプが好きで、フィールドの一部をキャンプ場としてオープンしようと奔走する人。フィールドの目の前を走る、500年以上の歴史を持つ甲州古道の整備に取り組む人。耕作放棄地に食べられる植物や果樹を植え、「フードフォレスト」をつくりたいと構想を練る人……。
しかしこうしたプロジェクトをすべて並べても、紬のフィールドにはまだまだ余白があります。
紬には、もっと多くの人たちの「やりたい」を受け入れる器があるんです。
だからこそ、今回のクラウドファンディングは、お金だけでなく、仲間も募りたい。これを読んでくれているあなたにも、ご自身のやりたいことを持ち込み、実現する仲間に加わってほしいのです。
400年以上の歴史を紡いできたこのフィールドで、一人ひとりの「やりたい」を形にしながら、フィールドをさらに心地よい場所に育て、100年、200年先へとつないでいく。クラウドファンディングを通じて、そんな仲間と出会えることを、楽しみにしています!
リターンは、ワークショップやイベントへの参加チケットや、プライベートキャンプ利用券をはじめ、各種ご用意しています。「ただただ応援券」で支援いただくと、息吹プロジェクトオリジナル焼き印入りの木札をお送りします。ご自身でお名前を記入いただき、「紬」に来たときには、ぜひ玄関口にかけてみてください。
玄関口には、先代オーナーが記した古民家の由来があります。
この下に、応援いただいたみなさんの木札が並んでいきます。
2025年4月 リターン品発送
2025年4月~5月 ちきゅうのがっこう<おとな・学び編>(全5回・オンライン)
2025年5月17-18日 ちきゅうのがっこう<おとな・実践編> 風の縄文トイレづくり
2025年5月~9月 ちきゅうのがっこう<親子編・前期>
2025年6月~8月(予定) 炭蔵トイレ施工
2025年10月~2026年4月 ちきゅうのがっこう<親子編・後期>
・炭蔵トイレ施工費 250万円 
・環境再生、キャンプフィールド整備費 50万円
・オンラインスクール運営費(ちきゅうのがっこう大人編) 20万円
・ワークショップ運営費(炭蔵トイレ、縄文トイレ) 30万円
・リターン制作、発送費 10万円
 合計 340万円

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