村瀬鞄行の技術力と和デザインが融合した「甲冑ランドセル」。老舗の工房が革新的ランドセルへ挑戦する理由とは

2024.12.12 15:00
株式会社村瀬鞄行は1957年の創業以来、通学に最適な鞄を追求し、造りにこだわったランドセルを製造、販売している会社です。


このストーリーではJAPAN LEATHER AWARD 2024でアーティスティックデザイン賞を受賞し、2024年10月31日(木)より販売を開始した「赤色小札黄銅鋲背嚢具足」(あかいろこざねおうどうびょうはいのうぐぞく)の制作背景やメーカーのこだわりをお伝えします。
■「もったいない」精神が生んだ革新。コードバン端切れ再活用で甲冑風ランドセル誕生
「ランドセルで使われる最高級素材、コードバン。ランドセルのカブセに使った後に、大きな端切れが出てしまい、ランドセル製造では他に使い道がありませんでした。


そこで端切れを、実際にランドセルで使われる小さいパーツの形にカットし、組み合わせることで、カブセの"小札"をはじめとした和風デザインを表現することを考えました。」


そう語るのは、「赤色小札黄銅鋲背嚢具足」制作者の岡田憲樹。
ランドセル職人として革と向き合う日々の中で生まれた「もったいない」が、甲冑ランドセルを作るきっかけとなりました。
■甲冑デザインをランドセルに落とし込む難しさ。異なる素材を統一感のあるデザインに仕上げる秘訣
以前から「甲冑のようなランドセルを作りたい」と話していた岡田。JAPAN LEATHER AWARDへの挑戦が、その想いを形にするきっかけとなりました。


しかし、革で甲冑を作るのは簡単ではありませんでした。
初めは本物の甲冑のように、小札を糸で縫い付ける方法も考えましたが、あまりにも手間がかかりすぎる。そこでランドセルのパーツでもある鋲で留めることで、今作の顔となるカブセのデザインが出来上がりました。


マチやポケットの特徴的な和風デザインも、一見バラバラのモチーフではありますが、統一感のある仕上がりになっています。あえてデザインを固めてから制作に入るのではなく、大まかな方向性だけを決めて、作りながら考える。職人ならではのフレキシブルな手法によって生み出された、唯一無二のデザインです。
■鞄技術1級の職人技が光る。端切れ革を活かした挑戦、甲冑風デザインのランドセル誕生秘話
製作者の岡田は、全国でも数えるほどしかいない、鞄技術認定1級を所持する鞄職人です。


普段はお子様のためのランドセル作りに活かしている技術を、自身の趣味に振り切った結果、甲冑ランドセルが生まれました。


ランドセルのマチやカブセに使われる、スポンジによる盛り上げ装飾と、普段趣味で作っている繊細で緻密な革細工を活かしたデザインとなっています。
特徴的なカブセだけでなく、マチに施された船箪笥や鬼瓦を模したデザインも、ランドセルのパーツや技法を活かして作られています。
カブセを開けるとポケットにも甲冑の面頬を模したデザインが施されており、ここも端切れを活かした造りになっています。
































このランドセルのベースになっているのは、普段自身で製造している「匠ランドセル」。昔ながらの手縫い、手作りにこだわりながらも、お子様の安全や負担軽減にも配慮した、製造に高い技術を要する村瀬鞄行のフラッグシップモデルです。


このランドセルを作る技術が、甲冑ランドセルの大胆かつ繊細な表現に活かされています。
■アーティスティックデザイン賞受賞。注目を集める甲冑ランドセルが受注生産で販売開始へ
国内最大の革製品コンテストであるJAPAN LEATHER AWARD 2024に応募したところ、アーティスティックデザイン賞を受賞しました。


その後、Xでの300万インプレッションを超える拡散をきっかけに、ネットニュースや地元テレビ局でも取り上げられ、多くの方からご評価いただきました。


アーティスティックデザイン賞を受賞したこともあり、2024年10月31日より受注制作での販売を開始しました。
価格:¥500,000(税込)
制作期間:約6ヶ月
販売に至ったきっかけは、同時に販売を開始した「浮世鞄-富嶽-」。同アワードで2022年に特選に選ばれたこのランドセル、展示会や店舗で展示するたびに「欲しい!」「販売しないの?」といったお声をいただいていました。


要望があるならお応えしたい、という思いもあり、今回の受賞のタイミングで販売を開始しました。
はじめは一点モノとして制作したランドセルでも、ご要望があったときには必ず応えたいという思いから、のちのち生産できる構造や手順に落とし込んでおくことが、職人としてのこだわりのひとつでもあります。
現在国内だけでなく、海外からもお問合せをいただいています。
■シンプルなランドセルが主力の村瀬鞄行はなぜ、革新的なランドセルへの挑戦を続けるのか?
村瀬鞄行は今作以外でもコンテストへの応募を積極的に行い、受賞歴を重ねています。
第38回日本かばん技術創作コンクール(2023年)
経済産業大臣賞
「Only One Box」
JAPAN LEATHER AWARD 2019
ベストデザイン賞
「HideRU」
第37回日本かばん技術創作コンクール(2019年)経済産業大臣賞
「ランドセル ARIMATSU」
















その他の受賞歴は
先ほど紹介した「匠」や、主力商品である「ボルカ」シリーズからは想像できない、独特なデザインのランドセルを制作する背景には、技術力へのこだわりがありました。
甲冑ランドセルの作者である岡田以外にも、当社には鞄技術認定1級の職人がもう1名、2級の職人が1名在籍しており、職人の技術力向上に力を入れています。


普段の生産だけでなく、認定試験やコンテストへの挑戦で培った技術を活かし、他には真似できない表現を追求し続けた結果、今回の「甲冑ランドセル」が生まれ、大きな話題となったのだと考えます。
■子どもたちの負担を減らし快適な通学を実現。村瀬鞄行が追求する理想のランドセル
小学生の荷物が増え続け、ランドセル症候群という言葉も出てしまう昨今、少しでもお子様の負担を減らし、快適に通学できる鞄を目指して、村瀬鞄行では負担軽減に力を入れてランドセル作りを行っています。


・立ち上がり背カンによる負担分散
・メモリーフォームによる衝撃吸収
村瀬鞄行が技術力にこだわるのは、「通学に最適なかばん」を作り続けるためです。通学環境やお子様の生活習慣の変化に対応し、進化し続けてきたランドセル。これからも変化し続ける"最適"を実現するため、どんな構造でも形にする技術力を磨き、挑戦を続けていきます。
■会社概要
商号 : 株式会社村瀬鞄行
代表者 : 代表取締役社長 村瀬 靖人
所在地 : 〒453-0804
名古屋市中村区黄金通4-10
設立 : 1971年8月
事業内容: 鞄 卸 製造販売
資本金 : 1,600万円
URL :

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