漆を未来に繋ぐ新ブランドの誕生:漆とロック社の「めぶく」が「地産地匠アワード」初代グランプリを受賞!ウルシの種を埋め込んだコンセプトと国産漆の植栽活動との連携が高く評価される|関連イベントを東京で開催

2024.12.10 16:19
漆とロック株式会社
漆のものづくりの生態系を残していくための機能・意志・意匠が「漆の種」に包括されている点が大きく評価。目先の消費ではなく、産地の持続性に目を向けた完成度が認められ、審査員の満場一致でグランプリを受賞。
グランプリを受賞した「めぶく」のお弁当箱

【概要】400年以上の伝統を持つ会津漆器に新ブランド「めぶく」が誕生。漆器のプロデュースや魅力発信に長年取り組む「漆とロック株式会社」が企画・運営・販売を手がけ、30代の若手職人たちが製作を担当。ヘルベチカデザイン株式会社がグラフィックデザインをサポート。第一弾商品となる「漆の種が埋め込まれたお弁当箱」は、中川政七商店の「地産地匠アワード」にて第1回グランプリを受賞。存続の危機に瀕する国産漆の植栽活動と漆器のお弁当箱という商品を重ね合わせたコンセプト・活動の広がりが評価された。それを記念し、12/21に東京・大手町にてその思いや背景を伝えるイベント「漆の種のめぶく頃 -工芸と農業と、これからの里山の循環-」を開催。エル・グルメ「水川発酵食道」でも、会津の漆の最新の取り組みが2号に渡って特集されている。
漆のものづくりの生態系を残していくための機能・意志・意匠が「漆の種」に包括されている

○「めぶく」第一弾商品の「お弁当箱」について
<お椀に埋め込まれた「ウルシの種」の秘密>
「めぶく」のお弁当箱の最大の特徴が、蓋となるお椀の高台の中に埋め込まれた「漆の種」です。そこには、「未来でその種が芽吹きますように」という祈りが込められています。漆のコーティングによる保護力は非常に高く、縄文時代の遺跡からもきれいな状態の漆製品が出土するほど。それはまさに、時間を超えるタイムカプセルのようであり、その種もまた、未来へ漆をつなぐタイムカプセルと言えます。そんな漆の種に、未来への希望を託しました。そして、「めぶく」の売り上げの一部は、会津での漆の木の植栽活動「猪苗代漆林計画(いなわしろ・うるしりんけいかく)」に活用されます。思いと仕組み、物心両面で、漆文化を未来に繋ぐお弁当箱です。
このお弁当箱に込められた思いや商品開発秘話は、こちらのインタビュー記事にとても分かりやすくまとまっています。是非ご覧ください。
蓋となるお椀の高台の中に埋め込まれているのは「ウルシの種」

<めぶくは、“一汁一菜”を愉しむ信玄弁当です>
「めぶく」は、「信玄弁当」と呼ばれる三つ重ねのお弁当箱に範を取っています。信玄弁当は、武田信玄が考案した形状とされ、一説には鷹狩りなどの野遊びの際に持っていったと言われています。その形状をベースに、「めぶく」はより愛らしく、使いやすいかたちに開発しました。一番下の椀にご飯ものを、中段におかずを入れられ、一番上のフタとなっている椀は、逆さにすると汁椀となります。 味噌玉などを作って持っていけば、お湯を注ぐだけで汁物が出来上がり、野外や外出先でも、日本人の食の基本の“一汁一菜(いちじゅう・いっさい)”のお食事を愉しむことができます。
愛らしいフォルムながら、適度な容量も確保

<地産地匠アワードで第1回グランプリを受賞>
地産地匠アワードは、「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに掲げる中川政七商店による、ものづくりの新たな循環を目指した取り組みです。
「地産地匠」とは、地元生産×地元意匠(デザイン)のこと。地元メーカー× 地元デザイナー2者合同によるプロダクトを募集し、すべての受賞商品の販路支援まで行う唯一無二のアワードです。すべての受賞作を中川政七商店が販売支援をすることで、メーカーとデザイナーが協働してこそ生まれる新しいスタンダードの発掘と、産地の作り手・デザイナーへの継続的な還元を目指しています。
2024年度は、2023年10月から2024年1月まで応募を受け付け、日本全国27県から木工、漆器、染織、陶器、和紙、ガラスなど多彩な工芸素材を活かした合計80点の応募がありました。
今回、「めぶく」はその頂点となる初代「グランプリ」に選ばれました。
授賞式の様子(向かって左から、審査員・坂本大祐氏、審査員・加藤駿介氏、受賞者:漆とロック・貝沼航、受賞者:ヘルベチカデザイン・佐藤哲也、審査員・大治将典氏)

○初回生産分は300個限定で先行予約販売となります
ー東京・奈良・長崎・名古屋・大阪・郡山の店舗でご覧いただけます。ーご注文はオンラインストアでお受けしています。
2024年秋に産声を上げた「めぶく」は、これから本格的に生産に入っていきます。初回生産分は、300個限定での先行予約販売となります。冬~春~夏と木地師・塗師と手を渡りながら丁寧にお作りしていきますので、お届けは2025年の秋となります。初回分をご予約いただいた皆さまへは、お届けまでの間、製作の過程や進捗をメール等でお知らせします。1年ほどゆっくりとお待ちいただきますが、どうぞ季節と手仕事の移ろいとともにお待ちいただけましたら幸いです。

<中川政七商店「地産地匠アワード」 記念販売>
「地産地匠アワード」グランプリ受賞を記念し、現在、全国6店舗の中川政七商店さんの主要店(東京・奈良・長崎・名古屋・大阪)での展示、またウェブショップでの受注もしていただいています。
加えて、D&DEPARTMENT 福島店(郡山駅構内)さんでの展示・店頭受注もしております。
お近くの店舗へ是非足をお運びいただけましたら幸いです。

<ご覧いただける場所とご注文いただける場所>
※下記は2024年12月上旬時点での情報です。2025年1月以降は展示状況が変わりますのでご注意ください。

○お手に取ってご覧いただける場所
・中川政七商店 全国6店舗 ※展示のみとなります。ご購入はオンラインでお願いします。
 実施店舗:奈良本店、渋谷店、KITTE丸の内店、アミュプラザ長崎新館店、
      栄 中日ビル店、阪神梅田本店
 展示期間:2024年11月5日(火)~終了時期未定
 店舗情報:
・D&DEPARTMENT 福島店(郡山駅構内) ※展示および店頭受注を行っております。
 展示期間:2024年11月5日(火)~終了時期未定
 店舗情報:
○ご注文いただける場所
・めぶく公式オンラインストア(漆器「めぐる」オンラインストア内)
・中川政七商店ウェブショップ(予定数量になり次第終了)
○最新情報は「めぶく」公式サイトやInstagramから
・めぶく公式サイト
・めぶくInstagram
○「めぶく」のパンフレット(PDF)は下記からダウンロードいただけます。
中川政七商店・渋谷店での展示の様子

「めぶく」ギャラリー
めぶくを重ねた様子
めぶくを開いた様子
和食はもちろん
洋食にも対応します
漆の採取・塗りを全て会津で生産
漆の種も一点一点埋め込みます
手に馴染むちょうどいいサイズ感
今回の受賞メンバーたち

地産地匠アワード 第1回グランプリ 受賞データ

【商品名】  「めぶく -漆の種に願いを託すお弁当箱-」
【受賞内容】 グランプリ(80点の中から1点選出)
【地域名】  会津漆器(福島県会津地域)

【受賞者】
企画・運営:漆とロック株式会社/猪苗代漆林計画 貝沼 航
2005年福島県会津若松市にて創業。“繋ぐ・伝える・生み出す”を役割として、会津漆器を中心とした沢山の職人さんたちと共に活動する。
グラフィックデザイン:ヘルベチカデザイン株式会社 佐藤哲也 遠藤令子
2011年福島県郡山市にて創業。福島の基幹産業でもある農業を中心に温泉街の再生プロジェクトや地域観光のリブランディングなどを担当。
プロダクトデザイン・製作:漆器職人(塗師・漆掻き) 平井 岳
1988年京都生まれ。2016年に福島県郡山市にて独立。福島県内でも2,3人しかいない貴重なプロの漆掻き職人として、漆の未来を担う。

【評価ポイント】
漆器が一般家庭で使われなくなりつつある中、漆のものづくりの生態系を世界に残していくための機能、意志、そして意匠が、「漆の種」に包括されている点が大きく評価されました。瞬間的なものづくりや消費ではなく、産地の持続性に目を向けた商品としての完成度が認められ、審査員の満場一致でグランプリを受賞しました。

【受賞コメント】
漆も、種も、タイムカプセル。だから、「漆器を土に還す」という行為に、祭礼的な祈りと遊び心を添えて、その思想とプロセスをみんなで楽しむようなものが作れないか。そして、その先に、漆の木を守り育てるコミュニティの繋がりになるような漆器が作れないか。そんな長年の構想を発表する場をずっと考えてきましたが、今回、この地産地匠プロジェクトに応募したのは、この挑戦的なプロダクトがどう受け止められるか知りたいということ、そして折角なら中川政七商店さんと一緒に大きく広げていきたい(届くべき方たちにきちんと届くように)、と思ってのことでした。モノで溢れる現代。新しい物を生み出すこと以上に、物の終わりのデザイン、つまり“物の命の仕舞い方・願いの託し方”を考えてみることが、私たちに とってより大切なことかもしれません。そんな私たちのメッセージを受け止めてくださり、ありがとうございます。 (漆とロック株式会社 貝沼航)

【コンセプト】
縄文遺跡から漆製品が出土しているように、防腐・耐水性に優れた漆で保護された器は、時を超えるタイムカプセルです。ウルシという木は、自生せず人が育てないと残っていかない木ですが、その存続は危機に瀕しています。しかし「種」さえ残せば、ウルシを未来に繋ぐことができるかもしれません。そこで、漆の種を埋め込んだ「現代の信玄弁当」を作りました。器の役割が終わったら、これを土に埋めていただきます。未来の誰かが種と共に発見してくれるかもしれません。しかし本当の意味は、これが「漆を守り育てるコミュニティの証」となることです。このような願いを込めた器を手にしていただくことで、その資金は、現代において漆文化を途切れさせないよう活動する新たな漆林づくりに活かされます。

【志】
このプロダクトのベースには、「猪苗代漆林計画(いなわしろ・うるしりんけいかく)」という、漆の木の植栽活動があります。福島県会津地方、猪苗代湖と磐梯山に囲まれた休耕地で、漆器づくりの原料となる漆の木の育成に取り組む団体です。漆とロックに加えて、地域の若手世代の漆器職人や農家が集い、国産漆の供給不足と農地の獣害問題という2つの課題を解決しながら、人々が自然と触れ合い、多様な担い手が学び育っていく漆林づくりを目指しています。2年間の試験植栽を経て、本格的に活動を展開・発展させていく段階になっています。衰退する日本の里山と工芸に活気を取り戻し、未来に繋がる新しいモデルを作っていこうとするプロジェクトです。
猪苗代漆林計画 Instagram:
○受賞を記念し、関連イベントを12/21(土)に東京で開催
「めぶく」の誕生とアワード受賞を記念し、私たちの取り組みの背景や思いを伝えるイベントを開催します。「めぶく」の開発ストーリーを聞いていただきながら、実際に実物をお手に取ってご覧いただくことができます。さらに、工芸×農業の連携による、新しいかたちでの漆の木の植栽活動と、これからの里山づくりについてもご紹介します。どなたでもお気軽にご参加ください。メディアの方のご取材も大歓迎です。
このイベントでは、雑誌エル・グルメ「水川発酵食道」の取材で俳優の水川あさみさんからも好評だった発酵ごはん(発酵にんにく豚汁とこだわり具材のおにぎり)を、持ち心地や口当たりにこだわって作られた会津漆器「めぐる」で楽しんでいただきながら、会津で新しくスタートした若手職人や農家たちによる新しい挑戦のストーリーを聞いていただきます。D&DEPARTMENTさんと中川政七商店さんという日本の工芸を応援する代表的企業からのゲストを交えたクロストーク、この11月に発表した新ブランド「めぶく -漆の種に願いを託すお弁当箱-」の裏側もご紹介もします!みんなで楽しく漆を守り育てるための対話ができたらと思っています。
漆のことをあまり知らなくても、どなたでもご参加いただけます。当日は和気あいあいと楽しい雰囲気の会にできればと思いますので、どうぞお気軽にお越しください。

・・・

タイトル:「漆の種のめぶく頃 -工芸と農業と、これからの里山の循環-」
     (猪苗代漆林計画・第1回サポーターミーティング)
日 時:2024年12月21日(土) 14:00-16:30
会 場:3×3Lab Future コミュニケーションゾーン
    (千代田区大手町1-1-2 大手門タワー・ENEOSビル1階)
ゲスト:D&DEPARTMENT 取締役副社長 黒江美穂氏
    中川政七商店 社長室 コーポレートブランディング担当 野村隆文氏
ホスト:猪苗代漆林計画メンバー
    ・漆器職人(漆掻き・塗師) 平井 岳
    ・農家(伝統野菜・お米) 土屋 勇輝
    ・漆の伝え手(漆とロック) 貝沼 航 
    ・自然と人の繋ぎ手(自然学校) 和田 祐樹
定 員:40名
参加費:通常チケット 3,500円(漆器での食事付き)
    応援チケット 5,000円(うち1,500円が来年のウルシ苗代に活かされます)
主 催:猪苗代漆林計画
共 催:(公財)福島県観光物産交流協会、(株)日本旅行東北
申 込:
エル・グルメ「水川発酵食道」でも会津の漆が特集!

雑誌「ELLE」のフードマガジン「ELLE gourmet(エル・グルメ)」にて2号に渡り、会津の漆の魅力と最新の取り組みが特集されています。俳優・水川あさみさんによる「水川発酵食道」という連載の中で、漆とロック(漆器「めぐる」)や猪苗代漆林計画の活動など、前編と後編2号に渡ってたっぷりご紹介いただいています。
水川あさみさんならではの瑞々しい感性と素直で率直な言葉で、各職人さんの魅力やお仕事の奥深さに迫っていただき、“発酵”という文脈の中で、"漆"という生きた素材から現代の私たちが学ぶべきことを分かりやすく引き出していただいています。こちらも是非ご覧ください。

○会津の漆・前編 2024年10月6日発売 エル・グルメ2024年11月号
○会津の漆・後編 2024年12月6日発売 エル・グルメ2025年1月号
【参考:「めぐる」と「めぶく」2つのブランドの関係性について】

今回発表した「めぶく」は、福島県会津地域で20年に渡り漆器のプロデュースを続ける漆とロック株式会社が展開する新ブランドとして2024年11月に誕生しましたが、同社では、2015年より「めぐる」という会津漆器の本物ブランドを手がけ、グッドデザイン賞やウッドデザイン賞・審査委員長賞を受賞するなどその商品やコンセプトに高い評価を受けてきました。

「めぐる」は、暗闇のソーシャル・エンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と会津漆器がコラボレーションし、“目を使わずに生きる方たち”の“繊細な触覚の感性”を活かしたデザインで、持ち心地や口当たりの心地よさにこだわった漆器シリーズ。お直しをしながら長く使っていただくことをコンセプトとしています。
めぐる公式サイト:
「めぶく」は、「めぐる」の“その先の未来”を描くブランドとして、より若い作り手が中心となり、素材となる国産漆の植栽活動と密接に連携し、漆文化を未来に繋いでいくための取り組みとなります。
2015年より先行して展開している漆器ブランド「めぐる」


<配信元・企業情報>
漆とロック株式会社
2005年に福島県会津若松市にて創業。 “繋ぐ・伝える・生み出す”を役割として、会津漆器のプロデューサー/コーディネーターとして活動。漆器ブランド「めぐる」「めぶく」を立ち上げ、産地の沢山の職人さんたちと連携して事業を行っている。猪苗代地域で国産漆の植栽活動にも取り組む。作り手と使い手を繋ぐ産地ツアーや、漆器の魅力を伝える講演やイベントも随時開催している。
漆とロック株式会社HP:

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