音からデザインを行う独自のアプローチで、外観美と感性価値を融合。ジュエリーブランド「SOWN」が届けるジュエリーの新体験

2024.11.29 10:10
「SOWN (サウン)」は2024年5月に誕生した、音×ジュエリーのクリエイターブランドであり、音の結晶と呼ばれる「クラドニ図形」からジュエリーのデザインを生み出しています。


同年7月には「Tokyo Jewelry Fes」に出展し、11月には応援購入サービス「Makuake」にてクラウドファンディングを実施しました。今回は、SOWNの代表兼クリエイターである片倉がブランド立ち上げの背景と、なぜ"音"からデザインを行うのかについて、お話させていただきます。

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蝉の鳴き声 "4000Hz" の音図形からジュエリーへ
◆生成AI技術の急成長がもたらす可能性。「感性価値」に注目したブランドの立ち上げ
ここ数年、生成AI(ジェネレーティブAI)の技術が急激に成長しています。画像生成に限っていえば、写真、絵画、イラストなどを文章から瞬時に生成することができ、ツールを的確に使用することで、グラフィックデザインやプロダクトデザインにも応用させることができます。


生成AIを用いて、狙いやコンセプトを的確に再現したデザインを創出するのは、現段階ではまだ難易度が高いと言えます。しかし形や色といった視覚的な要素においては、プロンプト(画像を生成するための文章による指示)を入力するだけで非常にクオリティの高いアイデアを創出することができます。
すなわち、「美しい外観を考える」という作業に関して言えば、誰もがデザイナーになれる時代と言っても良いかもしれません。




私はそのような時代において、デザインの価値は「感性価値」にあると考えています。「感性価値」の解釈はさまざまですが、感動や共感から、目に見えない消費者の意識に働きかける要素のことを差します。
「感性価値」は、特にジュエリーや腕時計などの、基本的には機能性より外観の美しさが重視される製品において重要になると考え、ジュエリーデザインで新たな価値を生み出したい、そんな気持ちからブランドの立ち上げに至りました。
生成AIによるデザイン創出の例
◆「外観の美しさ」と「感性価値」の2つの側面。「音」をコンセプトにしたジュエリーデザイン
私自身が普段アクセサリーを身に着ける際、「おしゃれをする」「気品を引き立たせる」といった"他人から見られた時の側面"と、「気持ちを切り替える」「自信を持たせる」といった"自分の内面に対する側面"の、2つの側面を感じていました。


この2つの側面をデザインの観点から考えると、「外観の美しさ」(見た目がかわいいこと)と「感性価値」(気持ちへのフォーカス)であると捉えることができます。
そこで私は、この2つの側面をジュエリーデザインに落とし込むために、「音」をコンセプトにしたデザインを考えることにしました。
ジュエリーが持つ2つの側面
◆「目に見えないもの→デザイン」の新アプローチを採用。「音」に秘められた強いメッセージ
私自身、企業のインハウスデザイナーとしてさまざまな製品のデザインを行なってきましたが、基本的にはデザイナーが造形を検討する際、そのインスピレーションは「外観上の要素→デザイン」であることがほとんどです。例えば、動物の身体のカタチや質感をモチーフとして、製品のデザインに落とし込んだり、水や大地などの自然をモチーフにデザインを考えたりします。その場合、最終的なデザインは「外観の美しさ」のみに焦点を当てたものになる可能性が高いと言えます。


そこで私は、感動や共感を呼び起こす「感性価値」を表現するために、デザインのアプローチを「目に見えないもの→デザイン」にする必要があると考えました。
それにより、外観美だけでなくストーリー性を含むデザインを生み出すことができます。
また、「目に見えないもの」を何にするかを考えていく中で、「音」「光」「香り」などを検討しましたが、「音」が最もメッセージ性があるのではないかという結論に至りました。
デザインアプローチの変換
◆目に見えないメッセージ性を込める。音をジュエリーデザインに取り入れる意義
音を用いた芸術といえば音楽ですが、私たちは歌詞のないジャズやクラシックを聴く際も切ない気持ちになったり、明るい気持ちになったりします。また、声のトーンで嬉しいのか、悲しいのかを感じ取ったりすることが出来ます。


このように、音は目に見えないメッセージ性を持っており、その要素をジュエリーの「感性価値」に表現しようと考えました。

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音の結晶 "クラドニ図形"
◆音の振動から生まれる「クラドニ図形」。外観の美しさとメッセージ性の融合
音をカタチにする方法を調べていたところ、音の周波数によって生まれる「クラドニ図形」という現象が存在することを知りました。


クラドニ図形では、音の振動を二次元で捉えることで、振動の波形を図形として観察することができます。そしてこの図形は、振動する部分と振動しない部分が規則的に発生するため、対称性のある幾何学模様になリます。


私はこのクラドニ図形に美しさを感じ、ジュエリーのデザインに最適だと考えました。
このように、音の結晶をジュエリーデザインに表現することで、「外観の美しさ」と「感性的なメッセージ」どちらも表現できると、考えました。
抽出した音の図形からデザイン検討
◆音から形を生み出すデザインの魅力を展示。「カタチが可愛い」と評価されたデザインの手応え
実際に、お客様の反応をリアルにお聞きしたかったので、ブランドを立ち上げてすぐに「Tokyo Jewelry Fes 2024」へ出展することにしました。
音から形を生み出していることを知って頂くため、タブレット端末に音の形が変化する様子を展示しました。訪れてくださった方々に非常に興味を示して頂き、新しいアプローチでデザインを行なったことに自信が持てました。
また、あくまで商品としてはジュエリーであるため、最終的なアウトプットが「身に着けたい」と思われるような外観になっているか、という点で不安な部分もありました。


実際には、「単純にカタチが可愛い」、「デザインが素敵」といったお声を頂くことができたので、初期段階としては「外観の美しさ+感性価値」という、私自身が目指していたデザインを表現できたのではないかと感じております。
「Tokyo Jewelry Fes 2024」での展示風景
◆クラウドファンディングで新たなアイテム展開へ。今後も「デザインの新たな価値を広めていく」ために
現在、SOWNではピアスを現行販売品としており、11月のクラウドファンディングで新アイテムであるリングを先行販売しています。
ジュエリーブランドとしては、アイテムの種類が少ない状態であるため、今後はブレスレットやネックレス等、多くのアイテム展開をしていきたいと考えております。


基本的には、同じ音の種類でアイテム展開をしていく予定ですが、定期的に新しい音の形状や、異なるアプローチでの開発も行なっていく予定です。
商品数を増やすことでブランドの認知度を向上させ、デザインの新たな価値を多くの方に広めていきたいと考えております。




◆SOWN (サウン)
公式サイト(EC):
instagram:
X (旧Twitter):
◆クラウドファンディング「Makuake」
・プロジェクト名:【音を身に纏う】音から生まれるジュエリーリング
・実施期間:2024年11月08日 12:00 〜 2024年12月08日 22:00
・URL :

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