①キリンビール株式会社について
キリンビール株式会社(東京都中野区/社長 堀口英樹)は1907年に創業し、「お客様本位」、「品質本位」を基本姿勢とし、常にお客様に新しい価値を提供するさまざまなチャレンジを行ってきました。
お客様にご支持いただける価値・商品としては「キリン一番搾り生ビール」「キリン一番搾り 糖質ゼロ」などを提供しております。社会課題の解決・改善の取り組みとしては「適正飲酒やスロードリンクの推奨」を掲げ、「キリン グリーンズフリー(以下、グリーンズフリー)」や「キリン カラダFREE」などの商品を取り扱っています。
特に「グリーンズフリー」は健康志向の高まりから成長が見込まれるノンアルコール・ビールテイスト飲料市場でも、「爽やかなおいしさで気分が上がる」という独自の価値で高く評価いただいています。今回、この「おいしさ」の価値をさらにお客様に提供するため、2024年7月製造品からリニューアルを開始しました。
②グリーンズフリーPR事務局の発足について
「グリーンズフリー」のリニューアルに伴い、マーケティング部のビール類カテゴリー戦略担当の富田慎司に話を伺いました。
“今回のリニューアルでキーワードとして掲げたのは「パーセプションチェンジ」です。お客様調査によると、ノンアルコール飲料には、アルコール飲料の「代わり」として、少し「残念な」飲み物と受け止められている現状があると思います。だからこそノンアルとしての価値をお客様に伝え、「ノンアルはポジティブで気分の上がる飲み物である」、という受け止め方に変化させていきたいと考えています。
そのような変化をもたらすには、残念な飲み物と思われてしまうことの構造的な理解と、どのような感情的なニーズに寄り添う飲料であるべきかを考え抜くことが重要です。“
この2つを通してさらなるノンアルコール飲料の市場活性化を狙い、新たにグリーンズフリーPR事務局を設立しました。本紙ではノンアルコール飲料に関する知識や、今、世間ではノンアルコール・ビールテイスト飲料がどのように受け入れられているかを独自調査し、皆さまにお届けしていきます。
創刊号は「グリーンズフリー」という商品に実際に関わっているキリンビール株式会社の社員からのインタビューをもとに、キリンビールにおけるノンアルコール・ビールテイスト飲料の歴史をひもときます。
③ノンアルコールおよびノンアルコール・ビールテイスト飲料について
・ノンアルコールとは
ノンアルコールは日本の酒税法で「アルコール度数1%未満の飲料」と定義づけられている飲料です。そのため0.99%以下のアルコールを含む場合もノンアルコールに当たりますが、お客様への誤解を防ぐため、酒類業界ではアルコール0.00%の飲料をノンアルコールと自主的に定めています。ノンアルコール・ビールテイスト飲料とは、その定義にのっとったビールテイスト飲料のことを指します。
・ノンアルコール・ビールテイスト飲料の製法
皆さんはそもそもノンアルコール・ビールテイスト飲料の製法をご存じでしょうか。製法は大きく二つに分かれています。
アルコールを生成せず、その他独自の多種多様な手法で味覚を調整し、ビールと似た味をつくる製法アルコールを生成し、ビールをつくってからアルコールを抜く製法
日本のメーカーは主に前者の1を採用しており、キリンビールのノンアルコール・ビールテイスト飲料商品も1の製法で製造しています。
④キリンビールにおけるノンアルコール・ビールテイスト飲料の歴史
“キリンビールは世界で初めてアルコール分0.00% のビールテイスト飲料の販売を開始しました。この「キリン フリー」よりもさらに前に、ノンアルコール・ビールテイスト飲料にチャレンジした商品があります”
と話すのは、マーケティング事業部で「グリーンズフリー」のブランドマネージャーを務める山中進です。
●アルコール0.5%時代
・MALT SQUASH [モルトスカッシュ]
キリンビールは2003年に「MALT SQUASH [モルトスカッシュ]」という商品を発売しました。こちらの商品は酒税法上ノンアルコール飲料に位置づけられます。発売当時はアルコールを完全に抜くという技術がなかったため、アルコール0.5%を含む飲料として発売されました。「MALT SQUASH [モルトスカッシュ]」は大人のための『清涼発泡飲料』という新カテゴリーの創造を目指し、発売されました。
2005年にはお客様への提供価値向上に向け、リニューアルを行いました。中味には新酵母を採用し、爽快感と後味のキレの良さに磨きをかけました。パッケージにおいては、2003年から原材料に含まれていた「食物繊維」の表記追加や、店頭での視認性を高める変更をおこないました。
「MALT SQUASH [モルトスカッシュ]」はキリンビールのラインナップ拡充には寄与しましたが、完全なノンアルコール飲料としては成長の余地を残しました。
“キリンビールは世界初のアルコール分0.00%のビールテイスト飲料として、2009年4月に「キリン フリー 」を販売しました。キリンビール独自の「アルコールを生成しない新製法」を開発し、ビールテイスト飲料としては世界初である"アルコール0.00%"を実現したものです。
2006年の飲酒運転事故やそれを受けての2007年の道路交通法厳罰化があり、少しでもアルコールを含まない、アルコール0.00%の商品の必要性を強く感じました。そうした時代背景とともに開発されたのが「キリン フリー」です。開発チームの、メーカーの社会的責任をしっかりと自覚し、社会をより良くしたいという思いが非常に込められた商品開発になりました。”
とマーケティング部のブランドマネージャーである山中は当時を振り返ります。
前述したように、キリンビールではノンアルコール・ビールテイスト飲料はアルコールを生成しない製法を採用していますが、これにより麦汁の独特なにおいや甘みを残してしまい、さらに酸味も強くなるという課題が残ります。
このようなさまざまな課題に対し、既存商品の開発チームが持つ香味の調合技術や、清涼飲料を取り扱うキリンビバレッジの酸味の制御技術など、キリンホールディングスが持てる技術をもって、たくさんの方から愛されるノンアルコール・ビールテイスト飲料の開発を目指しました。
さらに同年にキリンは「ハンドルキーパー運動(※1)」の支援を始めました。「キリン フリー」はその支援の一環として、「ハンドルキーパーびん」というびん商品を期間限定で販売するなど、活動の認知拡大に寄与しました。
キリンビールとして品質を担保していること、ビールテイスト飲料カテゴリーの商品であることを示すため、パッケージにはシンボルである聖獣麒麟を盛り込みました。
求められてうまれた商品だからこそ、明確な価値がお客様に伝わりました。競合他社からも追随するようにノンアルコール・ビールテイスト飲料商品が世に送り出されました。
※1 ハンドルキーパー運動:自動車で飲食店に行き飲酒する場合には、お酒を飲まない人(ハンドルキーパー)を決めることで、飲酒運転を防止しようとする運動です。
・「キリン 休む日のAlc.0.00%」
2010年には、キリンホールディングスのグループ横断ブランド「キリン プラス-アイ」の第一弾商品の1つとして、「キリン 休む日のAlc.0.00%」を発売しました。
「キリン プラス-アイ」とは、健康志向の高まりによるお客様のニーズの多様化に対応するべく、キリングループ企業4社が連携し、機能性素材の共通化などを通じた、健康・機能性食品事業におけるグループ横断ブランドです。
第一弾商品では、「回復系アミノ酸オルニチン(※2)」を使用し、元気においしい食生活を楽しむための商品を様々な形態で販売しました。そのうちの1つが、「キリン 休む日のAlc.0.00%」です。
※2 オルニチンは体内で使われても自らがオルニチンに戻るので回復系アミノ酸と呼びます。食品の中に微量に含まれ、人間の体の中にも存在するアミノ酸です。「しじみ」に多く含まれていますが、食品から摂取しづらいと言われています。
「キリン 休む日のAlc.0.00%」は、アルコール0.00%に回復系アミノ酸オルニチンを400mg配合した、新しいノンアルコール・ビールテイスト飲料です。休肝日を推奨する新・習慣飲料として展開されました。
2015年には健康志向の高まりを受け、お客様に提供する情報の一つとして新たに機能性表示食品(※3)というカテゴリーが加わりました。キリンビールはこの制度に基づき、「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかにする」ダブルの機能を表示した、「パーフェクトフリー」を発売しました。「パーフェクトフリー」には難消化性デキストリンという食物繊維を付加しています。この難消化性デキストリンが、食後の血中中性脂肪や血糖値の上昇をおだやかにします。
また、中味も苦みとキレのある後味に仕上げることで、「本格的な味わい」「飲みごたえも機能もあるので食事と一緒に飲みたい」という評価をいただきました。
“ノンアルコール・ビールテイスト飲料商品が市場に多く増え、他社商品でも差別化のために食品表示基準にのっとったカロリーゼロや糖質ゼロを付加するようになりました。健康面の機能を付加する、いわゆるゼロ戦争です。これがノンアルコール・ビールテイスト飲料の地位を獲得していったと思っています。お客様がノンアルコール・ビールテイスト飲料を選択する理由や価値につながりました。”
と山中は述べています。
市場に多くの競合商品が出てくる中で、「パーフェクトフリー」は累計販売数量が発売から約1年半で5,500万本を突破しました。更に機能性ノンアルコールカテゴリーでも売上NO.1を獲得しました。
※3 機能性表示食品:機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。
【機能性表示食品】 届出表示:本品には難消化性デキストリン(食物繊維)が含まれます。難消化性デキストリンは、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えて排出を増加させるとともに、糖の吸収をおだやかにするため、食後の血中中性脂肪や血糖値の上昇をおだやかにすることが報告されています。本品は、脂肪の多い食事を摂りがちな方や食後の血糖値が気になる方に適しています。
さらにキリンビールは2017年に「キリン 零ICHI(ゼロイチ)」を発売しました。こちらは「キリン一番搾り生ビール」で採用している「一番搾り製法」をノンアルコール・ビールテイスト飲料へ初めて用いた商品です。「一番搾り製法」とは麦汁ろ過工程において、最初に流れ出る一番搾り麦汁のみを使う製法のことです。
キリンビールはそれまでに発売したノンアルコール・ビールテイスト飲料でも、特に味にこだわりながら開発をしていました。しかし、ノンアルコールユーザーの4人に1人はノンアルコール飲料の商品に不満を持っていることが分かりました。さらにノンアルコール飲料に期待することとして、「ビールに近い味」「本格感」「麦の味や香り」が特に高いことも、この時の調査で判明しています。
そうしたお客様への期待に応えるため、キリンの代名詞ともいえる「一番搾り製法」を採用したのです。この「一番搾り製法」に対する期待感と、よりビールに近くなった上質な味覚を評価いただき、「キリン零ICHI」は発売からわずか10日間で販売数量1000万本を突破し、キリンビールのノンアルコール・ビールテイスト飲料の販売量を前年から3割引き上げました。
2019年には「お腹まわりの脂肪を減らす機能」を付加した「キリン カラダFREE」を発売しました。熟成ホップ由来苦味酸を機能性関与成分として初めて販売された商品です。
機能性表示のビールテイスト飲料というと、前述のパーフェクトフリーが同様の商品となります。
キリンビール調べでは、成人のおよそ7割はお腹まわりの脂肪を気にしていることが分かりました。ここにニーズを見出し、「キリン カラダFREE」に熟成ホップ由来苦味酸によるお腹周りの脂肪(体脂肪)を減らす機能を付加しました。
お腹まわりの脂肪を減らす機能が、お客様の関心を引き、「キリン カラダFREE」も発売2カ月で年間販売目標を突破する商品となりました。
2022年には中味である原材料の見直しと、「お腹まわりの脂肪を減らす」機能がより伝わるパッケージへのフルリニューアルを行いました。健康を気遣いながらもノンアルコール飲料として、爽快感とキレを向上させた画期的な美味しさを提供する商品になりました。
【機能性表示食品】
届出表示:本品には熟成ホップ由来苦味酸が含まれるので、お腹周りの脂肪(体脂肪)を減らす機能があります。
本品は、国の許可を受けたものではありません。
本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。
本品は、肥満傾向な方(BMI25以上、30未満)に適しています。
食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、バランスの良い食事と適度な運動を
●次回は「グリーンズフリーの歴史」
創刊号次回は、キリンビールにおけるノンアルコール・ビールテイスト飲料の歴史について、「グリーンズフリー」がどのようなコンセプトで発売を開始し、リニューアルを行っているかに焦点を当ててご紹介します。
■お問合せ先
グリーンズフリーPR事務局
プロジェクト担当
Email:kirin_greensfreejournal@sion-group.com