成人年齢が18歳に引き下げられたことや、学習指導要領の改訂により、金融教育への注目度が高まっています。金融教育に関するさまざまな取り組みが行われる中、株式会社ジェーシービー(以下:JCB)は、全国の高校生に向けた金融教育の教材を作成・配布しています。
そこで今回は、広報部の三井さんと佐藤さんに金融教育の重要性や、作成した金融教育の教材に対する想いなどについて伺いました。
契約の重みやキャッシュレス決済の特性などを詳しく解説
――JCBが実施している金融教育への取り組みをお聞かせください。
佐藤さん:成人年齢が18歳に引き下げられ、学習指導要領に記載されたことで、全国の高校は金融教育の必要に迫られています。しかし、金融教育への対応に悩んでいらっしゃる先生方が多いと聞いています。
そこで、JCBは2023年度から金融教育の教材を制作し、全国の高校に展開する取り組みを開始しました。教材を配布してから1年で、全国およそ180校の授業で使用され、1万6000人の生徒に授業を受けていただきました。
三井さん:キャッシュレス事業者による出張授業やセミナーはよくありますが、私たちは、教材を制作・提供し、授業で先生方に使用していただくスタイルをとっています。
――教材にはどのような内容が記載されているのでしょうか。
佐藤さん:キャッシュレス決済の特性や利用にあたっての留意点などを30枚ほどの資料にまとめています。キャッシュレス決済は便利で生徒たちの将来の生活に欠かせないツールですが、フィッシング詐欺や情報漏洩など、注意を要する面もあります。
この教材では、なるべく実態に近いキャッシュレスの便利さと怖さ、メリット・デメリットを並べています。良い面と悪い面を理解して、生徒に自発的に考えてもらえる構成になっています。
――キャッシュレス決済の普及に伴って特性を理解することは大切ですね。
佐藤さん:現在、キャッシュレス決済はクレジットカードのみならず、デビットカードやプリペイドカード、コード決済など多様な手段があります。この教材では、色々なキャッシュレス決済を紹介し、それぞれの特性を理解して適切に選択してもらえるようにと、意識しました。
教材によって生徒の意識が大きく変わるのを実感
――JCBが講師として赴くのではなく、教材の制作と提供を選んだ理由についてもお聞かせください。
三井さん:出張授業は、時間や授業を行える場所が限られますが、教材を制作して配布すれば、より多くの生徒さんに学んでもらえると考えたからです。
また、実際に私たちが授業を実施するよりも、信頼関係のある先生から授業を受けるほうが、より生徒さんの理解や学びにつながると考えました。
私たちの目的は、キャッシュレスを正しく理解してもらうことです。便利である一方で、特に学生の皆さんには、契約に関する正しい理解や適切な使い方を知ってもらいたい。そんな中で、我々のような事業者が、初対面で、生徒さんに語りかけるのが最善の方法とは思えませんでした。
学生さんは、親や知人、先生など身近な方を信頼していると聞きます。利便性と危険性を、バランスよく理解していくには、先生から伝えてもらうのが効果的だと考えました。
――実際に授業を受けた生徒からはどのような声があがっているのでしょうか。
佐藤さん:授業の前後でアンケートをとっているのですが、「卒業後にクレジットカードをとても利用したい」という回答が15ポイントほど高まりました。授業前はクレジットカードに対して「イメージがよくわかない」といった状態だったのが、授業後には「信頼できる」「安全に使用できる」「ぜひ利用したい」と感じてもらえるようになりました。
使いすぎてしまうのではと考えている生徒さんもいますが、こまめにWEB明細で利用状況を確認しながら、計画立てて使うことが重要であることを伝えたところ、「使いすぎてしまいそう」というイメージは授業後に10ポイントほど下がりました。
――生徒さんの意識の変化が伺えますね。先生からの反応はいかがでしょうか。
佐藤さん:内容がまとまっていてクオリティも高いので使いやすいとの評価をいただきました。特に大学進学よりも就職する生徒さんが多い高校では金融の正しい知識を伝えることが急務だったようで、非常に役立ったと喜んでいただきました。
三井さん:今の先生方は学生のときに金融の授業を受けていません。まして、日々の業務で忙しい中、改めて最新の金融環境を理解して、授業の準備をするのは困難です。
そのため、私たちは生徒さん向けの教材とは別に、授業の進め方や教える際のポイントをまとめた先生用の資料も用意しました。先生用の資料をセットで渡すことで、負担軽減にできているとしたらうれしいです。
今後も受講生を増やし、教材をブラッシュアップし続けたい
――今後の金融教育の展開についてお聞かせください。
三井さん:現段階では、受講生を増やすことに注力していきたいです。今の教材は30枚ほどの資料と5分弱の動画で構成されていますが、より多くの学校で利用していただく中で、新たなニーズが出てくると考えています。受講生を増やしながら、さまざまなタイプの学校や授業スタイルに適した教材も作っていきたいですね。
――最後に金融教育を通じて実現したい未来をお聞かせください。
佐藤さん:JCBの金融教育に関する取り組みを通じて、キャッシュレス決済を中心とした金融に対する正しい理解を広めたいです。全国の高校生の金融リテラシーを高めることで、クレジットカードについても好意的な印象を持ってもらえると嬉しいですね。
三井さん:今の生徒さんは幼少期からモバイルやデジタルが身近にある環境で育ってきました。私の学生時代とは異なり、キャッシュレスを自然なものとして認識しています。そのため、使うか使わないかではなく、使うことを前提として必要な知識を伝えていきたいです。
また、金融教育の中でJCBというブランドにも興味を持ってほしいです。私たちは日本で生まれたただ一つの国際カードブランドです。学生の皆さんに、JCBの特性などもぜひ知っていただきたいと考えています。
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※インタビューは2024年9月に実施。情報はインタビュー当時のもの。
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