【試乗】刻々と変化する路面状況に対応! ヨコハマのスタッドレスタイヤ「アイスガード 7」で冬の青森へ

2024.09.30 18:00
クルマの走りのよさを損なうことなく機能
「氷に効く・雪に効く・永く効く」と軽やかに謳うアイスガード 7。
  だがスタッドレスタイヤの氷上性能と雪上性能はいわばトレードオフの関係にあり、揃って向上させるのは難しい。
  氷上性能を高めるためには接地性を上げなければならず、溝の面積が減る……雪上性能を高めるためには排雪性を上げなければならず、溝の面積が増える……といった調子なのだ。
  そんななか果敢に二兎を追ったのが、このアイスガード 7である。
  このタイヤの性能を、決して雪道での運転に慣れているとはいえない私でも享受することはできるのだろうか? ロングドライブで試してみることにした。
  今回はホンダのSUV、ZR-Vにアイスガード 7を装着して東京都から青森県を目指す。
  まずはドライ路を走行。
  東北道に乗り制限速度に達するまでアクセルを踏んでみると、安定感ある走りをみせる。
  以前サマータイヤを履いたホンダZR-Vに乗った際、SUVらしからぬスポーティな走りに驚いた。
  クルマの素性のよさがタイヤによって損なわれていない。これはかなり嬉しいポイントだ。
  スタッドレスタイヤのデメリットには柔らかさゆえのフニャフニャとした乗り味やノイズの大きさが挙げられるが、アイスガード 7はいずれも気にならなかった。大げさではなく、スタッドレスタイヤといわれなければ気づかないレベルだ。
  高速道路を降り、十和田湖を目指して進むといよいよ景色が白く染まり始めた。
  本格的な雪道での走行は4年ぶり3回目である。予想よりも早い段階で圧雪路に遭遇し、少し緊張。だが走ってみるとどうだろう。「思ったより普段と変わらない」というのが第一印象だ。
  雪道に慣れていない私のような人間からすると、運転感覚が変わるのが一番怖い。
  例えるならば寒さで手が悴んでスマホが思うように操作できない時のような、普段よりも鈍った感覚で走ることになるのだろうと構えて雪道に踏み込んだのだが、見事に肩透かしを食らった。
  もちろんまったく同じではないが、思ったよりも舵は利くし、路面の状況もわかる。狭い道も通ってみたが回頭性もよく、不安がなかった。
  十和田湖には壮大でどこか寂寥間が漂い、冬本来の魅力を教えてくれるような景色が広がっていた。ここまで連れてきてくれたアイスガード 7に感謝したい。
  タイヤへの信頼が高まったこともあり、奥入瀬渓流にも足を伸ばした。美しい景色と静かな空間に響く滝の音に癒されながら散策していると深い雪に足がはまり、スノーブーツを持参しなかったことを後悔。クルマに履かせる靴は正解だったが、自分の靴については考えが浅かったようだ。
非降雪地域に住んでいても欲しくなる
  2日目は早起きをして引き続き青森県内を観光。朝はやはり多くの道が凍っている。凍結路は非降雪地帯に住んでいる人や雪道走行に不慣れな人にとってはもはやトラップだ。圧雪路は視覚的にわかりやすいため心構えができるのだが、凍結路はアスファルトの灰色が見えているにもかかわらずブレーキを踏むと止まらない。目算と実際の制動距離の差が大きいのだ。どんなに高性能なスタッドレスタイヤを履いていたとしても、細心の注意を払いたい。
  そんなことを考えながら信号の手前で早めにブレーキを踏む。タイヤがしっかりと路面を噛んで止まるのがわかる。もちろん制動距離は伸びるが、滑っている、止まろうとしている、まもなく止まる、というのが感覚として伝わってくるためヒヤヒヤせずに済んだ。
  アイスガード 7の性能に感心していると、あっという間に弘前城のある弘前公園が見えてきた。朝にはめっぽう弱いうえに慣れない雪道運転。ヘロヘロかと思いきや、時間にも心身にも余裕のある状態で到着。営業開始30分前に着いてしまい、車内で待機することとなった。
  おあずけを食らったこともあり、初めて目にする弘前城に感慨もひとしお。
  弘前城は弘前藩祖・津軽為信が計画し、2代藩主信枚が築城。東北唯一の現存天守だという。
  桜の名所として有名だが、雪がしんしんと降るなかの弘前城にも趣があり、寒さを忘れて見入ってしまった。
  続いて文豪、太宰治の生家であり現在は記念館となっている斜陽館へ。
  道中、雪が強まってきて幹線道路には轍ができていたがハンドルが取られることはなく、アイスガード 7の頼もしさを実感した。
  太宰治の作品を愛してやまない私がいつか来てみたかった斜陽館。明治40年に太宰治の父・津島源右衛門によって建てられた、約680坪の大豪邸だ。書斎の襖に書かれた漢詩には「斜陽」の文字を発見。太宰治が使っていた執筆用具、直筆原稿、書簡などの展示に心が躍る。マントを羽織ることもでき、仕事であることを忘れかけた。
  斜陽館を後にし、津軽鉄道・芦野公園旧駅舎を活用した喫茶店「駅舎」で休憩。ノスタルジックな店内やほろ苦い珈琲に癒された。
「走れメロス号」を間近で見ることも叶い、感激。雪のなかを走る列車が過酷な状況の下、友のために走るメロスの姿と重なった。
「駅舎」を出た後、芦野公園内にある太宰治銅像にお礼を告げてこの日のラスト、高山稲荷神社へ。
  すっかり手に馴染んできたアイスガード 7。ワインディングでも不安がない、どころか走りを楽しんでしまった。雪道でのグリップ度合いがステアリングを通じてしっかりと伝わってくるのだ。
  標高約22mの地に数えきれないほどの鳥居が並ぶ高山稲荷神社の景色は圧巻。朱色の鳥居と真っ白な雪のコントラストは、息を呑むほど美しかった。
  二日間の旅で降雪地帯の路面は、その時の雪の状況や場所によって大きく変化することを知った。そして驚いたのはアイスガード 7が想像以上にあらゆる状況に対応していること。圧雪路を走った際の感想を「思ったより普段と変わらない」と記したが、以後、凍結路やシャーベット状態の路面、また狭路や幹線道路、ワインディングを走ってもその印象は変わらなかった。
  私は非降雪地域に住んでおりクルマ通勤をしているわけでもなく、雪道での運転が必須という状況ではないため、今までスタッドレスタイヤを購入してこなかった。だがこれほど安心していつも通り走れるのであれば、愛車にアイスガード 7を装着してさまざまな場所に赴いてみるのもいいと思った。日本には四季という魅力があるのだから。
  さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行かう。絶望するな。では、失敬。(太宰治『津軽』より引用) 
 装着タイヤ:iceGUARD 7(アイスガード セブン) 試乗車:ホンダZR-V e:HEV Z 装着サイズ:225/55R18(前後)
 【詳しくはこちら】 問い合わせ:横浜ゴム株式会社 0120・667・520(受付時間 平日:9:00~17:00) https://www.y-yokohama.com/product/tire/iceguard_7/

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