メガネのように気軽にかけられるXRグラスをめざして。製品発表直後のNTTコノキューデバイス製「MiRZA(ミルザ)」はどのように誕生したのか。

2024.09.30 11:00
 2024年9月9日(月)、株式会社NTT QONOQ(以下、コノキュー)とシャープ株式会社(以下、シャープ)の合弁会社として誕生した株式会社NTTコノキューデバイス(以下、コノキューデバイス)は、グラス型XRデバイス「MiRZA(ミルザ)」を発表しました。
※プレスリリース
 MiRZAは、「いつでもどこでも気軽にかけられる」ことをコンセプトに開発された、軽量×無線接続×6DoF※対応のXRグラスです。
※6DoF:6つの方向性の自由度を指す。デバイスをつけて、その場で「首を上下に振る」「首を左右に振る」「見渡すように首を回す」ことに加え、歩行などの手段でユーザー自身が「前後・左右・上下に移動」をすることが可能で、ユーザーの物理的な移動にコンテンツが連動する。没入感のあるコンテンツ体験


 今回は、発売開始に先立ち、開発者のこだわりが詰まったMiRZAの製品発表に至るまでの開発エピソードをコノキューデバイス社員にインタビューしました。
(NTTコノキューデバイス取締役 小木曽 敦)
企画から開発、販路開拓まで全体を統括
(NTTコノキューデバイス設計開発部課長 山岡 英司)
MiRZAの開発・制作を担当
【1】コノキュー事業開始からわずか半年で事業を開始したコノキューデバイス
市場ニーズに迅速に・柔軟に対応したデバイス開発をめざす
―2022年10月にコノキューが事業を開始していますが、そこからコノキューデバイスが生まれた背景を教えてください。


小木曽:
XRは、未来の社会と私たちの生活を大きく変える可能性を秘めた技術だと考えています。そのXR領域でデバイスによる価値創造をめざす点において、コノキューとシャープの方向性が一致し、「株式会社NTTコノキューデバイス」の設立に至りました。
NTTグループの「XRをはじめとしたサービスやソリューション商材や販売網」と、シャープの「デバイス設計・開発における知見」という双方の強みを活かし、市場ニーズに迅速かつ柔軟に対応した価値の高いデバイスの提供をめざすべく、2023年4月にコノキューデバイスの事業を開始しました。
【2】自社オリジナルのデバイス開発にこだわった理由とは?
さまざまなシーンで気軽に使えるXRデバイスを開発したかった
―世の中に既にXRデバイスが複数存在している中で、コノキューデバイスオリジナルのXRデバイスを開発するに至った経緯を教えてください。


小木曽:
XRが注目を集めていく中で、さまざまなシーンで気軽にかけられるXRデバイスがなかなか存在しないと考えておりました。
その原因を模索したとき、XRの領域をより業務や生活のシーンに取り込んでいくには、メガネのように周囲の環境に馴染み、重さや有線の取り回しを気にせずに使えることが課題であると気づきました。
コノキューのサービス・ソリューションとの親和性がある機能を搭載しつつ、デバイスの取り回しやかけ心地を追求するには、自社でオリジナルのデバイスを開発する必要があり、その方がスピーディかつ新しいXRデバイス体験につながると考えました。
XRデバイスをエンターテイメントとしての活用だけでなく、身近にあるメガネのように寄り添い、お客さまの生活の質の向上や、社会課題の解決につながるようなことにチャレンジしたいと考えております。
―MiRZAの特徴を教えてください。


小木曽:
MiRZAという製品ブランドは「ヒトから発想し、ヒトが豊かになるXRを。」というコノキューデバイスの会社ビジョンを起点に誕生しました。人々の業務や生活に寄り添い、「見る」という体験を新しくしたいと言う想いを込めております。今回はその最初の機種となります。
この「MiRZA」は空間認識を生かした遠隔作業支援や教育・トレーニング等のビジネス利用をメインとしつつも、通訳・文字起こしや大画面投影と言った幅広い利用シーンに対応できることも特徴の1つと考えております。
【3】MiRZAのこだわり~軽量×無線接続×6DoF対応~
―MiRZAの主な特徴を教えてください。


山岡:
特徴は3点です。
1つ目はシンプルな軽量メガネ型デザインで、かけやすさを重視していること、
2つ目はスマートフォンと無線接続で有線のわずらわしさを軽減していること、
3つ目は6DoFコンテンツを高輝度・大画面で体験できることです。


―現在世の中にあるXRデバイスと比較したMiRZAの強みは何ですか?


山岡:
デバイスの特徴でもあるのですが、無線接続も含めて「メガネのように気軽にかけられる」ことと、「大画面で自由に3Dコンテンツを配置できる」ことの両立は、実は今までありそうでなかった新しいXRデバイスの領域だと思っています。
―なぜ6DoF対応や無線にこだわったのですか。


山岡:
まず6DoF対応についてお話しすると、我々は今回のデバイスの開発にあたって、情報やコンテンツを単に表示させたり受信したりするだけではなく、「空間に重ねる、自由に置く」ことができるというのが、XRグラスの本質的価値のひとつであると考えました。
実はこの「空間に重ねる、自由に置く」という行為は「広い視野角(=見える)」と「透過性が高く、かつ高輝度の表示(=見やすい)」という技術要件も利便性の重要なファクターになります。そういった意味で光学系の選定や開発も6DoF採用と合わせてこだわったポイントになっています。


次に無線化についてですが、きっかけはXRユーザーのおよそ半数が「XRデバイスのケーブルが煩わしい」と感じている、というシンプルなものでした。そもそも何のためにXRグラスを使うのかということを考えると、スマートフォンを手に取ったり、ディスプレイをのぞき込んだりする煩わしさからの解放というのがテーマの一つだと思っていて、今後ユーザーの生活にXRグラスが溶け込んでいくにつれて、無線化のニーズはより一層強くなると考えています。


―今回は、「JAPAN MADE」ということですが?


山岡:
XRデバイスは現在海外メーカーが主流ですが、今回の「MiRZA」は国内市場に焦点を当てました。当社独自のサービスやコンテンツをより良い形で提供するために、自社での企画および設計開発にこだわったことで、結果としてユーザーの体験価値を高めることができたと思います。
また、今回のデバイスは国内で製造しております。開発担当者が製造工程まで担い、実体験や評価で得られた課題を早期にフィードバックすることで製品としての質の部分も向上させていく活動ができたと感じます。
その製造委託先として、シャープにサポートいただいています。
【4】開発陣のこだわりが詰まった「MiRZA」。苦労したポイントとは?
コンセプトである「かけやすさ」とは何かを定義し、徹底的に検証
―今回のデバイス開発にあたり苦労したポイントはどういったものでしたか?


山岡:
今回メガネ型デバイスの開発にあたり、開発の初期段階でかなり苦労したのは「かけやすさ」を定義する必要があったことです。
さまざまなサイズや形状の頭部が想定される中で、それを一つのデバイスでカバーするという目標を実現するために、メガネのフィッティング要素を抽出して、どうすれば軽く感じるのか、疲れにくいのか、不快感が少ないのかというところを徹底的に検証し作りこみました。
これまで培ってきた小型軽量化の技術に加えて、アカデミックなアプローチだけでなく、多くの方に実際に試作機をかけていただくことで、その感覚を可視化し「かけやすさ」とは何かを追い求めていきました。
最終的にはメガネとはまた異なる新たなXRグラスフィッティングの基盤を作ることができたと思います。
【5】「かけやすさ」に徹底的にこだわって生まれたMiRZA。今後の展望とは?
―今後、コノキューとはどのような連携をしていく予定ですか?


小木曽:
サービス・ソリューションとデバイス開発両方のアセットを有するグループ企業として、さまざまな業務課題解決に向けたソリューション開発、新たな利用シーンの創出、お客さまや社会課題の解決に貢献できるよう、連携をしてまいります。
―最後に、今回の「MiRZA」発売を通して、今後どのような世界を実現したいですか?


小木曽:
「MiRZA」は、軽量×無線接続×6DoFというユニークな特徴を持っているため、まずはXRデバイスをよくご存知の方々に是非手に取っていただきたいという思いがあります。
それに加えて、これまでARやMRの世界を体験したことがない方々にも、さまざまな利用シーンで活用いただきたいと考えております。
多くの方々の業務・生活をより豊かに、社会課題の解決につながる一助になれるように、サービスや利用シーンの拡大を推進してまいります。
山岡:
今回のデバイスのリリースはコノキューデバイスの長期的なビジョンのはじめの一歩になると考えています。これまでにない新しい世界をご体験いただくだけでなく、単にテクノロジーを充実させた便利なデバイスとしてとどまらず、その先に待ち受ける新たな課題に対処し、さらには個々の生活や社会の実情を再認識することで、デバイスも進化し続け、人々の豊かな暮らしに貢献していきたいと考えております。


■会社概要
【株式会社 NTTコノキュー】
代表取締役社⻑:丸山 誠治
所在地:東京都千代田区永田町2丁目11番 1号山王パークタワー7階
HP:
2022年10月1日より株式会社NTTドコモ100%子会社として事業を開始いたしまし た。 個人のお客さま・法人のお客さまに対して、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などXRを用いて、メタバース・デジタルツイン・XRデバイスの3つの事業を柱に、さまざまなサービス、ソリューションを提供いたします。


【株式会社NTTコノキューデバイス】
代表取締役社長:堀 清敬
所在地:東京都千代田区永田町2丁目11番1号山王パークタワー7階
HP:
2023 年4月3日より株式会社NTTコノキューとシャープ株式会社の合弁会社として、コノキューXRサービスとの親和性を高める、革新的なデバイスを開発・提供するために事業を開始いたしました。リアルとバーチャルが融合した”新”時代を実現するためのXRデバイス開発・普及をめざしXRの新たな価値を提供いたします。

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