なんとその差は6.5倍! 営業マン御用達の商用バンは「トヨタ・プロボックス」が「日産ADバン」より圧倒的に売れるワケ

2024.09.19 17:20
この記事をまとめると
■バンはかつてセダンをベースに作られていたほかファミリカーにもなっていた
■現在はハイエースやキャラバンのほか軽の商用バンなどがその役目を担っている
■トヨタ・プロボックスと日産ADそれぞれの存在意義と販売台数の差について解説する
かつてのバンはファミリーカー的な側面ももっていた
  かつての日本車には、セダンをベースに開発されたバンが豊富だった。セダンのルーフを後方へ長く伸ばした商用車で、後席の後ろ側には使いやすい荷室が備わる。そしてバンと同じボディを使って、ワゴンを用意する車種も多かった。
  後席よりも荷室面積を広く確保すると4ナンバー登録のバンになり、後席が荷室よりも広ければ、乗用の5ナンバー車として登録される。税額は総じてバンが安い。
  昔は所得や物価に対してクルマの価格が割高で、複数の車両をもちにくいため、セダンをベースに開発されたバンをビジネスとファミリーカーの両方に使うユーザーも多かった。1970年代の中盤までは、休日になると、家族でバンに乗ってドライブに出かける光景も頻繁に見かけた。
  ところがいまは、いわゆるボンネットバンの需要は大幅に減った。背景には複数の理由があり、まずはクルマの価格が下がり、ビジネスとパーソナルユースを兼用するニーズも減ったことだ。また、軽商用車の機能が向上して荷室も広くなり、商用車全体の半数以上を占めて、小型車のバンはエブリイやハイゼットカーゴに置き換わった。
  そして、軽商用バンで荷室が狭い場合は、価格が高いがハイエースを買う。ハイエースは数年間使ったあとでも高値で売却できて資産価値も高い。複数のハイエースを所有する法人が、数台を売却すれば、運転資金に充てることも可能だ。
  このように、日本のバンのニーズは、いまでは軽商用バンとハイエース、キャラバンがあれば満たされてしまう。セダンの衰退もあり、いまでは背の低いバンは、形状の似ているワゴンと併せて車種数を大幅に減らした。
トヨタは販路が強い
  それでも少数ながら、ワゴンスタイルのバンが残っている。トヨタ・プロボックスと日産ADだ。両車ともにコンパクトな4ナンバー車で、全高は1550mm以下に収まる。
  トヨタの販売店にプロボックスについて尋ねると以下のように返答された。
「プロボックスは営業や配達など、大きな荷物を積まない使われ方をすることが多い。ハイエースと違って、立体駐車場を利用しやすいこともメリットだ。低重心だから、高速道路を使って長距離を移動する使われ方も目立つ」
  このように背の低いバンのプロボックスとADには、乗用車に近い用途がある。そのために長距離を移動することも多く、開発者は以下のように説明した。
「長距離を移動すれば、車内の滞在時間も長くなる。そのためにオフィスのような機能が求められる。そこでインパネにテーブルを装着するなど、パソコンを使ったデスクワークや食事をしやすくした」。
  そこで、バンの売れ行きを見ると、2023年の1カ月平均登録台数は、プロボックスが4931台、ADは757台であった。プロボックスの売れ行きはライズやヴェゼルと同程度で、小型/普通乗用車の人気車に相当する。ADはプロボックスの15%程度と少なく、リーフやGR86と同等の売れ行きだ。
  プロボックスの登録台数がADに比べて圧倒的に多い背景には、複数の理由がある。まずプロボックスは引き出し式テーブルを装着するなど、使い勝手が優れていることだ。パワーユニットも異なり、プロボックスにはADが用意しないハイブリッドが設定される。
  しかもハイブリッドはオートエアコンなども標準装着され、ノーマルエンジンと比べたときの価格アップを27万5000円に抑えた。最近のトヨタ車には35万円の価格差が目立つが、これと比べてもハイブリッドが相対的に安い。
  そしてトヨタは、ハイエースの好調な販売からもわかるとおり、法人向けの営業が強い。全国の販売店舗数も日産の約2倍だから、好調に売られる条件がそろっている。

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