【著者初のベスト版刊行】試練を負い、筆を口にくわえて花を描き続けた星野富弘・累計360万部以上の「花の詩画集」&エッセイのベスト版 2冊同時発売!

2024.09.18 10:37
偕成社
ミリオンセラーの著者として知られる、2024年4月に78歳で逝去された星野富弘さん初の「花の詩画集」&エッセイのベスト版
1980年代から、星野富弘さんの作品を出版してきた株式会社偕成社(出版社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:今村雄二)は、『《花の詩画集》ベストセレクション ただ一つのものを持って』、『星野富弘 エッセイベストセレクション ひと枝の花に似て』(ともに星野富弘 著)を10月2日に同時発売します。

▼《花の詩画集》ベストセレクション ただ一つのものを持って
▼星野富弘エッセイベストセレクション ひと枝の花に似て
20代のときの事故がきっかけで四肢の自由を失い、その後、50年にわたり筆を口にくわえて花と詩を描いてきた星野富弘さんは、『《花の詩画集》鈴の鳴る道』(207万部)、自らの半生をつづった手記『かぎりなくやさしい花々』(106万部)などの著者として知られ、今回刊行する2作はその星野さんの集大成ともいえる、著者初のベスト版です。

「《花の詩画集》ベストセレクション」には星野さんの詩画106点を収め、最期の作品となった「ツワブキ」(2017年)を初収録。「星野富弘 エッセイベストセレクション」には、『かぎりなくやさしい花々』のダイジェスト版を含む感動の随筆を集めたほか、50年間にわたり星野さんの画業を支えてきた妻・昌子さんがはじめて星野さんとの出会いからこれまでを語る、回想録を収録しています。
「今日も一つ 悲しいことがあった 今日もまた一つ うれしいことがあった 笑ったり 泣いたり 望んだり あきらめたり にくんだり 愛したり・・・・・・・・そして これらの 一つ一つを 柔らかく包んでくれた 数え切れないほど沢山の 平凡なことがあった(日日草)」『《花の詩画集》ベストセレクション ただ一つのものを持って』より
「神様がたった一度だけ/この腕を動かして下さるとしたら/母の肩をたたかせてもらおう/風に揺れる/ぺんぺん草の実を見ていたら/そんな日が/本当に来るような気がした」(『《花の詩画集》ベストセレクション ただ一つのものを持って』より)
「結婚ゆび輪はいらないといった/朝、顔を洗うとき/私の顔をきずつけないように/体を持ち上げるとき/私が痛くないように/結婚ゆび輪はいらないといった/今、レースのカーテンをつきぬけてくる/朝陽の中で/私の許(もと)に来たあなたが/洗面器から冷たい水をすくっている/その十本の指先から/金よりも銀よりも/美しい雫(しずく)が落ちている」(『《花の詩画集》ベストセレクション ただ一つのものを持って』より)

星野富弘さんと花の詩画について
星野富弘さんは、1946年、群馬県勢多郡東村(現みどり市東町)に生まれました。体操と登山に夢中な若者でしたが、体育教師となってまもない24歳のとき、部活動の指導中の事故で四肢の自由を失います。
星野富弘さんと看病をされるお母さま(1970年代ごろ)

懸命な治療と看病により、なんとか一命をとりとめましたが、一生寝たきりの身となることを知り、星野さん自身は生きることへの意欲を失いつつありました。そんな自暴自棄ともいえる日々に変化を与えてくれたのが、口にペンをくわえて紙に描くことでした。はじめは線を書くのがやっとでしたが、だんだんと文字を描けるようになり、やがて筆で花の絵を描き、その花に詩をそえるようになります。
入院中に書いた八木重吉の詩 1972~73年のスケッチブックより
弟が作った架台を使い、病室で花の絵を描く。 〈1975年〉

それは「詩画」と呼ばれ、数々の胸をうつ作品は、1979年以来、国内外で開かれてきた「花の詩画展」や、書籍の出版を通じて、またたく間に全国で知られるようになります。
「生きる希望をもらった」全国から感動の声! 詩画集、エッセイはいずれもミリオンセラーに
偕成社ではこれまでに数多くの星野富弘さんの書籍を出版しており、詩画をエッセイとともに本にまとめた『《花の詩画集》鈴の鳴る道』(1986年/偕成社)は207万部を記録、シリーズ(全6巻・写真)は累計360万部を突破するほか、自らの半生をやさしい文章で書いた『かぎりなくやさしい花々』は106万部を超えるベストセラーとなっています。
作品は教科書にも掲載されており、愛読者はがきでは「いろんな苦しみがある中で、この本をかいてくれたんでしょう。わたしは、すごく、心をうたれました。すばらしい方だと思いました。(9歳)」「心と体が弱っていたときに、本屋さんで見つけました。私もがんばらないと!と前を向くことができました。(70代)」「大切な人と別れがあり、悲しみにおちこんでいる友人のプレゼントにしてあげたいと思います。(80代)」「もうこれ以外に生きてゆく方法はないと思いつめても未だ生き方はあるものです。よき教示をいただきありがとうございました。希望を持って生きていきたいと思っております。(20代)」など、全国から感動の声が数多くよせられています。
担当編集者から「ベスト版刊行にあたり」
 星野富弘は、その生涯で500点を超える詩画を制作しました。けがをしてまもない初期の作品には、命の尊さ、かけがえのなさを描いた迫力のある詩画が多く見られますが、身体が安定期をむかえると、主題は、なにげない日々のくらし、時事、ときにユーモアあふれたものへと移っていきます。そうしたなかでも、一貫していたのは、自然への賛美と、愛への信頼、そして確固たる信仰で、生前さいごの詩画「生かされて」(『《花の詩画集》ベストセレクション ただ一つのものを持って』p.113)でも見られるように、それは終生ゆらぐことはありませんでした。
 その一方で、すぐれたエッセイの書き手でもあり、名随筆をたくさん残しました。入院中の自らの内面を見つめたもの、少年時代のユーモアと郷愁、妻・昌子さんとの出会いと結婚、戦後を生きた父の思いなど、どれも透徹した視点からつづられ、打ちのめされるような文章ばかりです。また本エッセイ集には、はじめて昌子さんによる文章を収めました。これまでの読者にはことなる方向からみた星野さんを、初めて知る読者には、ふたりのつよい紐帯を感じてもらえると思います。
 星野さんの詩画やエッセイは、ときとして弱い立場や、迷い苦しんでいる多くの人たちを長らく勇気づけてきました。星野さんのいなくなったこれからも、多くの人をはげましつづけることでしょう。今回の新刊2点がその後押しをすることになれば、これ以上の喜びはありません。どうぞ、よろしくお願いいたします。
著者紹介
1946年、群馬県勢多郡東村(現みどり市東町)に生まれる。群馬大学教育学部卒業後、中学校教諭になるが、クラブ活動の指導中に頸髄を損傷、手足の自由を失う。
入院中、筆を口にくわえて文や絵を描き始める。1979年、前橋で最初の作品展を開催。以後、国内外で「花の詩画展」を開く。1991年、村立・富弘美術館が開館、2005年のリニューアルをへて、2021年には入館者が700万人を突破。2006年には、群馬県名誉県民として顕彰される。2024年、呼吸不全のため逝去。
著書に『新装版 愛、深き淵より。』『新編 風の旅』『たった一度の人生だから』(日野原重明氏との対談)『かぎりなくやさしい花々』『鈴の鳴る道』『速さのちがう時計』『あなたの手のひら』『花よりも小さく』『足で歩いた頃のこと』『山の向こうの美術館』など。
書籍詳細
『花の詩画集ベストセレクション ただ一つのものを持って』
著:星野富弘  
定価1,980円(税込)
判型:22cm×17cm
対象:一般むき
ページ数:120ページ
ISBN コード:978-4-03-963980-6
発売日:2024年10月2日
◎偕成社HP書誌情報:
『星野富弘エッセイベストセレクション ひと枝の花に似て』
著:星野富弘  
定価1,650円(税込)
判型:19cm×13cm
対象:一般むき
ページ数:184ページ
ISBN コード:978-4-03-634760-5
発売日:2024年10月2日
◎偕成社HP書誌情報:
ソフトカバー

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