旅の目的になる料理と宿を。琵琶鱒に惚れた男の物語

2024.08.30 16:01
日本の紅葉の名所100選 日本街路樹百景に選ばれている滋賀県高島市マキノ町のメタセコイヤ並木。その入り口に2024年7月、
レストラン併設一棟貸し宿 「オーベルジュ 晴遊(はるゆう)」がopenしました。
オーナー兼料理人の於勢晴彦は、15年前大阪で独立。
12年間営業していた「晴遊食堂」をコロナ感染症蔓延の兆しを感じさせる第一報の報道があった2020年1月、都市部経済の鈍化を懸念し移転を決意。釣りで訪れたことのあった滋賀県マキノ町へ移しました。
そして移転から3年、おいしい料理を高島市の大自然の中でゆっくりと堪能していただきたいという思いから、レストラン同敷地内に宿泊棟を新築。2024年夏に宿泊施設「オーベルジュ 晴遊」として新たにオープンしました。若い頃から飲食業一筋で、大阪で独立を果たし、なぜマキノ町に移り住み、漁師としての新たな道を選んだのか。そして「オーベルジュ 晴遊」に込めた想いや、未来のビジョンについてお話します。

●現代の価値観 自身の生き方の答え合わせ

子どもの頃から大の釣り好き。生き物好き。
学生時代のアルバイトからずっと飲食業で、大手チェーン店の店長や複数店舗の展開を経験し、39歳で独立。身に付けた技術で成果を上げ経営は順調、しかし50歳を過ぎる頃には、お客様が来店し仕事があり、売上が存在し経費を払い生活する・・・継続や存続が最終目標であれば成功と言えるものの、10年前と変わらない生活への違和感が大きくなっていたのです。

その転機が訪れたのは2020年の新型コロナウイルス感染症の流行でした。特に都市部での経済活動の鈍化を予測すると同時に、これからの自分の生き方や価値観を見直そうと。
丁度そのころは都市部での作業に忙殺され「食事というゲストが楽しむ時間をお預かりする」という独立した本来の気持ちが薄れてしまっていた頃でもあったのです。
コロナ以前より自社物件での運営を目標にしていたこともあり大阪の山間部の物件を探していたのですが、いっそのことなら滋賀県マキノ町でも・・・と現在に至ります。

●マキノ町との出会い


移転より遡ること3年前、生まれて初めて琵琶湖固有種ビワマスを釣りに来た際、琵琶湖と山々に囲まれた雄大な自然と澄んだ空気に感動しました。その印象が強く残っていたので、マキノ町で物件を探し、幸運にもメタセコイヤ並木の近くにある古民家と出会い、2021年に移転オープンすることができました


●飾らない料理を、最上級の美味しさに。
常に心がけているのは、「飾らない料理を、最上級の美味しさに」ということ。
メニューはハンバーグや海老フライ、カレーといったスタンダードな料理が中心。
「どこにでもあり、誰もが食べたことがあり、誰でも作れる料理を、どこよりも美味しく」
それこそが本当に美味しいものだと考えています。
また、近江牛やビワマスをはじめ、滋賀県や琵琶湖には素晴らしい食材が多い。それをお届けすることも地域貢献につながると考えています。


●移転後にプロの琵琶鱒漁師に
ビワマスは琵琶湖固有の魚で、世界中で琵琶湖にのみ棲息、一説には50万年前からとも。そして此処マキノ町を流れる知内川が産卵地となっています。琵琶湖でトローリングによって釣る楽しさと、食材として淡水魚とは思えぬ脂乗り、食した人の度肝を抜く美味しさがビワマスの魅力です。生物学、生態環境、食材、全てに於いて類い稀な奇跡の存在です。
その奇跡の存在を育む場所であるマキノ町に移転後、地元の漁業組合にも参加させていただき漁師としてシーズンには早朝に船で琵琶湖へ漁に出ています。
ビワマスは店内で料理として提供するほか、昆布締めや燻製に加工して商品としても販売、ふるさと納税返礼品に登録し提供することで自治体へ貢献し恩返しになればと考えています。


●外食や宿泊は非日常。「お客様の楽しむ時間を預かる」という思い。

この琵琶湖北西部という地域は、琵琶湖でのレジャー、登山、キャンプ、スキー、ドライブなど、一年を通してさまざまな目的で人々が訪れます。そんな遠方から訪れるお客様に「この素晴らしい場所でもっと楽しんでいただきたい」という思いがレストラン営業の延長線上に宿を作るという答えに私を自然に導いたのかもしれません。

移転後、驚いたことは、大阪時代のお客様が大勢、100kmも離れた店にわざわざ足を運んでくださることでした。当時は忙しくお客様と話す余裕もなく作業に忙殺される中でも頑なに手作りに拘り続けていた信念は「たくさんの人に幸せを感じていただいていた」というご褒美になったのです。その後も、地元のお客様、旅行のお客様、様々なお客様とマキノ町の魅力を共有できた日々がニュートラルな気持ちでお客様と向き合い、会話を楽しめるまでに私自身までもヒーリングしてくれたようです。これも、この地に移ったからこそ得られた大きな変化です。

●宿の特徴

既存レストランと同敷地内にある宿泊棟。
一日一組限定の一棟貸切り、1階に寝室、2階にリビングと浴室を備えています。
浴室はヒノキと御影石を用いた贅沢な作りで、2階リビングの窓からはメタセコイヤ並木や山々の風景を一望できます。
インテリアは、地元の木工作家さんに依頼した作品や、琵琶湖で集めて自分で制作した流木ライトやオブジェを配置しています。
夕食はレストランで提供しています。
外食や宿泊は非日常の体験であり、すべてが自宅とは異なる空間やサービスの提供が重要だと考えています。私が目指したのは、宿、風呂、食事のすべてに代金を支払う価値ある場所。景色を楽しみ、静かな時間をゆっくりと過ごす贅沢。旅行が一生の良い思い出となりますようご用意いたしております。


●食べて、泊まって、知っていただく。

「オーベルジュ 晴遊」を運営していくことによって滋賀県やマキノ町、琵琶湖や琵琶鱒にふれていただく方が増える。旅行の動機となり得る店作りを洗練していくことが地域経済への貢献や認知度向上のお役に立てればと考えています。
また漁師として活動していく中で、琵琶鱒を取り巻くさまざまな背景や課題も見えてきました。釣る、獲る、食す、守る、増やすといった各立場からの見解の相違もあります。これらに関わる一員として、情報発信や啓発を行うことも私にできる貢献なのではと思っています。
実は、子どもの頃の夢は漁師や魚の研究者になることでした。飲食一筋の人生で、半周回って子供の頃の夢に少し近づいたように思います。自然の生き物から学ぶことは多く、生き物として「幸せに生きる」ことが私の理想です。振り返ってみると、すべてはさまざまなタイミングが重なり、ご縁によって実現できたことばかりです。
これからの未来へ向けて、琵琶湖や自然に対して、またお客様に対して、50代になった今だからこそできることを追求していきたいと思っています。

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