意味なんか知らんけど……日本人ならではの語感で「微妙」「イケてる」輸入車車名を考えてみた!

2024.08.27 17:30
この記事をまとめると
■輸入車には実際の意味とは無関係にその響きが妙にイケてると感じる車名が多い
■イケてると感じる輸入車の車名の意味を調べてみた
■車名の意味や由来は日本人に馴染みのないものも多くてまったくイメージできない
かっこいい車名のクルマをピックアップ
  昔どこかで耳にした「アンフィビアン」という外国語の響きを、妙に気に入っていた時期がある。どこの国の言葉で、どういった意味かはわからなかったが、響きから推測する限りではたぶんフランス語で、意味は「おしゃれな」みたいな感じだろうか? いつの日かフランス人と会話する機会があったなら「Tu es tresアンフィビアン!(あなたはとってもおしゃれですね!)」といってみようと、心に決めていた。
  だが、数年後にふと辞書を引いてみたところ、アンフィビアン(amphibian)とは「両生類」を意味する英語であることを知った。フランス人に「君は両生類だね」といわずに済んで、本当によかった。
  そして、これと似たようなことは「輸入車の車名」においても起こり得るだろう。実際の意味とはまったく無関係に、なんだか妙にイケてる感じに思える車名もあれば、その逆に「微妙……」と感じてしまう欧文車名もあるわけだ。
「意味はわからないが、妙にイケてる感じに思える車名」といえば、例えば、フォルクスワーゲンのフラッグシップセダン「アルテオン」だろうか。意味はよくわからないが、その響きと字面から推測する限りでは、エーゲ海あたりにある古く荘厳な神殿(の遺構)を意味しているはずだ。フラッグシップセダンにふさわしい、荘厳でよき車名である。
  が、いまググったところによれば、アルテオンとは神殿ではなく「芸術を意味する“Art”と、最上級や永遠を意味する“eon”を組み合わせた造語」であるとのこと。ううむ、神殿ではなかったか。というか神殿で有名なのはパルテノン神殿だったか。そういえば。
  それはさておき、ランボルギーニ・アヴェンタドールの「アヴェンタドール」も、キレがあるのにコクもあるというか、シャープでありながら肉感的でもある、スーパーカーにふさわしい素敵な車名であると感じる。イタリア語のことはよくわからないのだが、意味としては「イケメン闘牛士」みたいな感じだろうか?
  いや、いま調べてみたらアヴェンタドールとはイケメン闘牛士のことではなく「1993年にスペインのサラゴサ闘牛場に登場した、勇敢さと凶暴さで知られた伝説の猛牛の名前」であるらしい。ううむ。ちょっと違ったが、まぁ当たらずといえども遠からずといったところであろう(いや、遠いか)。
  筆者がそれを購入できる機会は未来永劫にわたってないはずだが、ロールス・ロイスの各モデルは「イケてる車名」と「微妙な車名」の宝庫であるといえる。
  ロールス・ロイスの車名でイケてるのは、たとえば「ファントム」だろうか。もちろんいうまでもなくファントムとは「幽霊」「幻影」などを意味する英語だが、どちらかというと個人的にはジェット戦闘機「F-4ファントム」をイメージしてしまう。マッハ2を超える速度で走ってくれそうな超高級車である。
  そしてファントムに続く「ゴースト」もイカしているし、ロールス・ロイス初のピュアEVである「スペクター」も、車名単体としてキレがあってカッコいい。なんとなく映画『007 スペクター』を想起させるからというのが、この場合の“キレ感”の正体だが、調べてみると、スペクター(SPECTRE)とは幽霊・妖怪を意味する英語であるらしい。……「秘密組織の名前」じゃなかったのか。というかロールス・ロイスはファントムといいゴーストといい、幽霊系あるいは精霊系のネーミングが本当にお好きですな。
変わったものを連想させるような車名もあった
  そのようなキレを感じさせるネーミングが魅力的なロールス・ロイスではあるが、日本人的に「カリナン」は微妙だろう。カリナンとは「1905年に南アフリカの鉱山で採掘された世界最大のダイヤモンドに付けられた名前」であるらしい。
  が、そんなことはどうでもよくて、車名を聞くとどうしても「仮ナンバー(略称=仮ナン)」のことを思い浮かべてしまうというのが、このプレミアムSUVの日本市場における弱点である。
 また、2015年に発売されたV12搭載のオープンカーのロールス・ロイス・ドーンの「ドーン」は、夜明けや暁を意味する「Dawn」という素敵な英語から来ているわけだが、日本人としては、どうしても喪黒福造の「ドーン!!」を連想してしまうため、これも日本市場の特殊事情に基づく弱点となっていた
  そしてロールス・ロイスに加えて英国のロータスも、(日本人的に)カッコいい車名と微妙な車名がひどく混在しているブランドだ。
  風吹裕矢でおなじみの「ロータス・ヨーロッパ」は最高レベルのキレ味を感じる素敵で潔い車名であり、意味はわからないが「エラン」もなかなかいい感じだ。エランとは、ラテン語で「卓越」を意味する言葉だろうか? ……というのが筆者の直感だが、いまググったところによれば、エラン(elan)とはフランス語を起源とする「鋭気、気力、突進」などを意味する言葉であるそうだ。
「エラン=卓越という意味のラテン語」という筆者のテキトーな山勘も、それなりに大はずれではなかったようでうれしい。
 それはさておき、同じロータスでも「エヴォーラ」はどうしても「エボラ出血熱」を想起してしまうため、なかなか微妙である。もちろんエヴォーラ(Evora)はエボラウイルス(Ebola virus)とは意味もつづりも異なる「ポルトガルの歴史ある街、Evora」に由来しているわけだが、そんな街のことなど申し訳ないがまったく存じ上げないため、どうしてもEvoraと聞けばEbolaのことを思ってしまうのである。VとBの発音の違いとか、知らないし。
  しかし、ロータス・エヴォーラに関しては、ポルトガルのことも知らず、そしてVとBの聞きわけすらできない無知な筆者に非があるといっていいだろう。
  だが、「ロータス 3-イレブン」に関しては、こちらとしても一歩も引くつもりはない。3-イレブン(3-Eleven)といわれれば、こちらとしてはどうしたって「セブンイレブン」または「7 ELEVEN」が頭に浮かび、クルマのことなど、とくに3-イレブンのようなスポーツカーのことなど、イメージできるはずがないではないか。「3-イレブン」と聞いて脳裏に浮かぶのは、おにぎりのことばかりである。
  ロータス社がグローバル市場で3-イレブンを「3-Eleven」として販売するのはまったく構わない。だがなぜ日本市場では別の車名にしなかったのか? ロータス本社および日本のインポーターには猛省を促したい。
  そのほかでは「フェラーリ 12チリンドリ」についてもいいたいことはあるのだが、長くなるので、このへんでやめておこう。

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