古代からの解剖学書が物語る“医学、美術、社会”の変遷『解剖学者全史』9月発売

2024.08.26 12:00

株式会社グラフィック社
グラフィック社は、書籍『解剖学者全史学者とその書物でたどる5千年の歴史』を、2024年9月に発売いたします。

『解剖学者全史』書影

ヒポクラテスにはじまり日本の華岡青洲など古代から現代にいたる「世界の解剖学者」を網羅

現代まで多くの学者が人体の神秘に魅せられ、時に狂乱ともいえる状況を巻き起こしながら、その解明に挑んできました。彼らの書物はいずれも、その時代、その場所で、人体がどのようにとらえられ、解剖学という学問が発展していったかを生き生きと伝えています。
人体にメスを入れ、人体を間近で観察して図解した数々は、単純で図式的なものから、骨格や筋肉、脳、各種臓器の目を見張るような綿密な解剖図までバラエティーに富んでいます。中には、デューラーやダ・ヴィンチら芸術家としても高名な「学者」たちの素描をはじめ、不気味な美をたたえる驚くほど洗練された芸術作品というべきものが含まれており、美術書としても楽しむことができます。
本書は、人体の内部のしくみを解明してきた解剖学や医学の変遷をたどるだけでなく、芸術や社会の発展までを包括してみせる貴重な書物となります。

右「医学典範」人体の筋肉系についてのアヴィケンナ挿図（古代世界の解剖学　紀元前3000年～紀元後1300年）

左「軍医のための外科術」木版画挿絵は一般的な負傷した男や、名称を付けた男性骨格図、鉄の道具での止血と殺菌、頭蓋骨の骨折の穏やかではない仕掛けなど（ルネサンス期の解剖学　1501年～1600年）

「小宇宙概観」17世紀の解剖学の本の歴史に早くから貢献した一冊（顕微鏡の時代　1601年～1700年）

「原位置における内臓の総合解剖学」カラー版の解剖書は一般の人たちにセンセーショナルを巻き起こした（啓蒙の時代　1701年～1800年）

右「解体新書」アジアやヨーロッパのさまざまな原典を用いた複数の図版のある1ページ（1774年）

＜目次＞

はじめに／1　古代世界の解剖学紀元前3000～紀元1300年／2　中世の解剖学 1301～1500年／3　ルネサンス期の解剖学 1501～1600年／4　顕微鏡の時代 1601～1700年／5　啓蒙の時代 1701～1800年／6 発明の時代 1801～1900年

＜著者プロフィール＞
コリン・ソールター
科学・歴史著述家、蔵書家。主な著書に、植物と人体の顕微鏡写真を集めた『科学は美しい（Science is Beautiful）』三部作、人類の月面到着50 周年を記念した『月面着陸（The Moon Landings）』、貝殻と木の葉、バードウォッチングに関するガイドブック『発明について知りたかったすべてのこと（Everything You Wanted to Know about Inventions）』（共著）などがあり、旅行やポピュラー音楽についても広範に執筆している。スコットランドのエディンバラ在住。

布施英利（監修）
美術批評家、解剖学者。東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了（学術博士）。東京大学医学部助手（解剖学）を経て、現在、東京藝術大学美術学部教授（美術解剖学）。『人体、5 億年の記憶からだの中の美術館（光文社未来ライブラリー）』（光文社）、『養老孟司入門――脳・からだ・ヒトを解剖する (ちくま新書)』（筑摩書房）、『現代アートはすごい　デュシャンから最果タヒまで ( ポプラ新書)』（ポプラ社）など著書および監修書多数。
＜書籍情報＞