小さかった店は誕生から13年がたち、街の景色の一部となった
hug coffee(ハグコーヒー)は、持続可能な開発目標(SDGs)にこだわるカフェとして、誕生から13年が経過しました。連日、おしゃれな若者や近所のお年寄り、観光客らさまざまな人々が訪れ、静岡市の中心市街地に根付いた存在となっています。
hug coffeeの始まりは、静岡市出身の中学校の同級生2人が13坪の店を構えたことからでした。2011年3月11日、日本中を揺るがした東日本大震災の日に、hug coffeeは産声を上げました。今や市内を中心に7店舗を展開し、「街のインフラとしての社交場」を目指し、老若男女に愛される店として成長を続けています。
本ストーリーでは、hug coffeeの成長の軌跡、持続可能な取り組み、そして地域との深いつながりについて紹介します。
###コーヒーかすを堆肥に再利用。環境に優しい取り組みの数々
店員がにこやかに客に話しかける店内では、アイスコーヒーを一口飲めば爽やかな風味が鼻を抜け、余分な力が抜けていきます。hug coffeeのコーヒー豆は、豆農家の人権や環境に配慮された「レインフォレスト・アライアンス」認証を受けたスペシャルティコーヒーの取り扱いもしています。
年間4トン近く出るコーヒーかすは堆肥にし、その堆肥で育った野菜を使用・販売するなど、環境にも配慮しています。トイレにはコーヒーかすで作った消臭剤が置かれており、持続可能な取り組みが随所に見られます。
#### 厳選された高品質のコーヒー豆。甘さと酸味のバランスが絶妙な一杯
hug coffeeで提供されるコーヒーは全てスペシャルティコーヒー。
厳選された高品質のコーヒー豆を使用しています。スペシャルティコーヒーとは、甘さ、酸味、味わいなど、一定の基準をクリアしたコーヒーを指します。これにより、コーヒー豆そのものの美味しさを堪能できるだけでなく、品質を守りながら持続的に生産されていることが保証されています。
西門町店で焙煎士が丁寧に焙煎した自家焙煎。コーヒー豆の個性を最大限に引き出すために、焙煎のプロセスに細心の注意を払っています。その結果、豊かな風味と深い味わいを持つ一杯のコーヒーが提供されています。
#### 地元静岡で始まったhug coffeeの起業。二人三脚で乗り越えた多くの困難
hug coffeeの起業の動機は、共同代表である古閑と酒井が、地元である静岡で「面白いことをしたい」という思いから始まりました。二人はそれぞれ世界中を巡り、各地のカフェ文化を体験してきました。特に古閑が影響を受けたのは、アメリカのオレゴン州ポートランドのカフェ文化です。
「地元の人が地元の店を大事にしている」ことに感銘を受け、静岡でのカフェ運営にその理念を取り入れました。
起業当初は、資金調達や店舗選びなど多くの困難がありました。まず、デザインが大家さんや近隣住民に受け入れられず、何度も調整が必要でした。また、当時はコーヒーのテイクアウト文化がまだ広まっておらず、お客様に新しい習慣を楽しんでいただくために試行錯誤しました。
銀行にはコーヒーショップ・テイクアウト店のビジネスモデルを理解してもらうのに苦労し、詳細な説明が必要で、さらに、静岡の街中での高い家賃の中で、理想的な立地を見つけるのも難しい点でした。
しかし、二人はそれぞれの強みを生かし、古閑がビジネス展開を考え、酒井が接客でお客様との関係を築き上げていきました。
これらの経験を通じて、多くのことを学び、成長することができました。
####「バリスタは空間デザイナー」温かい接客でファンを獲得
2011年に誕生した1号店はテイクアウト中心でしたが、個性を全面に出した接客で、スタッフに会いに来るファンも獲得しました。1年に1店舗のペースで成長し、現在では市内に7店舗を展開しています。酒井は「店員が楽しんでいればお客さんも楽しくなる。バリスタは空間デザイナーでなきゃ」とスタッフに伝えています。
常連客の中には、初めてhug coffeeを訪れたときにスタッフの温かい接客に感動し、以来通い続けているという人もいます。また、特定の季節限定メニューを楽しみにしているお客様も多く、毎年その時期になると足を運ぶ方も少なくありません。
#### 「静岡市SDGs連携アワード」のサスティナビリティ部門賞を受賞。コーヒーかす堆肥化の取り組み
hug coffeeは、コーヒーかすを堆肥にする取り組みで「静岡市SDGs連携アワード」のサスティナビリティ部門賞を受賞しました。全店舗で廃棄されるコーヒーかすは年間4トンに達し、地域団体と協力して微生物で発酵させ堆肥にすることで、廃棄量をゼロにすることができました。
#### 地域とのつながり
2022年からは、静岡の商店や企業とコラボレーションをする「はぐるまプロジェクト」を開始し、地域との新たな化学反応を生み出しています。
アーティストの個展や学校の職業体験など、多岐にわたる取り組みを行っています。
さらに、地元企業とのコラボレーションにも力を入れており、静岡の老舗あんこ屋「小沼製餡」との共同開発による「はぐどら」や「珈琲羊羹」、
同じく老舗の豆豊商店とのコラボ商品「ハグナッツコーヒーピーナッツ」などを展開し、
商品だけでなく、地元企業にお邪魔し、勤務されている皆様にドリンクを提供し、居心地のいいサードプレイスとして地域との交流を持ち、地元の魅力を発信する機会をいただいています。
これにより、地域のSDGs活動にも積極的に参加し、学生レポーターと協力してSDGsの意識向上を図る企画も開催しています。地元の若者たちにもSDGsの重要性が広く伝わり、具体的な行動に繋がるよう支援しています。
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#### 未来に向けたhug coffeeの挑戦。「街のインフラとしての社交場」を目指して
hug coffeeは、一杯のコーヒーを通じて人々をつなぎ、街をデザインするカフェ。
コーヒーの美味しさだけでなく、持続可能な取り組みや地域とのつながりを大切にし、これからも静岡の街に新しい可能性を生み出し続けます。今後は、さらに多くの人々にhug coffeeの魅力を知ってもらうため、新しい店舗の展開や新サービスの導入を計画しています。
hug coffeeは、地元静岡で13年にわたり愛され続けるカフェとして、持続可能な取り組みと地域貢献を軸に成長してきました。これからも「街のインフラとしての社交場」を目指し、多くの人々に心地良い空間と美味しいコーヒーを提供していきます。
▼hugcoffee オフィシャルサイト・オンラインストア