社会と共創する「笑いと健康プロジェクト」を本格始動~「笑いのチカラ」を企業の健康経営を後押しする新たな柱に~

2024.08.20 10:00
吉本興業株式会社

吉本興業ホールディングス株式会社は、「笑いのチカラ」でココロやカラダに関する社会課題の解決を目指す新たな共創プロジェクト「笑いと健康プロジェクト」を立ち上げました。同時に、「笑いのチカラ」を信じる様々なパートナー企業、研究機関、団体等の皆様を広く募集いたします。
プロジェクト発足の背景
コロナ禍を経て多様な働き方が広がった一方、人と人とが一緒に笑い合える環境や連帯感が希薄となり、孤独やメンタルヘルスの不調といった新たな社会課題が浮き彫りになってきました。
これまで社会に「笑い」を届けてきた吉本興業として、これからの社会が抱えるあらゆるココロやカラダに関する課題解決に「笑いのチカラ」で貢献することができないか。そんな思いから、このプロジェクトが発足いたしました。

「笑い」を処方できる世界を目指して
人的資本経営や健康経営への注目度が増している昨今、ひとりひとりのココロの健康をもたらす「笑いのチカラ」は、従業員の活力やモチベーションおよび創造力を高め、結果として組織全体に生き生きとした連帯感をもたらし生産性の向上に寄与する、すなわち企業の持続可能な事業成長を後押しする重要なファクターになるとわたしたちは考えています。

プロジェクトが目指すこと
人を楽しませる“エンタメとしての笑い”だけではない、ひとりひとりの“ココロの健康をもたらす笑い”のチカラは、従業員の活力や生産性向上といった企業の持続可能な事業成長を後押しする重要なファクターとして注目を集めています。

1.従業員の健康促進:笑いが心身のストレスを軽減し、免疫力を向上させることで、従業員の健康を支えます。

2.組織の一体感向上:笑いを共有することで、従業員間のコミュニケーションが活発化し、連帯感が強化されます。

3.創造力と生産性の向上:笑いによるリラックス効果が、従業員の創造力や問題解決能力を高め、結果として生産性の向上に繋がります。

4.健康経営の推進:笑いを取り入れた健康経営は、企業の魅力を高め、優れた人材の採用や従業員の定着率向上にも寄与します。

5.全員活躍の実現:健康な環境で働くことで、社員全員が活躍できる職場づくりを目指します。

また「笑いのチカラ」は企業や団体にとどまらず、社会全体での活用が期待されています。免疫力の向上に伴う健康寿命の延伸、認知症予防など医学的にもその効果が実証されはじめており、高齢化社会の問題解決の一助になることなど「笑いのチカラ」は未来に向けてさらに大きな役割を担うことが期待されています。

SDGs “ 18番目”の目標に
国連が定めるSDGs17の目標に加え、吉本興業は18番目の目標として、「笑いがあふれる社会に」を掲げます。様々な企業、大学、団体等と連携した本プロジェクトを通じて、たくさんの人に笑うことの大切さを知ってもらい、皆様の健康で幸せな暮らしに少しでも役立つことができれば、と考えています。

多様なパートナーと取り組み
企業・研究機関・団体など、同じ思いを持った多様なパートナーの皆様との共創プロジェクトがすでにスタートしています。その一部を紹介します。
笑いのチカラが、人の免疫や治療にも役立つ未来を目指す様々な取り組みが広がり、たくさんのお問い合わせをいただいています。
ひとりひとりのココロの健康が、組織や企業の健康、そして多様な人材がイキイキと活躍できる社会の健康へつなげていくことを目的に、新しい取り組みやサービス・体験機会等を様々なパートナーの皆様と共に創り、開発を進めてまいりたいと考えています。

企業・医療機関等との取り組み事例


【株式会社アシックス】
「笑い」と「サイエンス」の要素を盛り込んだ、心身の健康に寄与するオリジナル体操の開発を目指しています。
パイロット実験として、アシックススポーツ工学研究所にて、お笑いの場で披露される動き(ギャグ)をスポーツ科学的に分析しました。運動負荷、呼気ガスや心拍数など、動作や生体に関するデータを詳細に測定した結果、代表的ないくつかのお笑いの動きが、心身両面で効果的な運動であることが分かってきました。
お笑いを通した動きは、運動という認識を持たず取り組めるため、楽しくトレーニングを実施できることが期待されます。
また、多人数で実施することで自然と笑顔になり、心の健康に対してもポジティブな効果がある可能性もみえてきました。
今後もギャグが心身の健康に与える影響を詳細に調査し、様々な世代の方が取り組めるオリジナル体操の開発を推進していきます。

【キリンホールディングス株式会社】
2021年、キリン中央研究所と静岡県浜松市、学校法人近畿大学と共同で、「笑い」による集中力向上とストレス反応の改善効果を解明する臨床研究を行いました。
その結果、笑い動画を鑑賞した場合は対照動画を鑑賞した場合と比べて、集中力を要する課題の回答速度が改善しました。また、前頭葉にて脳へ酸素や糖を送る脳血流量が約2.7倍増加し、唾液中のストレスマーカーの増加が約5分の1に減少するなど、認知機能やストレス反応の改善の可能性が見出されました。
本研究成果は、2021年10月30日(土)から開催された『日本ストレス学会』および2021年11月15日(月)から開催された『日本健康心理学会』にて発表しました。

【近畿大学医学部 研究グループ】
2017年より、「笑い」を医学的に検証する研究に取り組み、がん経験者がお笑いを鑑賞し続けることで、健康関連の生活の質と抗酸化能力、不安、うつなどを改善する効果がある可能性を見出しました。
本件に関する論文は、2023年8月に多分野の国際的な医学雑誌「Cureus」にオンライン掲載されました。

【日本電信電話株式会社及び国立精神・神経医療研究センターとの共同プロジェクト】
メンタルヘルス分野の基礎研究として、世界初の「笑い」によって人を元気にするデジタルな薬を目指す取り組みを進めています。
その第一歩として「お笑いのカタログ作り」として、芸人インタビュー等を通じて「笑いの評価軸」(笑いの作り方、笑わせ方)を言語化し、神経科学的検証を行っていきます。 検証を通じて「笑い」の理解を深め、将来的には「笑い」の観点からコンテンツ、広告、製品を最適化するマーケティング分野への適応や、「笑い」による医学的な治療を目指し、デジタルな薬となるSaMD(Software as a Medical Device)と呼ばれるプログラム医療機器化も視野に入れて取り組みを行っています。

吉本興業の取り組み


お笑いが脳に与える影響の検証研究
2022~2023年、アメリカで頭頸部専門医として活躍する石山大樹氏と共同で、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を活用した脳の活性化の検証研究「笑いと健康プログラム」を実施しました。
お笑いがヒトの脳にどのような影響を与えるかを調べるために、お笑い動画を視聴している時の脳活動をfMRIで撮影。研究は複数回のフェーズに分けて行い、「世代特有の脳活動」や「習慣性による脳活動の変化」も検証しました。
その結果、20代では記憶や言語、視覚認識、聴覚処理、感覚統合などに関与する部位で、60代では自己制御や感情の調整、文字の処理や読書、顔認識などに関与する部位で、活発な脳活動が認められました。
習慣性がもたらす脳活動への効果(変化)は60代の方が大きく、ストレスマネジメントに関連する部位で活性化が認められたほか、感情の調整や衝動の制御などに関与する部位では、視聴習慣が長期化するほど活性化する傾向が見られました。また、動画の視聴時間は、約5分という短時間でも、脳の複数の部位で活性化に繋がることが認められました。

BSよしもと ワラケンTV 8月25日スタート
「笑いの力で健康に、そして健康なら笑える!」を合言葉に、「笑いと健康(ワラケン)プロジェクト」の取り組みを紹介する番組「ワラケンTV~笑いと健康プロジェクト~」が8月25日、BSよしもとでスタートします。
初回放送は、「笑い」が人のココロやカラダの健康に良いことを研究し、笑いのチカラ力で世の中を元気にする、吉本興業の試み「笑いと健康プロジェクト」自体の説明をはじめ、キリンホールディングス株式会社との実証実験を紹介します。
【番組概要】
初回放送日:8/25(日)13:00-13:30以降、月1回放送予定
出演者:野田クリスタル(マヂカルラブリー)、亀井京子、宮田俊男(医療監修)他

米国・スタンフォード大学で医療機器を開発中
大嶽浩司・昭和大学医療イノベーション担当教授が監修
昭和大学医療イノベーション担当教授で、現在、米国スタンフォード大学で医療機器の開発を手掛けている大嶽浩司医師に吉本興業の取り組みを監修していただきます。大嶽医師からコメントが届いています。
大嶽浩司医師コメント
「お笑い」が心身の健康を導くことは、誰もが経験しています。「笑いと健康プロジェクト」は、個人の健康にとどまらず、「笑い」を通じて、健康な企業や社会の実現を目的としています。吉本興業とパートナー企業が協働し、「笑いのチカラ」を科学的に分析すれば、「笑い指標」の計測や「笑いの処方箋」など、社会の健康増進に寄与するイノベーティブなプロダクトを生み出せると確信しています。サイエンス面からこの「笑いと健康プロジェクト」に関わることを大変嬉しく感じています。

プロフィール
2013年 昭和大学医学部 麻酔科学講座教授
2016年 昭和大学病院 副院長
2022年 スタンフォード大学 Clinical Informatics Management修士(MCiM)修得
2024年 昭和大学医療イノベーション担当教授

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