この記事をまとめると
■ここ数年の暑さによってクルマにはダメージが蓄積しがちだ
■タイヤのバーストやバッテリー上がりは夏におけるトラブル案件の常連だ
■雹害や暑い車内に放置した電子機器の影響でクルマが大ダメージを受ける場合もある
夏に起きるクルマのトラブル
いつの間にか「猛暑日」というキーワードがすっかり市民権を得るようになり、最高気温が連日35度を超える報道に対して驚かなくなっています。
そこで「猛暑日のドライブで見落としがちだからこそ気をつけたいこと5選 」と題してこの暑さだからこそ、気をつけておきたポイントをまとめてみました。
■タイヤのバースト
JAFが公表している「JAFロードサービス 主な出動理由TOP10 2023年お盆(四輪)」によると、タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足が一般道では8635件(全体の約21.5%)で第2位、高速道路だと716件(全体の約39%)で第1位となっています。真夏の高速道路、路肩に停車しているクルマのタイヤをよく見ると……バーストして動けない状態になっている光景を目にしたことがあるかもしれません。
暑さの影響で路面温度が高温となり、それに呼応してタイヤの内圧も上昇。さらにはタイヤの溝が減っていたり、空気圧が適正でないなどの要因が重なり、結果的にバーストしてしまいます。自分のクルマのタイヤって溝どれくらい残っていたっけ? すぐにわからないとしたらまず確認をして、スリップサインが出ていないか(スリップサインが出ていたら速やかに交換)を確認してみてください。空気圧もエアゲージがあれば自分で確認できますが、手元にない場合はディーラーやタイヤショップなどで診てもらうことをおすすめします。
■バッテリーの突然死
JAFが公表している「JAFロードサービス 主な出動理由TOP10 2023年お盆(四輪)」によると、過放電バッテリーが原因で出動した回数が、一般道では1万1931件(全体の約30%)で第2位、高速道路だと80件(全体の約4.3%)で第4位となっています。ちなみに、バッテリーの破損/劣化も、一般道では3262件(全体の約8%)で第3位、高速道路だと36件(全体の約2%)で第6位となっています。
バッテリーは高温に弱く、猛暑日のような状況下であればエアコンを全開にするケースも少なくありません。新しいバッテリーであれば基本的に問題はありませんが、発電および蓄電する能力以上の電力を使ってしまうとバッテリーが上がってしまうのです。バッテリーは消耗品です。最後に交換してから4年以上経過している場合は要注意です。
■ゲリラ豪雨(とくに雹害)
近年、1時間の雨量が100mmを超える猛烈な雨が降ることが増えた印象があります。事実、気象庁の発表によると、1時間あたりの降水量が80mm以上、3時間あたりの降水量が150mm以上、そして、1日分の降水量を表す日降水量が300mm以上といった強い雨は、1980年頃と比較して2倍程度に増加しています。さらに、雨量が多いケースほど頻度が増加しています。つまり、外出先でゲリラ豪雨に遭遇する確率が高まっていることを意味します。
突然の大雨で道路が冠水し、「大丈夫だろう」と突っ込んでいってエンジンが停止……水没車になってしまう可能性も同じように高まっているのです。さらに気をつけたいのが「雹害」です。ピンポン球くらいの大きさの雹がボディに直撃するとかなりの確率で凹みます。屋根などにダメージを受けると板金塗装で直すしかなく、さらに「雹害車」の扱いとなってしまいます。お天気アプリや雨雲レーダーを駆使すればゲリラ豪雨を回避できる確率もあがるので有効に活用してください。
■リヤシート周辺の室内温度(車種によってはリヤエアコンがない場合も)
猛暑日が続くこの時季、もっとも活躍する装備といえばエアコンです。この猛暑のなか、エアコンがない状態でクルマを運転するのは苦行というより危険な行為になりつつあります(筆者もエアコンがない旧車を所有していますが、さすがに乗るに乗れない状態です)。エアコンがついているクルマであれば。運転席&助手席のまわりはエアコンの冷風の吹き出しがいくつもあります。しかし、リヤシートはというと、思った以上に暑い!
3列シートでも大人がある程度余裕をもって座れる比較的大型のミニバンのように、リヤシートに人が乗る頻度が高いモデルであれば、リヤエアコンが標準装備されているケースが多いでしょう。しかし、コンパクトサイズのミニバンや軽自動車では、一部のグレードにしか設定がないどころか、そもそもリヤエアコンが装備されていないモデルもザラ。2列目、3列目シートにお子さんや家族を乗せる機会が多い場合、リヤシートの温度設定にも気を配るようにしてください。
■スマホやタブレットなどの電子機器の放置
今や、多くの人にとって生活必需品となったスマートフォン。なかにはタブレットも所有している人もいるでしょう。これらには、モバイルバッテリーが内蔵されています。意図的に、あるいはついうっかり車内に放置して、炎天下のなかで何時間も高温にさらされるといったときに気をつけたいのが高温による発火です。
もし、モバイルバッテリーが発火して火事になってしまった場合、車体が燃えて鉄くずになってしまいます。ホンの30分程度だから大丈夫ではなく、クルマから離れるときは車内から持ち出すことを強くおすすめします。
■まとめ:2024年7月は過去126年間でもっとも暑い1カ月となった
2024年7月の全国の平均気温は平年と比べて2.16度高くなり、気象庁が1898年に統計を取り始めてから126年間でもっとも暑い1カ月となりました。ちなみに、第2位は2023年。去年と今年はとくに暑い夏だということがわかります。
一昔前のように、子どもたちに向かって「夏休みだからと家でゲームばかりしていないで外で遊んできなさい!」とはいえなくなってしまいました。
人もクルマも過酷な状態が続いています。それを打開する手立てが必要なのかもしれません。