この記事をまとめると
■道路上に引かれている中央線はさまざまな種類が存在しており形・色・交通ルールも異なる
■中央線の色は基本的に白の実線または破線を使いわけている
■中央線や車線を区画する線を踏んだり跨いだりするのは違反だが例外もある
運転時には欠かせない中央線に関する交通ルール
道路に引かれている中央線には、さまざまな種類があるだけでなく、形・色、交通ルールも異なります。そこで今回は、中央線とは何なのか、どのような種類の線があるのかなどを改めて解説します。運転するときに欠かせない交通ルールの基礎を改めて確認していきましょう。
道路における中央線とは?
道路に引かれている路面標示のひとつである中央線はどのような線なのでしょうか。警察庁が公表している「交通規則基準」に定められている内容を引用しつつ確認してみましょう。
◆中央線で規制する目的
道路の中央であることを示し交通の安全と円滑を図るため
◆対象道路
原則として次のいずれかに該当する道路
1)道路の舗装された部分の幅員が6.5m以上の道路
※歩道等と車道の区分のある道路においては車道、軌道が道路の側端に寄って設けられている場合は軌道敷を除いた部分
※道路に路側帯が設けられている場合の幅員は、路側帯を表示する標示の中心(駐停車禁止路側帯及び歩行者用路側帯にあっては車道寄りの実線の中心)から内側の幅員とする
2)道路の舗装された部分の幅員が、5.5m以上6.5m未満の場合で、次のいずれかに該当する道路
(1)日交通量がおおむね平均1,000台以上の道路
(2)道路の中央を越えて運転することに起因する交通事故が著しく発生している道路
(3)法定の追越し禁止場所(法第30条各号に掲げる場所)で、特に必要な道路
3)道路の舗装された部分の幅員が5.5m未満で、道路または交通の状況により必要がある道路
◆規制実施の留意事項
1)道路の両側に追越しのための右側部分はみ出し通行禁止の道路標示は、中央線を表示する道路標示を兼ねる。
2)一方通行路、中央分離帯がある道路および道路の中央に軌道敷がある道路は、中央線の設置を省略できる
3)公安委員会が設置する場合には、事前に道路管理者と十分に調整すること
4)道路管理者が設置した区画線「車道中央線(101)」は、道路標示「中央線(205)」とみなされる
◆設置方法
1)表示の方法は次によるものとする。
(1)実線
ア.舗装された部分の片側の幅員が6m以上の道路に設置する場合または法定追越し禁止場所に設置する場合においては、中央線は実線により表示するものとする。
イ.実線の幅は、原則として15cmセンチメートルとし、車両通行帯が設置されている場合またはこれと連続する場所に設置する場合は、20cmセンチメートルとする。
(2)破線
ア.舗装された部分の片側の幅員が6m未満の道路に設置する場合においては、中央線は破線により表示するものとする。なお、舗装された部分の片側の幅員が6m未満の道路において、車両が道路の右側部分にはみ出して追越しを行うことを禁止する必要があるときは、追越しのための右側部分はみ出し通行禁止規制を行うものとする。
イ.破線の幅は、原則として15cmとし、車両通行帯が設置される場所またはこれと連続する場所に設置する場合は、20cmとする。破線の長さおよび間隔は、原則としてそれぞれ5mとする。
2)道路標示の材料等は、中央線を破線とする場合は、原則としてペイント等を用い、特に必要がある場合は、ペイント等に代えて道路鋲、石等を用いるものとする。また、実線とする場合は、ペイント等を用いるものとするが、道路鋲を併用することができるものとする。この場合における道路鋲等の幅は10~15cmとし、間隔は1〜5mとする。
3)次の場合は、中央線を2本の実線で表示することができる。この場合における実線の幅および間隔は、10~15cmとする。
(1)前記2の(1)および常時中央線変移を行う場合に該当する場合で特に必要があるとき。
(2)道路標示「進路変更禁止(102の2)」が設置されている道路の区間に中央線を設置するとき。
(3)多車線道路に中央線を設置するとき。
(4)道路の急なまがりかど付近等において、道路の中央を越えることによって交通事故が著しく発生しているとき。
出典:警察庁「交通規則基準」より
基本的にはクルマは中央線より左側の部分を通行すべし
このように道路の中央であることは、白や黄色の線、中央分離帯など、さまざまな方法で示されています。
道路標示(いわゆる線)によって示される中央線の色は基本的に白の実線または破線です。しかし、なかには黄色の実線で示される場合があります。線の使いわけは以下のとおりです。
・幅6m以上の道路:基本的に白の実線
・幅6m未満の道路:基本的に白の破線で示されますが、追い越すために右側部分へのはみ出しを禁止する場合は黄色の実線が使用される
このように、幅や追越しのための右側部分はみ出し通行禁止規制を行うかどうかなどによって、道路の中央を示す道路標示は変わります。
道路を区画する線を踏んでいいのか?
中央線や車線を区画する線は、原則として踏んだり跨いだりしてはいけません。しかし、実際の交通社会では、線を踏んだり跨いだりしなければ通行できない状況があります。このような場合は、例外(やむを得ない事情がある)として、踏んだり跨いだりしても問題ないとされています。
例外として挙げられる主なケースは、駐車車両や工事現場などを避けるときです。また、山道や峠道などにある急なカーブでは、「右側通行」の標示がある場合は、右側にはみ出して通行することができます。
左側通行の原則
道路交通法をわかりやすくまとめている「交通の方法に関する教則」では、クルマが通行するところについて次のように明記されています。
道路の中央(中央線があるときは、その中央線)から左の部分を通行しなければなりません。しかし、次の場合には、道路の中央から右の部分にはみ出して通行することができますが、この場合でも、一方通行の場合のほかは、はみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければなりません。
(1)一方通行となっているとき
(2)工事などのため左側部分だけでは、通行するのに十分な幅がないとき
(3)左側部分の幅が6m未満の見通しのよい道路でほかの車を追い越そうとするとき(標識や標示で追い越しのため右側の部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く)
(4)こう配の急な道路の曲がり角付近で、「右側通行」の標示があるとき
道路の線の意味
道路には、白の実線・破線、黄色の実線・矢羽根型の表示など、さまざまな線があります。それぞれの意味は線の設置場所によって異なるため、同じ線でも意味が異なります。
【中央線】
・白の実線:道路の右側にはみ出して通行してはならないことを特に示す必要がある道路に設ける場合
・白の破線:白の実線以外の場所に中央線を設ける場合の線
・黄色の実線:追越しのための右側部分はみ出し通行禁止
【車線境界線(片側に複数の車線がある道路)】
・白の実線と白の破線:4車線以上の道路の区間内の車線の境界であること
・黄色の実線:進路変更禁止
・黄色の矢羽根型の表示:進路変更禁止の注意喚起表示
原則に従って走行するのが基本
基本的にクルマは中央線より左側の部分を通行しなければなりません。ときどき車線を跨いで走行したり線を踏んだりしながら走行しているクルマを見かけることがありますが、このような行為は交通違反です。また、ほかの交通の迷惑になったり、事故を誘発させたりする可能性がある危険な行為であるため、むやみに線を踏んだり跨いだりしないようにしましょう。
今回は、知ってることの再確認として、警察庁が公開している情報を引用しながら解説しました。今一度、基本・原則に立ち返り、自分勝手な運転で他人に迷惑をかけないよう、自分自身の運転を見直すきっかけにしてみてください。