強気の価格設定と微妙な立ち位置で結果は残念! 小さなセルシオとして贅の限りを尽くした「トヨタ・ブレビス」がいまみても衝撃作だった

2024.07.21 17:30
この記事をまとめると
■BMW3シリーズやメルセデス・ベンツのCクラスのライバルとしてブレビスは誕生した
■小さな高級車ということで装備はどれもフラッグシップに迫る内容だった
■強気な価格や社内の他車種とキャラクターが被ったこともあり1代で終わってしまった
「小さなセルシオ」の異名を持つプレミアムセダン
  2001年にデビューしたトヨタ・ブレビスは、1998年に登場したセルシオの小型版ともいえる「小さな高級車」を謳う、メルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズを仮想ライバルとした、トヨタ・プログレの姉妹上級版である。
  トヨタの説明によれば、「自らのセンスを大切にし、アクティブなライフスタイルを志向する人々に向けた、従来の高級車とは異なる、知的でオシャレなプレミアムセダン」とされ、「若々しさと品格を備え、最高のクォリティをミディアムサイズに凝縮するアクティブエレガンスがテーマの高級3ボックスセダン」ということだった。
  ボディサイズは全長4550×全幅1720×全高1460mm、ホイールベース2780mm。プログレの全幅1700mmに対して20mm幅広いプロポーション。エクステリアデザインはセルシオを思わせる高級感があり、基本設計もなかなか贅沢なものであった。何しろクラウンを上まわるクオリティを目指し、全色5層コートの塗装が施されていたほどだ。
  搭載されるエンジンは筒内直接燃料噴射方式の3リッター直6DOHC、220馬力/5600rpm・30.0kg-m/3600rpmおよび、同じく直噴の2.5リッター直6DOHC、200馬力/6000rpm・25.5kg-m/3800rpmの2種類。サスペンションはフロント・リヤともにダブルウイッシュボーン式で、駆動方式はFRとフルタイム4WDを用意。ミッションはFRにロックアップ機構付き5速AT、4WDにはロックアップ機構付きの4速ATが組み合わされていた。小さな高級車だけに、全車にアルミホイールを標準装着。プログレの15インチに対してこちらは16インチで、オプションとして17インチも用意している。
  グレードはFRが3リッターエンジンの「Ai300」と2.5リッターの「Ai250」、フルタイム4WDのほうは2.5リッターの「Ai250 Four」をラインアップ。
  また、上級グレードの3リッターエンジンを積むAi300にはシート、ステアリングに加え、アクセルとブレーキペダルまで調整できるパーソナルドライビングポジションシステムが備わっていたのもブレビスらしさ。
  まだ先進運転支援システムが登場する前の時代とはいえ、安全装備としてデュアルエアバッグ、EBD付きABS、VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)、ブレーキアシスト、プリテンショナー&フォースリミッター付きシートベルト、ブラインドコーナーモニターなどを採用していた。
敗因は中途半端な立ち位置
  エクステリアだけでなく、インテリアも、いわばフツーだったプログレとは異なり、当時としてはかなり高級な仕立てで、オプティトロンメーター、本アルミをあしらったセンタークラスター、オーディオパネル、ゲート式シフトセレクターが奢られている。なお、ウォルナットパッケージのオプションでは、当時、センチュリーとセルシオだけに採用されていた本木目パネルが使われていたほど。クラウンでも”木目調”パネルだったのだ。
  装備にしても、エレクトロマルチビジョン、レーダークルーズコントロール、本革シート、パワーシート、ムーンルーフ、電動リヤサンシェード、ヒーター付きレインクリアリングドアミラーなどが標準、またはオプションで揃い、オーディオにも力が入り、5.1ch対応のDVDシステムを持つ8スピーカーのブレビス・スーパーライブサウンドシステムなども用意されていた。
  2005年の一部改良では、全グレードにG-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付EMV(音声ガイド付カラーバックガイドモニター&ブラインドコーナーモニター付)、NAVI・AI-SHIFT(除く4WD車)を標準装備。ブラックを新外板色として採用するなど、商品力を向上させている。
  走らせれば、なるほど、セルシオを生んだトヨタの「小さな高級車」らしく、ロードノイズを含めた車内の静かさはこのクラスの国産車以上、いや、輸入車を含め、群を抜くもので、じつに滑らかな乗り心地を示した。低中速域での安定感たっぷりの走行感覚もまた好印象だった記憶がある。
  2005年の一部改良時点での車両本体価格はAi250エレガンスパッケージの359.1万円からAi300の422.1万円まで。
  とはいえ、ブレビスはトヨタの意気込みとは裏腹に、2001年から2007年までの1代限りで消滅。「セルシオでは大きすぎる、もっとコンパクトサイズの高級感あるクルマに乗りたい」というユーザーにうってつけだったかも知れないのだが、強気な価格設定、保守的なデザインであった。
  そして何よりも、プラットフォームを共用する同クラスのスポーティコンパクトセダンであり、走り好きの若者から大人にまでウケた、1988-1999年日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したアルテッツア(1998~2005年。その後のレクサスIS)のほうが、BMW3シリーズやメルセデス・ベンツCクラスの対抗馬として相応しい……という同門での位置づけ、ライバル関係(!?)も影響したようだ。
  日本では、「小さな高級車」はなかなか成功しづらいということもあるかも知れない。なお、ブレビスの後継車として挙げられるのは、2009年に発売された初代プリウス以来のトヨタのハイブリッド専用車であるトヨタ SAI(レクサスHSの姉妹車)となる。

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