「赤坂のサニー」も「六本木のカローラ」も衝撃の品質! 1980年代のドイツ車は「オーバークオリティ」っぷりは突き抜けていた

2024.10.29 17:20
 この記事をまとめると
■現代のクルマにはコストダウンの波が押し寄せてきている
■好景気に沸いた1980年代のドイツ車は過剰なまでの高品質車が多かった
■数多くのドイツ車に乗った筆者がその品質を語る
ドイツが生んだ歴史に残る高品質なクルマたち
  最近のクルマはコストとの戦いの末に生まれてくる側面がある。たとえば質実剛健なドイツ車の代表格、世界のコンパクトカーのベンチマークであり続けるVWゴルフにしても、現行のVIII世代では、VII世代にあったボンネットのダンパーが省かれるなど、目に見える部分の一部にもコストダウンの波が押し寄せているようだ。
  そう思えるのは、過去、1980年代のゴルフII、E30 BMW 3シリーズ、W124メルセデス・ベンツ 300E、そして近年ではゴルフVIIヴァリアントなどを所有し、いまは2020年型ゴルフVII (7.5)最終モデルのヴァリアント・マイスターに乗っている筆者だけではないかもしれない。
  1970年代のオイルショックから世界の景気に一気に光が差し込んだ1980年代。とくにドイツ車は「オーバークオリティ」を詰め込んだクルマを続々と登場させている。VWゴルフII(1983~)、メルセデス・ベンツ W201 190E(1985~)、W124 Eクラス(1985~)、E30 BMW3シリーズ(1982~)などが思い浮かぶ。
  なかでもメルセデス・ベンツ 190E、そしてメルセデス・ベンツ Eクラスは、「最善か無か」のスローガンの時代に、コスト度外視、メーカーの崇高な理念を優先して作られた、歴史に残るといっていい超絶クオリティな名車なのである。
  そのオーバークオリティは、ドアを開閉しただけでもわかる。ドスッと閉まる堅牢感、建て付け、開閉機構の精密さは当時のドイツ車ならではで(ポルシェなども含む)、オーナーのドイツ車を所有する満足度を、メルセデス・ベンツ 300Eを所有していた筆者を含め、大いに高めてくれたのだった。そして、世界最高水準のボディ剛性、しっかりとした足まわり、インテリアのクオリティの高さにも目を見張らされたものだ。
「ビジネスライクなインテリア」ともいわれたものだが、華美な装飾こそないものの、樹脂などの品質が極めて高く、経年劣化も極めて少なかった。シートにしても、ハンドメイド工程を取り入れ、体重の軽いユーザーには張りが強すぎると感じさせたかも知れないが、長年乗り続けてもへたりなど最小限。コストのかかったシートが奢られていたのである。
  190Eもそうしたオーバークオリティのメルセデス・ベンツの1台であり、基本部分がしっかりしすぎているからこそ、190E 2.3、6気筒エンジン搭載の190E 2.6、さらにコスワースがチューニングしたハイパフォーマンスな190E 2.3-16といったスペシャルモデルがコンパクトなサイズにして成立したといっていい。
  それはW124のEクラスも同様で、ノーマルモデルの、微に入り細に入りのオーバークオリティは当然として、ポルシェがチューニングし、ポルシェの5リッターV8エンジンを積む500E(1991~1995)が誕生したのも、W124 Eクラスの基本設計に高出力V8エンジンを積む余裕があったからにほかならない。
  当時の国産ミドルサイズセダンにポルシェのV8エンジンを無理やり積んだとしたら、シャシーとエンジンのバランスなど取れなかったと思える。
高級車だけではなく大衆車も高品質だった
  これまた、筆者の愛車遍歴の1台になって恐縮だが、E30 BMW 3シリーズも、かの徳大寺先生が当時、「最良のBMWは3シリーズ」と評したエレガントでバランスの取れた3シリーズだった。
  筆者が乗っていたのは325iだが、「BMWなら6気筒!」と称されたエンジンのシルキーなスムースさ、ドライバーオリエンテッドなドライバーに向いた高品質なインパネとメーター、そして「六本木のカローラ」といわれつつも、じつは高速巡行、FR駆動による山道の走りのよさは、コンパクトセダンとして当時、ピカイチだったと確信している。
  とくに筆者の愛車はスポーツパッケージ装着車だったこともあり、運転に対する気が引き締まるスポーツシートのかけ心地のよさもまた、記憶に残るほどである。
  メルセデス・ベンツ 190Eはいまではほとんど見かけなくなったが、いま、若い自動車ユーザーに、にわかに注目されているのが、もはやネオクラシックカーとも呼べる2代目VWゴルフである。
  初代とともに完成されたデザインはいまでも古臭さなし。そして、誰もが満足できるドシリとした安心安全な走行性能、インテリアの質素ながら高品質な素材の使い方など、VWゴルフのオーバークオリティをいまでも実感できそうな世代なのである。そんなゴルフIIは筆者が初めて所有した輸入車でもあった。
  そこで、世界のコンパクトカーのベンチマークたる完成度にほれ込み、多くを学び、以来、2013-2014年日本カー・オブ・ザ・イヤーを輸入車で初めて受賞したゴルフVIIの2014年型ゴルフヴァリアント、ゴルフのオーバークオリティの頂点、そして最高傑作と”勝手に”思っている2020年型ゴルフヴァリアント・ハイライン マイスターと乗り継ぎ、国産車を含む世界の多くのライバルがベンチマークとするドイツ車のオーバークオリティの真髄に、ゴルフII以来、満足しているところである。

あわせて読みたい

メルセデスAMG G63ローンチエディション(4WD/9AT)【試乗記】
webCG
NIGO®︎とモンクレール、そしてメルセデスとのコラボレーションで制作されたアート作品“Gクラス パストII フューチャー”が公開!
GO OUT WEB
あなたの動画を自然に翻訳!「AI動画翻訳くん」とは?
antenna
昔の高級車もいま見れば「ちっさっ」! どんどんクルマが肥大化するなか絶滅寸前の「5ナンバーサイズ」はやっぱり日本に必要
WEB CARTOP
中国EV「蔚来汽車」、新ブランドでトヨタに挑戦状
東洋経済オンライン
幅広いシーンで活用できる「フラップ付き二重構造クリアタンブラー」登場
PR TIMES Topics
どうしたゴルフ! 長年「輸入車王者」だったVWゴルフがいま失速しているワケ
WEB CARTOP
メルセデス・BMW・アウディの御三家は「本国」なら普通に買える……と思ったらそうでもない! 日本の「高級ブランド」はドイツでどんな位置づけか現地在住ジャーナリストに聞いてみた
WEB CARTOP
「NARUTO&BORUTO 忍里×提灯イルミネーション2024 in淡路島」期間限定開催
PR TIMES Topics
11リッターに13リッターなんて乗用車乗りからしたら怪物エンジン! じつはそれでもバス&トラック用エンジンは「ダウンサイジング」していた
WEB CARTOP
世界有数の巨大自動車メーカー「VW」に本国工場閉鎖検討の報道! いま何が起こっているのか?
WEB CARTOP
老舗洋傘メーカー「2024クリスマスフェア」開催
PR TIMES Topics
クルマ選びに将来を見据える必要なし! 大事なのは今の直感と乗り心地です!
e-Begin
ゲレンデにポルシェ911を使い分け。建築家・直井克敏のおしゃれな愛車ライフ
MODERN LIVING
ロキソニンにまつわる素朴な疑問を薬の作り手が解決! 小さな錠剤に込められた想いとは
antenna
【比較試乗】ボディタイプやパワートレイン、ライバル比較など、さまざまな角度から比較検証。BMWツーリングの最前線に追る!「BMW・i5ツーリング vs 3シリーズ・ツーリング vs 5シリーズ・ツーリング vs メルセデス・ベンツ Eクラス・ステーションワゴン」
CARSMEET WEB
Chill CARS|二度と生まれ得ない、過剰なまでに高品質な実用セダン。
Casa BRUTUS
洗練された香りを纏わせる衣類用消臭フレグランス新発売
PR TIMES Topics
V型16気筒の怪物エンジンを積んだBMW! 「ゴールドフィッシュ」なんてあだ名が付けられた7シリーズの正体とは
WEB CARTOP
「メルセデス・ベンツに15台乗ってきた」SL、ゲレンデ……カーカスタムのプロの数奇な車遍歴【後編】
OCEANS
“くるみ割り人形” の華やかな世界観を楽しめる限定デザインBOXが登場
PR TIMES Topics