かつて所有していた旧車スポーツの中古価格はけっして調べてはいけない! もはや気絶レベルで後悔するほど高騰しているクルマもあった

2024.07.17 17:30
この記事をまとめると
■絶版国産スポーツの中古車価格は1000万円前後になっているものも珍しくない
■「あのとき売っていなければ……」と悔やんでいる人も多そうなモデルをピックアップ
■とりわけR34型スカイラインGT-Rを手放してしまった人は気絶してもおかしくない状況にある
ちょい古ブームでは片づけられない国産旧車の高騰っぷり
  ご承知のとおり近年、一部の絶版国産スポーツの中古車価格は鬼のように高騰している。新車時の価格はせいぜい200万円や300万円ぐらいだったモデルの中古車に1000万円前後の値札が付いていることは、いまや決して珍しくない。また、中高年の感覚でいえば「ほんのちょっと前」ともいえる10年前や20年前なら、100万円も出せばお釣りがくる中古車だったモデルも、いまや500万円級だったりする。
  そのような現状を見て「あのとき売っていなければいまごろは……」と、ほぞを噛んでいるクルマ好き中高年各位も多いことだろう。
  筆者自身は、若いころは国産車ではなく輸入車の中古車にハマっていたため、たとえば「あのときAE86を売っていなければ……」みたいな感じで枕を濡らした経験はない。だが、別ジャンルのモノに関する悔し涙は毎晩のように流しているため、気持ちはよくわかるつもりだ。筆者の場合は、10数年前に1967年製のロレックスGMTマスターIという腕時計を55万円ぐらいで購入したのだが、いまから5年ほど前、それを不注意により自宅のゴミ箱に混入させてしまい、そのまま捨ててしまったのだ。我ながら本当にバカ丸出しだと思うが、残念ながら事実である。
  そしてその後、全世界的に「ちょっと古いモノのブーム」が巻き起こったことで、GMTマスターIの相場が高騰中であることは聞いていたのだが、相場はなるべく調べないようにしていた。なぜならば、知れば泣いてしまうと思ったからだ。だが、いまから1年ほど前、つい調べてしまった。相場は軽く100万円を超えていた。私は泣いた。そして今日、この原稿を書くにあたって改めて調べてみた。調べてしまった。すると1967年製ではないが「1966年製」のGMTマスターIに、400万円以上の値が付いていた。私は気絶した。
  そして、しばしの気絶から目覚めたいま、絶版国産スポーツの相場高騰についての原稿を書き始めた次第だ。
  近年はさまざまな絶版国産スポーツが高騰しているため、すべてを挙げていくとキリがないのだが、アイコニックなところとしては「AE86」が挙げられるだろうか。ご存じのとおり、1983年から1987年まで販売されたトヨタ・カローラレビンおよびスプリンタートレノである。
  新車当時の価格は、トレノの3ドアGT-APEXの場合で156.3万円であったとのこと。1983年頃の約160万円といえば、現在の「200万円ちょいぐらい」に相当するだろうか? わからないが、まぁだいたいそんなモンだろう。
  しかし現在、AE86型トヨタ・スプリンタートレノの中古車平均価格は約388万円である。新車時価格から考えると約2.5倍、現在の貨幣価値に(テキトーに)換算した「200万円ちょい」という価格と比べても1.8倍ぐらいになってしまっている。
  2.5倍や1.8倍というと「……意外と大したことないな」と思うかもしれないが、約388万円というのはあくまでも平均価格であり、実際には500万円を超えている中古車も多い。そしてさらに実際の話をすれば、AE86というのは、現在60歳ぐらいの各位が20代の青年だった時代は「地元の怖い先輩から10万円ぐらいで無理やり押し付けられるタイプのクルマだった」という複数の証言を得ている。
  仮に1990年ごろの「地元ネットワーク」におけるAE86の実勢価格が10万円だったとするならば、現在の平均価格はじつに「38.8倍になってしまった」ということになる。地元のセンパイ系実勢価格が本当に10万円だったかどうかは不明だが、まぁ当たらずといえども遠からずではあるだろう。AE86の高騰、恐るべしである。
R34型GT-Rのプレミア化はもはや笑えないレベル
  そのほかではFD3Sこと3代目マツダ RX-7も、「昔はけっこう安かったのに、いまとなってはかなり高くなってしまったクルマ」のひとつだろう。
  2000年頃のマツダRX-7 RSの新車価格は354.8万円だったが、直近の中古車平均価格は約505万円。貨幣価値の変動を考慮しないで単純計算すれば約1.4倍である。そしてこれも平均価格こそ約505万円だが、実際には600万円あるいは1000万円を超えるFD3Sもゴロゴロしている。そのため、体感的には「新車時の1.5倍ぐらいから3倍ぐらい」ということになるだろうか。
  そしてFD3Sも一時は中古車相場が安く、10年ちょっと前はボロめの個体であれば50万~100万円ぐらいで購入することもできた。しかしいまやFD3Sの中古車は、「一番安い部類」でも300万円を超えている。正しい体感としては「昔の3倍から6倍ぐらい」ということになるのではないかと思う。
  とはいえこの程度の(?)高騰であれば、筆者がGMTマスターIに関してそうだったような「気絶」まではいかないはずだ。「あのとき手放さなければいまごろは……」という後悔はあっても、気絶には至らないのではないかと推測する。
  しかし、R34型日産スカイラインGT-Rを早々に手放してしまった人はいま、激しい後悔とショックにより気絶してしまってもおかしくない状況にある。
  2000年10月時点のR34型スカイラインGT-Rベースグレードの新車価格は、504.8万円。現在の貨幣価値にすると、テキトーな試算だが「600万円ぐらい」という感じだろうか。高いが、そのクルマを本気で欲しいと思うのであれば、決して手が出せない金額ではない。
  そして頑張ってR34GT-Rの新車を買った人の多くは、その中古車価格がせいぜい300万円台だった2000年代に、それを「もうそろそろ次のスポーツカーに乗ろうかな?」とかなんとかいいながら手放したはずだが(当時の買い取りや下取りの価格は200万円ちょいとか、そのぐらいだっただろうか?)、直近の平均価格はじつに2315万円。……田舎なら戸建て住宅も建てられるかもしれない金額である。
  個別に見てみると、失礼ながらけっこうボロそうな個体でも売価は1800万円前後であり、コンディションが比較的良好な個体の売価は軽く2500万円を超えている。2024年7月上旬現在、最高値は約7700万円だ。
  もしも「あのとき買ったR34GT-R」をコンディション良好なまま手放さずに保持していれば、いまごろ貴殿はちょっとした資産家になっていたかもしれないのだが……まぁ仕方がない。済んだことをいまさら騒いでも仕方がないし、意味もない。
「死んだ子の年を数える」というのは、人間がどうしてもやめることができない悪癖なのかもしれないが、我々は、過去に所有したステキなクルマが与えてくれた素晴らしい時間を思い出し、それに感謝しながら、今日と明日を精いっぱい生きるほかないのだ。
「ロレックス」という5文字を見かけるたびに涙し、いまだに軽く気絶してしまう私がいっても説得力はないかもしれないが、本当にそう思うのである。

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