埼玉県川越市菓子屋横丁にある、和素材のパンで知られる「川越ベーカリー楽楽」は、2024年7月19日から7月23日まで、開店18周年を記念して「川越コラボパン祭り」を開催します。
このストーリーでは、私たちが「川越コラボパン祭り」を企画した背景と、そこに込めた想いをお伝えします。
●楽楽のスタッフたち。入社1年目から12年目までと経験も力量もバラバラですが、みんなで協力し合って川越コラボ商品を完成させました!
観光客700万人越えでコロナから復活?コロナ禍の影響はいまだ大きいという事実
気軽に行ける観光地として人気を集める川越ですが、コロナ禍の真っ只中、観光客数が2021年にはコロナ前2019年の約半分にまで落ち込んでしまいました。
菓子屋横丁という観光地に立地する楽楽も、苦しいコロナ禍を過ごすことになります。観光客はもちろんのこと、近隣のお土産店の従業員さんというお客様を失ったのもその理由で、あらためて地元のお客様の大切さ、ありがたみを痛感しました。
現在、苦しかったコロナ禍もようやく収束し、令和5年、川越を訪れる観光客は、コロナ前の92%までに回復。700万人を超えています。
しかしその内訳を見ると、大きく数を伸ばしているのは、外国人観光客(6.2倍)で、国内観光客はコロナ前の7割強にとどまっています。(川越市入観光客数データによる)この変化は、観光客の需要にも大きな変化を及ぼし、未だ苦しむ個人商店が多いのが現状です。
そこで、楽楽では、18周年の感謝祭開催にあたり、親しくしている地元の店舗仲間とともに、コラボ商品を開発し、地元のお客様にアピールする「川越コラボパン祭り」を企画しました。
●grin coffee ×川越ベーカリー楽楽 「エスプレッソとチョコのカンパーニュ」。細挽きのコーヒー豆を直接入れて香りを演出
観光地として人気のエリアは、地元民にとっては、意外に脚を踏み入れにくいものです。人気観光地の菓子屋横丁に立地する楽楽に来店いただくことは、地元の復興を肌で感じる機会にもなり、コラボ先のお店にも足を運んでいただくねらいがあります。小さなパン屋の周年祭ではありますが、地元のお客様に届くものがあればいいなぁと考えて、チャレンジすることにしました。
●河村屋 × 川越ベーカリー楽楽「いぶりがっことチーズの生フランス」
「川越ベーカリー楽楽」という店名に込めた思い。地元の温かさと絆
18年前、お店を開くとき、「楽しく作って、楽しく召し上がっていただく」という思いを込めて店名を「ベーカリー楽楽」と決めました。が、開店が迫ってから、この地で開業するからには、いつか「川越のパン屋さんと言えば楽楽だよね」と言って頂けるお店を目指そうと、店名に「川越」という冠をプラスし「川越ベーカリー楽楽」にあらためました。
既に看板は完成しており、作り直す予算がなかったため、看板は現在も「bakery RAKURAKU」のまま。以来、18年間、地元川越のお客様に浸透することを目指してパンを作り続けてきました。その甲斐あって、遠くから訪ねてくださるお客様が増え、行列ができるようになりましたが、地元のお客様に「行列で地元民が行きにくいお店」と言われ、大きなショックを受けたこともありました。
●今も「bakery RAKURAKU」のままの 川越ベーカリー楽楽の看板
しかし、少しでも地元のお客様に愛されることを考え、夏休みに地元の小学生を招いて「こども店長」イベントを無料で開催するなど、地道な活動を積み重ね、今では、地元の小学生や、中学生が学校を通して職場体験や見学の際は、いつも多くのこどもたちが楽楽に行きたいと手を挙げてくれるようになり、地元への浸透を嬉しく実感しています。
また、地元の店舗仲間との交流にもたくさんの愛情あふれるエピソードが多数あります。中でも、2015年に菓子屋横丁で発生した火事で、あたり一帯が立ち入り禁止になった際に近隣のお店から、「たくさんパンがあるんじゃないの?うちで売ってあげるから持っておいで」と言って頂いたことは、決して忘れることができない思い出です。ちょうど日曜日で、数日前にテレビで紹介された後だったため、普段よりも多くパンを焼いており、途方に暮れていましたが、仲間のお店に助けられて、大量の廃棄を免れました。地元の温かさを痛感した瞬間でした。
●菓子屋横丁で火災が発生した当時、近隣のお店が「うちで売ってあげようか?」と言ってくださった看板商品「お味噌のパン」は累計150万個の販売実績
18周年祭で感謝をかたちにする楽楽の挑戦。地元の盛り上がりを願う取り組み
今回、創業18周年祭を開催するにあたり、18年間に多くの皆様からいただいた、こうした多くの愛情への感謝をかたちにしようと、この「川越コラボパン祭り」を企画しました。
川越という和の街には、和の食材が多くあります。和素材のパンは「小江戸の和パン」を標榜する楽楽の一番の得意分野。中でも、一番街の漬物屋「河村屋」とのコラボ商品は「漬物」とパンというめずらしい組み合わせで、新たな商品を開発できたのは大きな収穫です。
●河村屋 × 川越ベーカリー楽楽「大福神漬入りコリコリカレーパン」。 河村屋さんのアドバイスで、漬物の漬汁をカレーに混ぜ込み、自慢の味わいに
●創作漬物 河村屋 「大福神漬」。普通の福神漬とはちがい、食感を残した大きさの野菜とたまり味の看板商品
コラボ先は、普段からお世話になっている様々な店舗にお願いしましたが、特に同じ観光エリアのお店を中心に選ばせていただきました。前述の通り、これをきっかけに地元住民の皆様に観光エリアに足を運んでいただきたいという気持ちからです。
コロナ禍の影響がいつまで続くのか、本当の意味では誰にも予測ができません。行政のインバウンドのお客様を増やす取り組みもありがたいですが、このコラボパン祭りで地元のお客様の流れを少しでも作ることができたら・・・。
●川越名物 まことや「太麺焼きそば」×川越ベーカリー楽楽「太麺やきそばパン」。時間がたってもべたつかないよう、焼きそばパン仕様を用意いただいた
●デイリースタンドコポリ×川越ベーカリー楽楽「川越産じゃがいものタルティーヌ」
そんな思いで、全てのコラボ商品を製造スタッフひとりひとりが担当し、真摯にパン作りに向きあいました。入社したばかりの新人も何度も何度も試作を重ね、またひとつ成長できました。完成したときの彼らの晴れがましい顔は、楽楽の大きな財産です。
全ては、18年間愛してくださった川越のお客様と素材を提供してくださったコラボ先の皆様のおかげだと心から思います。
あとは、お客様に、召し上がっていただくばかり。小さなパン屋の小さな挑戦が、地元川越の盛り上がりにつながることを願っています。
●松本醤油 × 中市 × 川越ベーカリー楽楽 「鰹節トッピング 出汁醤油とペコロス」
●小江戸川越 菓子屋横丁の小さなパン屋 川越ベーカリー楽楽
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