唯一無二の秀逸装備だと思ったのに! シレっとモデルチェンジで葬り去られたクルマの装備たち

2024.07.14 17:30
この記事をまとめると
■これまでにも使い勝手がいいと好評だったのにいつの間にか消えたクルマの装備がある
■ホンダ・ステップワゴンのわくわくゲートは賛否両論があったが愛犬家には好評だった
■日産エクストレイルのハイパールーフや三菱エクリプスクロスの後席6:4分割スライド機構も便利だったが消えた
画期的だったはずの装備もいつの間にか消えた
  クルマの装備には、登場したときに画期的と話題になり、けっこう使い勝手が良かったものの、いつしか葬り去られたものも少なくない。ここでは国産、輸入車のいまはなきこだわり強めながら、じつは”使えた”装備について解説したい。
  まずは、ホンダ・ステップワゴンの5代目にあったわくわくゲートの「サブドア」を紹介しないわけにはいかない。
  改めてわくわくゲートについて説明すると、ボックス型ミニバンの場合、車体後方にスペースのない場所で、巨大なバックドアが開けられない!(ボックス型ミニバンの場合、約1mのスペースが必要)というウィークポイントを解決すべく、バックドアを縦6:4に分割。全体に大きく開くことができるのはもちろんだが、サブドアと呼ばれる、玄関ドアのような横開きドアを設定。
  5代目ステップワゴンではバックドアを縦に全開にしたときに車体後方に約990mmものスペースが必要になるのに対して、3段階のストッパーを持つサブドアなら、車体後方に実測400/640/760mmのスペースがあれば開けることができ(数値は筆者の実測値)、荷物を出し入れすることができたのだ。
  さらに、3列目席の左側または全部をすっきりと床下格納してサブドアを利用すれば、外側からでも内側からでも、人やペットが乗降できる便利さも兼ね備えていたのである(ドアオープナーとアシストグリップを内側に完備)。他車でもバックドアを開けてラゲッジルームに乗り込むことはできても、車内側から降りることはできないのだから、第5のドアとして、楽しくも素晴らしく活用できたわけだ。
  しかし、ユーザーからすると評価は二分。たとえば、運転席から真後ろを見たときに、リヤウインドウに細くはない縦線が入る(後方視界が鬱陶しい)、車体を真後ろから見ると、バックドア面が左右非対称で不自然に見える、バックドアが縦に長く、リヤバンパーレスのため、後突したときの修理代が心配……といった声もあったそうで、走ればクラストップレベルだった(発売当初の筆者のライバル試乗の印象)ものの、人気は低迷。
  現行型の6代目では、開発陣のなかでわくわくゲートを「引き続き付ける、いや、やめる」の議論はあったそうだが、結果としてわくわくゲートは不採用。葬られてしまったのだ。現行型ではリヤビューがすっきりしているが、愛犬とのドライブ旅行などでわくわくゲートの便利さを知る者としては、ちょっと残念だ。
  日産の大ヒットSUVが歴代エクストレイル。SURF & SNOWで遊びまくる若者向けに、ポップアップステアリング(運転席でも着替えが楽になる)、防水インテリア、スクラッチガードコート(塗装表面のキズを復元するクリア塗装)など、さまざまな便利装備、機能をもたせたことでも有名だが、そうしたアイテムのひとつにハイパールーフレールがあった。
  2001年に発売された初代の2005年の一部改良で、世界初採用のスクラッチガードコート(特別仕様車として採用)とともにオプション設定された、ルーフレール前端にハイビームと連動するめっちゃ明るく、ハイビームより遠くに、広い範囲に照射できる強力なライトを備えたのがハイパールーフレールだった。
  エクストレイルのエクステリアに似合ってはいたのだが、キャリアやルーフボックスが、日産純正品=TERZOのアイテムしか付けられないというセールスマンの説明もあって(実際にはTHULEなども装着可能だったようだ)、これがオプション設定として不人気の原因になったらしい。よって、高価なオプションでもあるハイパールーフレールを付けずに、THULEなどのベースキャリアキットを付けるユーザーが多かったようだ。結果、現行型のエクストレイルにハイパールーフレールは用意されていない。
アウトドアブームの現在ならヒットしそうな装備もあった
  フルモデルチェンジではなく、マイナーチェンジで葬られた機能として、三菱エクリプスクロスの後席6:4分割スライド機構がある。
  後席を左右別々に約20cmスライドし、6:4分割の片側、または両側を最前端にセットすることで、ラゲッジスペースの奥行が後席最後端位置の約760mmから約960mmまで拡大できる(後席背後に凹はできるが)だけでなく、前席背もたれと後席座面先端のすき間がほとんどなくなり(前席のシートスライド位置による)、荷物やペットがフロアに落ちる心配が減少する、3名乗車でもラゲッジルーム片側の奥行を拡大できる……など、後席を前方にスライドしたときの凹部分を解決できれば、なかなか使い勝手がよかったのだ。
  しかし、マイナーチェンジでその使い勝手は消滅。じつは、後席を前方スライドすることでラゲッジスペースとの間に凹み部分ができてしまうのだった(小さい荷物が落ちる)。
  しかし、前端の凹部分は、リヤドアからアクセスできる、小型のキャリーケースなどを置くのにちょうどいいスペースになることを発見。その凹み部分の存在が廃止の理由かも知れないが、そもそもSUVとしては希少な後席スライド機構がなくなったのは残念無念である。
  輸入車でも、先代にあってとても便利だったのに、新型には装備されず、葬られたもののひとつに、究極のMPV、ユーテイリティカーのルノー・カングーに備わるオーバーヘッドコンソールがある。高い室内高のゆとりを生かした、天井に備わる物入だが、先代では前席頭上と後席頭上の2か所にあったものが、新型では前席頭上のみの装備になってしまったのである。
  同様に、モデル途中のマイナーチェンジで消えたVWのミニバン、トゥーランにかつてあった装備が、前席、2列目席の頭上にあったオーバーヘッドコンソール。これもマイナーチェンジで消滅。電動パノラマサンルーフ(ハイライン、Rラインにオプション)が用意されたことが原因かも知れないが、実際、かなり便利で使える装備だったから、これまた残念である。
  そのほか、かつてあったマツダのミニバン、ボンゴフレンディにあってルーフ部分が電動でもち上がり、ルーフに大人ふたりが寝られるテントスペースが出現するオートフリートップも、いまの自動車メーカーが純正で採用していない、ボンゴフレンディに1代限りあった装備。
  当時もアウトドアユーザーに大人気だったのだが、空前のアウトドアブームの現在、どこの自動車メーカーのミニバンにもそうしたルーフトップ装備は採用されていない。そうした架装は、キャンピングカーのコーチビルダーまかせ……ということなのだろうか。
  もっとも、オートフリートップそのものはマツダ製ではなく、グローバルなサンルーフサプライヤーの広島のダイキョー・ベバスト、現ベバストジャパンの手によるものではあったのだが。

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