老舗自動車部品メーカーが次の100年を創るべく新たな製品開発に挑む。環境性能に優れ、IoT活用による遠隔保守を可能にした太陽熱給湯システム「ReTerra」の開発ストーリー

2024.07.08 18:20
マルヤス工業株式会社は、1956年8月創立の愛知県を中心に事業を展開する自動車部品メーカーです。創業以来、社是「和」のもと、チームワークを大切にしながら、自動車産業の発展と共に歩んできました。


EGRクーラー(排ガス冷却装置)をはじめとする自動車のエンジン系部品が主力製品ですが、今後予想される電気自動車の普及により需要減が懸念されています。


エンジン系部品開発で培った「熱交換」技術・知見を活かし次の100年を創るべき製品として太陽熱給湯システム「ReTerra(リテラ)」の開発に取り組みました。その経緯や今後の展望についてご説明します。
環境保護への願いを込めた製品名「ReTerra」の由来。
製品名「ReTerra」は「繰り返し、再び」を意味する「Re」、ラテン語で「大地、地球」を意味する「Terra」を合わせた造語で、「地球の資源を再利用する」という意味が込められています。関係部署のメンバーでアイディアを出し合い決定しました。この名前が示す通り環境問題の解決に貢献できることを願っています。
電気自動車時代を見据えた新技術の開発。地球温暖化対策に取り組むマルヤス工業の挑戦
マルヤス工業株式会社は今年で創立68年を迎える老舗自動車部品メーカーです。主力製品は、排ガスを冷却し燃費向上に貢献するEGRクーラーです。近年は自動車にも高い環境性能が求められており、欠かせない部品となっています。


一方で地球温暖化が全世界的な問題となり、二酸化炭素削減が強く叫ばれている近年では、電気自動車の開発・普及が進んでいます。電気自動車の普及が進むと当社の主力製品は不要になってしまいます。当社の技術や知見を活かし、何か社会問題を解決できる製品を開発できないか?そんな思いから開発は歩みだします。
住宅での太陽熱活用に商機を見出す。構想から約1年で本格始動へ
2018年、新製品企画部門は品質部門から開発部門へ異動した榊原執行役員が兼任で担当していました。その中で太陽熱に取り組もうと決心した事がReTerra開発のきっかけでした。当社が長年培ってきた「熱交換」技術・知見を活かし、社会に貢献できる製品というテーマを軸に「太陽熱を盛り上げよう」と社内に働きかけ、少しずつ仲間が増えてきました。


その中の一人、村井課長(当時)の加入によりReTerra開発はギヤアップします。村井課長(当時)は当時、マルヤス工業を退職し太陽熱給湯器の会社で働いていましたが、親交があった榊原執行役員の太陽熱に対する情熱に惹かれ、開発の一員に加わりました。
(開発者 榊原康文)
(開発者 村井正樹)


まずはコンサルティング会社と協力し、ReTerraがビジネスとして成功する条件を考えました。
現在の住宅市場の主流は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と太陽光パネルです。しかし太陽光パネルはエネルギー効率の低さから、たくさんのパネルを設置しなければならず、広い屋根が必要となるため、すべての住宅に太陽光パネルが設置できるわけではありません。
そこに商機を見出し構想開始から約1年を経て本格的な開発を開始しました。
省エネの鍵は給湯にあり。太陽光パネルに対抗する太陽熱給湯システムの魅力
「省エネ=電気の使用量を減らす事」とイメージする人も多い中、実は省エネのカギを握っているのは給湯なのです。一般住宅のエネルギー消費の中で給湯が占める割合は約3割、お湯を作る事に多くのエネルギーが使われています。毎日の暮らしに欠かせないお湯をもっとエコに作り出す事で、環境問題解決に貢献できるという観点で開発を進めました。
太陽熱給湯システムは登場から長い年月が経っており性能はすでに頭打ちとなっています。シンプルな構造であるため新しい技術が使われているわけでもなく、国のZEH推進もあり太陽光パネルの影となっているのが現状です。その一方でエネルギー効率は太陽光パネルの15%~20%に対して、60%~70%と3~4倍も高く、二酸化炭素削減ポテンシャルの高い製品であります。しかしながらお客様の太陽熱給湯システムの印象は、「昔よく見かけた屋根の上にタンクが載っている製品」で止まっています。お客様は家の外観を非常に気にされるため性能はもとより意匠性にも考慮した集熱器や貯湯タンクの開発を目指しました。
まずは市販品をベンチマークし、トップレベルの性能を目指しました。太陽熱給湯システムは成熟産業であり、性能は頭打ちになっているため、比較的早い段階で一定の性能には到達しました。性能での差別化は困難と判断し、コンパクト化・意匠性での差別化を目指しました。


そこで活躍したのが当時主にEGRクーラーの設計を担当していた輪島課長(当時)です。大きさや形状など様々な制約の元で設計開発を行う自動車部品と異なり、制約なく設計開発できる事には新鮮さと自由であるための難しさがありましたが、貯湯タンクは高性能な断熱材を使用する事と、形状を縦長にすることで従来品よりも設置面積をコンパクトにする事に成功しました。性能を維持したまま従来品よりもかなり薄くコンパクトな集熱器も開発できました。
(開発者 輪島健太郎)
量産化に立ちはだかるコストの壁。理想の製品を量産化するための取り組み
新設計の集熱器は開発できましたが、ここで量産に向けて大きな壁にぶち当たりました。コストの問題です。環境問題に貢献できる製品であってもお客様に買っていただけなければ意味がありません。住宅を購入されるお客様にとっては何よりも「経済的なメリット」が重要事項です。自社開発の集熱器では目標とした販売価格から大きく乖離してしまう問題に直面しました。


低コストと差別化の両立は難しい中、何とか両立を目指しそれぞれの担当が奮闘し、全員が描く理想とコストとの闘いによって「ReTerra」が生まれました
昭和の製品に令和らしい新機能を追加
繰り返しになりますが、太陽熱給湯システムは目新しい製品ではありません。後発である我々が市場でシェアを伸ばして行くには令和の時代らしい機能が必要だと考えました。それがIoTを活用した遠隔保守です。給湯はお客様の生活には欠かせない機能ですのでいつも安全・安心に使えることが重要です。IoTを活用した遠隔保守であればお客様が気づく前の些細な異常でもセンサーで検知し対応することが可能です。
IoT機能の開発を担当した杉浦次長が最も苦労したのが人財の確保です。当時、社内には電子回路/電気回路/制御ソフトのスキルを持ち合わせた人財がいませんでした。外部の力を借りて何とか人財を確保し開発をしてきました。なかなか思ったような電圧が出ない、制御基板とリモコン間の通信方法が分からない等、多くの問題が発生しましたが、半導体メーカーに協力を要請し問題をひとつずつ解決していきました。
(開発者 杉浦孝弘)
お客様に安心して使用いただくために。業界最長15年保証を用意
ReTerraは投資回収期間=「元が取れる期間」が15年近くかかってしまうのが現状です。少なくても投資回収期間中はお客様に安心して使用いただくのがメーカーとしての責務と考え、標準の5年保証をベースに有償ではありますが業界最長の15年保証も用意しました。
2024年4月、ついにReTerraの一般発売開始!初期反響と今後の展望
24年4月に太陽熱給湯システム「ReTerra」を一般発売しました。プレスリリース・WEB広告による告知活動に加えて新聞にも取り上げて頂いた事で多くの問い合わせをいただいております。


いざ販売してみると販売前に立てていた仮説通りにはいかない状況が続いていますが、その度に、榊原執行役員と上野次長が皆にReTerraの開発の意義をメンバーに再認識させ、「一旦立ち止まり考えまた歩き出す」を繰り返し一歩一歩進んでいます。より多くのお客様にReTerraを選んでいただくためにさらなる改良が必要と感じていますがチーム一丸となり乗り越えていきます。
(開発者 上野晴彦)
ReTerraで広がる持続可能なエネルギーの未来。地球温暖化対策に貢献するマルヤス工業の挑戦
地球温暖化が世界的な問題となっており、温室効果ガスである二酸化炭素削減が喫緊の課題となっています。日本政府は2030年に2013年比46%の二酸化炭素削減を目標として掲げています。太陽熱給湯システム「ReTerra」はその目標達成に貢献できる商品です。
マルヤス工業株式会社 新製品企画室ではReTerraを取り扱っていただけるハウスメーカー様・ハウスビルダー様、ReTerraの設置工事を担当していただける施工業者様を募集しております。
より多くの人にReTerraを選んでいただけるようお力添えをよろしくお願いいたします。


■ReTerraホームページ
■プレスリリース

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