自社工場への大規模オンサイトPPA導入で、CO2削減と再エネ率向上を目指す

2024.06.21 17:05
プライム ライフ テクノロジーズグループが取り組むカーボンニュートラル
グループにおける自社の事業活動での直接または間接排出となる温室効果ガス(GHG)の排出量は約6万t-CO2となり、グループ全体の総排出量約306万t-CO2(2020年度実績)のうち2%に相当します。約6万t-CO2とは、日本の家庭におけるCO2排出量と比べてみた場合、どの程度の量になるのでしょうか。国立環境研究所の試算(※1)では、年間1人あたりの排出量は1.84 t-CO2(2022年度)とされ、約3.2万人分の排出量に相当し、決して少ない量とは言えません。


住宅会社3社を有するプライム ライフ テクノロジーズグループでは、自社工場での燃料使用または工場プロセスによる直接排出におけるGHG排出削減の取り組みを、自社主体で推し進めています。
具体的な施策としてグループ各社の事業所や工場敷地内への太陽光発電システム設置および、再生可能エネルギー由来の電力使用といった取り組みが次々とスタートしています。


今回は、2024年よりオンサイトPPA(Power Purchase Agreement 電力販売契約)設備の稼働が始まった、
㈱湖東工場(滋賀県)の取り組みについてご紹介します。
(一部、登場人物の部署名・役職などは、2024年3月時点のものとなります)
完成も間近な新建屋(中央)と空き地に設置された太陽光発電システム
(滋賀県 パナソニック ホームズ㈱ 湖東工場)
運営管理事業者やリース会社と連携し、オンサイトPPAを導入
パナソニック ホームズ湖東工場は、1969年より操業を開始しました。約33万5,000㎡の敷地には、4棟の建屋と事務所等が並び、年間約3,000棟近くの住宅部材を生産しています。一部の建物が旧耐震基準であり、老朽化が進んでいたことから、現在、建屋1棟の建て替えを含む、湖東工場イノベーションプロジェクトが進んでいます。

同プロジェクトは、“CS(※2)・ES(※3)・環境に配慮した、ミライに繋がる新工場”を新建屋のコンセプトとしながら、4つの主要施策(➀高効率なモノづくり ②省資源・省施工 ➂CRE(※4)活用 ④カーボンニュートラル)が進んでいます。中でも、カーボンニュートラルの推進に向けて大きな役割を担うオンサイトPPAは、プライム ライフ テクノロジーズグループの中でも重要な取り組みの一つです。プロジェクトリーダーを務めるのは、パナソニック ホームズ株式会社 湖東製造部 技術課 課長の岡田行弘です。岡田を筆頭に、2020年12月より建屋の建て替えおよびカーボンニュートラルの達成、生産効率化を目的としたプロジェクトの検討が始まりました。
パナソニック ホームズ㈱ 湖東製造部 技術課 課長 岡田行弘

PPAは、企業などが持つ工場などの屋根や遊休地に設置した発電設備を、専門の発電事業者が運営管理を行い、生み出した電力を企業が工場などで使うことで、電気料⾦と温室効果ガス排出が削減できる仕組みです。湖東工場では、発電事業者として株式会社レスター(2024年4月のレスターグループ事業再編によりバイテックエネスタ社から商号変更)が参画。また、設備導入に当たっては、太陽光発電パネルなどの設備一式をリースする手法を取り、パナソニックグループの設備リースを手掛ける三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社も事業者として加わっています。


「太陽光発電設備についてはパナソニック ホームズが直接保有する方法も含めてさまざまな案を検討しましたが、メンテナンス費用を含めたコスト面でオンサイトPPAに優位性があると判断しました。また、発電事業者のレスター様とは20年という長期にわたる契約となるため、その間に何かあった場合のリスクを避けるためリース会社に間に入っていただきました」と、湖東工場でのカーボンニュートラル推進を担当するパナソニック ホームズ 湖東製造部技術課の渡部倫康は説明します。
パナソニック ホームズ㈱ 湖東製造部技術課 渡部倫康


オンサイトPPAの導入については2022年初頭から検討が開始されました。投資を行うにあたってはPPA設置を促す環境省の助成金を活用する予定でしたが、2022年度は申請が認められませんでした。「引き続き2023年度も申請をしたのですが、競争率の高い助成金ということもあり、万が一取れなかったとしても、カーボンニュートラル達成の目標から逆算すると躊躇している猶予はなく、自力でも施策を前に進めていくという覚悟で臨みました」と渡部は当時の状況について語ります。結果的に2023年度の助成金申請が認められ、心配は杞憂に終わりました。
2つの工場で温暖化ガス排出量は72%減、再エネ電気使用率は75%に
オンサイトPPAが軌道にのり、太陽光発電パネルの設置はすでに始まっています。2023年度中にはまず空き地部分に野立てで約1.3MW(メガワット)分を、2024年度中には、完成間近の新建屋の屋根部分に新たに約2.2MW分を設置し、当面は計約3.5MWの発電量を目指します。今後さらに、第1工場建屋を解体した後にできる遊休地を活用した野立ての太陽光発電パネル設置も検討しています。「野立ての場合、屋根に載せるパネルと違って設置する方位や角度などの制約の自由度が高まるため、より発電効率を高めることができます」と
エコソリューション本部 環境営業部 エネルギー推進課 課長の髙取翔平様は発電事業者の視点から野立てで設置する効果を説明します。
株式会社レスター エコソリューション本部 環境営業部 エネルギー推進課
課長 髙取翔平様


また、
パナソニック営業部 調査役の沖田裕亮様は「設置場所が道路に面したところなので、道路を走る自動車や地域住民の方への配慮としてパネルの光が反射しないように角度などを変える一方、パナソニック ホームズ社には最大限のエネルギーパワーを享受していただけるように考慮しました」と設置に当たっての工夫について語ります。
三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社 パナソニック営業部 調査役
沖田裕亮様

茨城県にあるパナソニック ホームズのつくば工場においても同様のスキームで2024年度中に工場の屋根に1MW分の太陽光発電パネルを設置する計画にしています。これらの取り組みにより、両工場における2025年度CO2排出量は72%減(太陽光17%+省エネ36%+グリーン調達19% 2013年度実績比)、再生可能エネルギー電力の使用率が75%(太陽光34%+グリーン調達41% 2023年度予測比)となり、業界団体である
が掲げる、2025年度に工場生産におけるCO2排出量65%削減(2013年度比)と、再生可能エネルギー電力使用率を75%までに高めるという目標を達成することができます。
「新工場が本格稼働する2025年度以降も空いている屋根、空き地にさらに太陽光発電パネルを設置し、次の目標に向けてさらにカーボンニュートラルを進めていきたい」と渡部は話します。
*参考:プレハブ建築協会 
プロジェクトリーダーの岡田は、「イノベーションプロジェクトは、パートナー企業の皆さまのご協力のお陰で、CO2削減については、目標をクリアできる見込みがたちました。当社の創業者である松下幸之助の言葉、「企業は社会の公器」にもあるように、企業のお役立ちという点においても、『万が一の有事の際に、工場内の太陽光発電システムを利用して近隣住民の方に電力をご提供できる環境が整った』とメンバーとも話しています。こうした取り組みが、環境意識の高い若い世代に興味を持っていただき、工場で働きたいというモチベーションに繋がることも期待しています」と語ります。
工場内の空き地に設置された野地置きの太陽光発電システム


※1:引用元)国立研究開発法人 国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ」(1990から2022年度(確報値))
家庭におけるCO2排出量(一人当たり)
算出根拠解説:
※2:顧客満足(Customer Satisfaction)
※3:従業員満足(Employee Satisfaction)
※4:企業不動産(Corporate Real Estate)


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取材にご協力いただきましたパートナー企業 ご担当者様
株式会社レスター エコソリューション本部 環境営業部 エネルギー推進課 課長
髙取翔平様
▶カーボンニュートラルについて一言いただきました。
「「小さな積み重ねが地球、そして私たちの暮らしを変える」その一歩に貢献したい。」
三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社 パナソニック営業部
調査役 沖田裕亮様
▶カーボンニュートラルについて一言いただきました。
「再エネ・省エネ設備等を導入されるお客さまを“金融のチカラ”でサポートし、カーボンニュートラル実現に貢献していきます。」
*プライム ライフ テクノロジーズグループ社員によるカーボンニュートラル宣言*
パナソニック ホームズ㈱ 湖東製造部 技術課 課長(現職 製造1課 課長) 岡田行弘
パナソニック ホームズ(株) 湖東製造部 技術課(現職 建設部 建設人材開発課 課長)渡部倫康


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次回は、プライム ライフ テクノロジーズグループ連携による工場のZEB化の取り組みについてご紹介します。
◎プライム ライフ テクノロジーズ株式会社
▶ホームページは
▶サステナビリティページは
▶カーボンニュートラルの取り組み(インタビュー)は
▶環境コミュニケーションブック ダウンロードページは
◎Sustainable Story:

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