中国人は長いのがお好き! セダンだけじゃなくSUVまで「L」が付くクルマが登場する事態

2024.05.30 06:20
この記事をまとめると
■アウディは2024年4月の北京モーターショーで「Q6L eトロン」を発表した
■中国では「Lモデル(ロングホイールベースモデル)」がステータスとなっている
■中国市場向けは台数が出るのでメーカーも前向きに検討することが増えてきた
中国では「L」がつくモデルが人気
  アウディは2024年4月24日、北京モーターショー(北京国際汽車展覧会/オートチャイナ)開催のタイミングでクロスオーバーSUVスタイルのBEV(バッテリー電気自動車)「アウディQ6 eトロン」のロングホイールベースモデルとなる「Q6L eトロン」を発表した。
  Q6 eトロンは2024年3月にワールドデビューしている。そんなQ6L eトロンは中国・長春の新工場で生産予定となっており、2025年よりデリバリー開始予定だ。中国的には「全球首発(ワールドプレミア)」としているようだが、このロングホイールベースモデルは、現地合弁会社の「一汽奥迪(FAWアウディ)」で生産される中国専売車となっている。
  先にデビューしたQ6 eトロンを標準車とすれば、Q6L eトロンは標準車に対してホイールベースが105mm延長されている。アウディに限らず中国ではメルセデス・ベンツやBMWなどのドイツ系ブランドのほか、日系、欧州、中国系など広く中国限定ともいえるロングホイールベースモデルをラインアップしている。ホイールベースの延長分はおもに後席足もとスペースの拡大にあてられるのが一般的。
「新興国あるある」だが、官庁や企業では業務による移動のため運転手付きで社用車を多く所有している。そして一定役職以上や、取引先などを引率する場合などで運転手付きの社用車が使われる。つまり、先進国よりも運転は運転手に任せて、後席でくつろぐという乗り方が目立っており、そのときに足を組んでも快適に乗れるよう、ロングホイールベースが用意され、それが中国では歓迎されているのである。
  ストレッチモデル(ホイールベースを長くしたクルマ)といえば、セダンを連想しやすいが、中国ではクロスオーバーSUV、ミニバンをはじめコンパクトハッチバックなど、広くロングホイールベースモデルが用意されている。官庁や企業の偉い人が「Lモデル」に乗っていると世間に伝わると、必要かどうかは別として「●●L」と車名の最後に「L」をつけるとウケがよくなったのがその背景にあるようだ。
  興味深いのはQ6L eトロンのプレスリリースを見ると、「ホイールベースの延長により、さらに大型のバッテリーの搭載が可能となった」として、CLTCでの航続距離は700kmを超えることも可能としていると記されている。さらには、車名につくLはロングホイールベースだけではなく、長距離性能を備えたモデルであることも表しているともしているようだ。車両電動化が進むなかで、Lモデルの新たな存在価値が生まれている。
とにかくロングホイールベースであることが重要
  そもそも中国で「Lモデル」のブレイクの発端となったのは、2012年の北京モーターショーにおいてアウディが「A6L」をデビューさせたのがはじまりとされている。筆者が聞いたところでは、アウディがこのロングホイールベースモデル着想のきっかけとなったのはレクサスLSだったとも聞いている。当時、世界市場では4代目、国内市場では初代となるLSには「LS460L」などとしたロングホイールベースモデルが存在していた。
  アウディはこの様子を見て、「イケる!」と思ったそうだ。しかし、当時ドイツのヘッドクォーターに話をもち込むと、「世界共通モデルの販売以外は認めない」といった冷めた反応が返ってきたとのこと。それでもいろいろ交渉を重ね、中国の現地工場で生産したA6Lを市場投入すると大ブレイク、2016年には「A4L」もデビューさせ、以降もLモデルのラインアップ拡大を進めた。
  そしてメルセデス・ベンツやBMWなども追随するようになり、さらなる広がりを見せた。
  中国では官公庁や企業では、役職により社用車として使えるクルマにヒエラルキーが設けられているとのこと。たとえば、部長職ならA6、課長職ならA4といった感じらしい。さらに、いまのような電動化が進む前では排気量の制限も厳しかったようだ。たとえば課長職用は1.8リッター以下といった感じで規定が設けられており、そこでパワーを補うためにターボを装着する動きも顕著になったとも聞いている。
  乗ることが許されるサイズのなかで大型サルーン並みの快適性をもたせたいということになれば、ミッドサイズのA6にまずロングホイールベースモデルが用意されるのも不思議ではない。
  ここで気をつけたいのは、単純にロングホイールベースであることを強調せずに、「後席の足もとを広げました」ではダメだということ。車名が「●●L」となっていることがステータスの象徴でありマストなのである。
  日本メーカーでは、当初は「●●L」とする販売促進上の意味が日本の本社になかなか理解されなかったようで、従来車名で新型ではホイールベースを長めに設計したり、ロングホイールベースモデルに別車名が与えられることも多かったようだが、途中からLを車名にもつモデルが目立ってくるようになった。
  欧州、とくにドイツブランドでは欧州で標準車がデビューすると、今回のQ6L eトロンのように、その後直近で開催される北京や上海、広州といった中国主要モーターショーでLモデルがデビューするのは「お約束」といっていいような状況となっている。
  世界一の市場規模を持ち、現地生産が可能であり、そして専売車を設けても量販が十分期待できるといった環境もあって、Lモデルはすっかり中国市場では定着しているといっていいだろう。

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