みんな大好き初代「W124」から数えて6代目が登場! 大成功したり失敗したりメルセデスEクラスの人生波瀾万丈!!

2024.04.28 17:30
この記事をまとめると
◾️ミディアムクラスと称されたメルセデス・ベンツEクラスは1985年に登場
◾️評判のいいモデルから迷走していたと評されるモデルまで、Eクラスにはさまざまなモデルが存在した
◾️2023年発表された最新型Eクラスには目を見張るようなハイテク技術が詰まっている
最善から無へ⁉︎ 2000年代までのEクラスの変遷とは
  最善か無か、いつの間にか使われなくなってしまったメルセデス・ベンツの有名なモットー。このモットーだか社是だかのもと、1985年にミディアムクラスと呼ばれたW124が登場。これが1993年にマイナーチェンジを受け、車名の最初の文字にEが使われるようになり(例500E→E500)、Eクラスというセグメントが正式にスタートしたのです。
  ちなみに、「E」はドイツ語の「Einspritzung(燃料噴射、インジェクションの意味)」の頭文字で、「SクラスやCクラスでも使われているのに!」という点も突っ込みどころかもしれません。
  ともあれ、モデルチェンジを重ねて、Eクラスは最新の第6世代(W214)がリリースされるに至りました。今回は、ざっくりとEクラスの系譜をたどってみましょう。
第1世代:W124(1984~1997)
  ちょい老けたクルマ好きから「W124最高!」「走る金庫!」はたまた「500Eしか勝たん」などと口角泡を飛ばされたご経験、誰しもおありかと(笑)。「いうて1980年代やんけ! 初代ってそんなにいいのかよ」と、知らない方々はそう眉間にしわを寄せるのでしょうが、実際に素晴らしいクルマなのです。
  W124は冒頭に記したモットー「Das Beste oder nicht(最善か無か)」をリアルに体現しており、同時代のSクラス(や190E)と等しく殿堂入り間違いなし! 3台乗り継いだ筆者も口角から泡吹きまくりますよ(笑)。
  そもそも先代のW123からして安全性やユーザビリティ、そして動力性能まで妥協なく作られていたので、その美点を引き継ぐだけでもよかったのですが、開発時期に訪れたオイルショックで開発陣の方向性はざっくりいって「高効率」へとシフトされたのです。その結果、先代より軽量化を達成しつつ、より剛性&安全性の高いボディとなりながら空気抵抗0.29というCd値をゲット。
  堅牢なシャシーは汎用性が高く、2.2リッターの直4エンジンから5リッターのV8まで8種ものバリエーションが用意されました。
  また、W123ではセダン/クーペ/ステーションワゴンの3ボディでしたが、W124ではカブリオレも加わり、メルセデス・ベンツの量販機種としてはもっとも多くのボディを生んだ世代となっています。
第2世代:W210(1995〜2002)
  こきおろすつもりはありませんが、W124とのコントラストが著しいモデルチェンジとなっていたかと。なぜなら、この時代のメルセデス・ベンツがもっともこだわっていたのがコストダウンだから。たとえば、ステアリングの保持形式が伝統のボール&ナットから、ごく普通のラック&ピニオンとなり、独特の重厚感、手触りのあるハンドリングが妙に飄々としてしまいました。さらに、噂によるとボディ鋼板も大幅なコストダウンがなされているなど、とかくネガティブイメージが先行しがち。
  とはいえ、トラクションコントロール(ASR/ESP)の標準装備やドア内蔵式サイドエアバッグといったメルセデス・ベンツらしい安全デバイスの数々などで、評価されるべきポイントも少なくありません。
  それに、W210のシャシーを使ってクライスラー300Cとか作られちゃったわけですから「トラは死んで皮を残す」的なモデルだったのではないでしょうか(笑)。
第3世代:W211(2002〜2009)
  先代のいささかあか抜けないデザインから一新、流麗なボディをまとったものの、あちこちで「メルセデス・ベンツは迷走している」と囁かれてしまったモデルかと。理由は、SBC (Sensotronic Brake Control)と呼ばれたデバイスで、これは雨天時などにディスクとブレーキパッドをわずかに接触させ水分の除去を行ってくれるもので、これがよく壊れてしまったことに端を発しているようです。
  実際、SBCは接触不良や車内ノイズの影響からパワーアシストが途切れてしまうとバックアップモードとなり、ブレーキはほぼノンアシスト、5倍の踏力が求められたといいます。運転に不慣れな方なら「ブレーキが利かない!」とパニックとなるのは必至、全世界でリコールに。
  結果としてマイナーチェンジを機にSBCは廃止となったのですが、ケチがつくとはこのことで、以降の販売台数は大いに伸び悩んだとのこと。
  とはいえ、不人気だからこそのメリットもあったようです。2008年に米国道路安全保険協会から発表された「盗難率の低いクルマ」では、2007年に米国でもっとも盗難被害に遭う確率が低かったクルマとしてランキングされており、盗難率は1万台あたり6台という好成績(笑)。なにが幸いとなるか、よくわからん、という好例かもしれません。
名誉挽回! 再び輝きを取り戻した2010年代!
第4世代:W212(2009〜2016)
  ここまで迷走というか売り上げ不振にまで陥ってしまったEクラスですが(そのぶん、Cクラスが売れまくっていました)、W212ではプチ起死回生となりました。立役者はなんといってもハイブリッドモデルの投入で、ガソリン車のE400ハイブリッド、ディーゼルのE300 BlueTECハイブリッド(日本未導入)といった省エネ車が売り上げを牽引。Eクラスらしい実用性、タフネス、そして安全性が戻ってきたとマーケットも好感触を抱いた模様。
  また、W210から途切れていたクーペとカブリオレもEクラスとして久しぶりに復活したこともトピックのひとつ。ですが、シャシーはCクラス(W204)を使用しているので、それをEにするとはいささか厚かましいのではないでしょうか。
  いずれにしろ、コストダウンや先行技術での失敗を繰り返すことなく、真っ当な進化を遂げたという意味ではW212はなかなかの重要モデル。初代Eクラスに迫る存在感といっても差し支えないでしょう。
第5世代:W213(2016〜2023)
  この世代から、EクラスであってEクラスではない印象をもたれる方が少なくないようです。なんとなればシャシーは同社の汎用マルチプラットフォーム「MRA」を採用し、軽量化や剛性アップといったメリットはともかく、Eだけのものというエクスクルーシブ性の薄まりはいかんともしがたいかと。
  それでも、同社が長年研究してきたエアサス「AIR BODY CONTROL」をはじめ、車間距離をキープし車線維持もサポートする「ディストロニック&ステアリングパイロット」や、約60km/hまでの衝突を回避するシステムなど、サポートデバイスの充実には誰もが目をみはったはず。
  さらに、インフォテイメントシステムはSクラスよりも拡張されており、12.3インチのコクピットディスプレイなども時代を先取り。まさに、メルセデス・ベンツ日本のキャッチコピー「未来型Eクラス」そのもの。
  初代の上陸から30年を経て、すごい進化を遂げたものだと、感慨にふけったのは決して筆者だけではないでしょう。
第6世代:W214(2023〜)
  未来型を色濃く踏襲した現行モデル、W214はもはや電気自動車といっても過言ではありません。なにしろ、トップモデルのE350eは2リッターのガソリンエンジンを搭載するハイブリッドながら、バッテリーの航続距離は112kmと、都心部に住んでいたらエンジンがかかるチャンスはほとんどないとまでいわれます。どことなくEQシリーズに似たフロントマスクも、メルセデス・ベンツは意識してのことかもしれませんね。
  また、MBUXと呼ばれるIT技術を駆使した電子技術の進化も著しいもの。助手席一体型のスーパースクリーンだけでなく、立体メガネだとか使わずともメーターが3D表示されるなど、いやはや電気の実力って素晴らしい!
  さらに、呼びかけに応えてくれるメルセデス・ミーの機能充実に加え、ダッシュボードに備えられたインカメラによって車内からZOOM会議にだって参加できちゃうのですから、走る快適オフィスと呼んでもおかしくありません。
  それでいて、Sクラスよりも価格は抑えられ、取りまわしも手ごろなサイズだったり、Eクラスの定石はきちんと守っているあたり、メルセデス・ベンツ日本がいうとおり「Eを覆す、E」クラスとなっていること疑うべくもないでしょう。

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