“食の販売者”だけではなく“食の生産者”として、サステナブルな食から新たな価値浸透を目指して。Green Growers 誕生のきっかけと挑戦

2024.04.26 11:00
マルエツやカスミ、マックスバリュ関東など、首都圏に展開するスーパーマーケットを運営するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社(以下、U.S.M.H)。食を販売するだけではなく生産する側として、2022年6月に新たに立ち上げたプライベートブランドが「Green Growers」です。


Green Growersブランドサイト
従来の生産より使用する水の量を削減し、環境にも健康にもやさしい水耕栽培レタスの他、エンドウ豆由来の植物性代替肉に親しんでもらうため、2023年にはプラントベースのレトルト食品「GREEN GROWERS Meal」の展開も開始。「Green Growers」誕生のきっかけやこれまでの挑戦、ブランドが目指す未来について、ブランドマネジャーのジュン マーディアン スガンディー、「GREEN GROWERS Meal」商品開発担当の川上 一也からお話しします。




プランテックス社との協業から生まれたプライベートブランド「Green Growers」


U.S.M.H独自のブランド「Green Growers」は、日本の食糧安全保障に関連する課題への取り組みとして、独自の水耕栽培装置技術を有する株式会社プランテックス(以下、プランテックス社)との協業からスタートしました。2022年6月、完全密封、完全機械化された環境下で野菜を生育する植物工場「THE TERRABASE(ザ・テラベース)土浦」の稼働を開始し、ここで生産するレタスを「Green Growers」第一号商品として発売。健康的、安心安全なだけではなく、サステナブルであることを大切にした食品をお客様に届ける取り組みを始めました。




「Green Growers」と他のプライベートブランドとの大きな違いは、食品製造過程においてサステナブルを最優先していること。その後、2021年半ばには植物性代替肉「BEYOND MEAT®」を扱う米国のメーカー、BEYOND MEAT, INC.(以下、ビヨンド・ミート社)との独占販売契約を締結。2023年には「GREEN GROWERS Meal」の展開を始めましたが、この流れについて「野菜だけではなく、他の食品もサステナブルに生産できるものを集めて提供したいという思いがあった」と、ブランドマネジャーのジュン マーディアン スガンディーは説明します。
「Green Growers」シリーズの購入層は、スーパーマーケットの利用が多い30代以上の方がメイン。特にサステナブルや健康への意識が高い女性の方に好まれています。




徹底した衛生管理下で育つから、長くおいしく食べられる。環境にもやさしい水耕栽培レタス


「Green Growers」の立ち上げ時より関わっているのが、ブランドマネジャーを務めるジュンです。戦略コンサルタントとしてキャリアをスタートしたジュンは、デザイン系やデジタル開発系に強みを持つキャリアを歩んできました。


「最初からブランド作りの話があったわけではなく、先にプランテックス社との連携の話があってのブランド誕生だったと記憶しています。私自身、最初に関わったのはプランテック社との打ち合わせで、そのときに頼まれたのは『サステナブルな野菜を作りたいから、ロゴを作ってほしい』というデザイナーとしての仕事でした」


デザイナーとして関わっている間は、デザイン面以外に手を出すことは叶わなかったジュン。その後、あらためてブランドマネジャーの打診を受けます。


「『Green Growers』というブランド、プラントベースフードを多くの方に届けること、環境や健康にメリットをもたらすのが今の私の目標です」(ジュン)


「Green Growers」のレタスの特徴は、野菜が見えない密閉された閉鎖空間で生育することにあります。徹底した衛生管理下での栽培となるため、シャキシャキした食感を維持できるのです。プランテックス社の技術により、「光・空気・養液」など20以上のパラメーターを個別かつ精緻に制御できるため、従来の水耕栽培よりも野菜の生育に適した環境にて栽培ができる植物工場となっています。
「パッケージにも『このレタスは12リットルの水を節約できます』と記し、お客様に環境問題の解決に寄与できる野菜だとお伝えしています。一般的なレタスよりもβカロテン含有量が多かったり、洗わずに食べられたり、肉厚でシャキシャキ感を味わえたりといった点も、このレタスの特徴ですね」(ジュン)


水耕栽培レタスの提供を始めた当初は、まだ製造体制が整いきっていなかったこともあり、供給可能なのは10店舗のみでした。半年から1年をかけ、工場のパラメーターの調整や袋のデザインの微調整を繰り返し、1日の目標数のレタスを安定的に生産できるようになりました。


「お客様からの反応は上々」とジュンは語ります。
「一般的なレタスと比べると価格的に決して安くはありませんが、パッケージに記載した製造過程で使われる水の量の削減などを見て、環境問題に関心のある方が手に取ってくださっているのでしょう。一般的なレタスよりも肉厚で、『シャキシャキ感がおいしい』といったコメントもいただいています。リピーターの方も増えてきていますね」(ジュン)




エンドウ豆由来の植物性代替肉を、日本人にとってもより身近で、手に取りやすい形に。レトルト食品シリーズ「GREEN GROWERS Meal」
水耕栽培レタスに続き、2023年には「GREEN GROWERS Meal」の展開をスタート。商品開発を担当するのは、入社して20年間、精肉バイヤーとして活躍してきた川上 一也です。


「『GREEN GROWERS Meal』のコンセプトは、『安心・安全』、『健康的』、『環境にやさしい』の3点。そんな商品をよりお客様に気軽に手に取っていただきたい、食べやすくおいしい商品を作ってプラントベースフードの普及につなげたいという思いで立ち上げました」(川上)


長年、精肉に携わってきたところから、プラントベースフードである「BEYOND MEAT®」に携わるというキャリアの流れについて、川上は「肉を深く知っている私だからこそ、肉に近い『BEYOND MEAT®』を日本のマーケットに伝えていく仕事ができると思いました」と語ります。


海外では有名な「BEYOND MEAT®」。しかし、そのまま植物性代替肉として日本市場に展開しても合わないと川上は考えました。


「日本市場で売られている精肉は1パック200グラムが定番ですが、『BEYOND MEAT®』は1ポンド453グラムと大きいんです。その大きさが購入のハードルになるだろうと考え、まずは食べやすいレトルト食品として売り出すことで、プラントベースフード自体の浸透にもつなげたいと考えました」(川上)


「BEYOND MEAT®」の特徴は、非常に柔らかい食感であること。さらには、エンドウ豆由来のため、大豆ミートのような豆臭さがない点も特徴です。


「GREEN GROWERS Meal」の第1弾は、レトルト食品の中でも人気の高いカレー、そしてボロネーゼ。スーパーフードとして知られるアサイーを使用することで、味わいがよりまろやかになっています。またこのアサイーは森をつくる農業(アグロフォレストリー)で栽培されているため、CO2削減に貢献できる環境にも配慮したレトルト食品に仕上がりました。


(アサイーの栽培過程でのCO2削減の詳細については、下記をご参照ください。



「レトルト食品の開発、製造部分では、日本の大手メーカーのご協力をいただきました。その際に使用する植物性代替肉である『BEYOND MEAT®』のデータが必要だったため、ビヨンド・ミート社に確認を取るために英語でやり取りするのが大変でした。英語が堪能なジュンさんとは違い、私はそこまで英語が得意ではなかったものですから。『プラントベースフードの認知をレトルト食品という形を使って拡大したい』というこちらの思いをビヨンド・ミート社に理解していただけたため、商品の完成に至れたのだと思っています」(川上)


商品完成後、店頭での打ち出し方にも川上は工夫を凝らしました。


「カレーコーナーやミートソースコーナーに置いてしまうと、他の商品に埋もれてしまい、プラントベースフードを使った商品だということが伝わりづらいと考えました。そこで特別に什器を用意し、『GREEN GROWERS Meal』コーナーとしてカレーとボロネーゼを一緒に販売することにしたんです。そのおかげで、『ここにプラントベースフードの商品が売っている』と打ち出せたのではないかと思います」(川上)
購入層は、「Green Growers」のレタスと同じく、30~50歳の女性が特に多いという川上。ただ、試食販売を行った際には、子どもたちからの興味関心も強く感じられたといいます。


「健康を気にされている方たちに、環境にも体にもやさしいレトルト食品だということを、さらに打ち出していきたいと思っています」(川上)


2024年2月29日には、第2弾としてキーマカレーの販売が開始されました。こちらも、第1弾と同様、アサイーを使用することでまろやかな味わいを生み出しています。さらに香味野菜やトマトベースを使用し、野菜の旨味や甘みを引き出した味わいが特徴の新商品です。
「今後は洋食だけではなく、中華料理で人気の麻婆豆腐や和食など、いろいろなラインナップを増やしていく予定です。2024年中にはさらに3アイテムを増やし、プラントベースフードコーナーで6アイテムを展開することで、さらに打ち出しを強化していけたらと思っています」(川上)




試食からファッションショーまで。枠にとらわれない体験で、未来を生きるZ世代・α世代にもサステナブルライフの提案を
「GREEN GROWERS Meal」の第2弾発売前には、「GREEN GROWERS Meal」として初となるプレス向けイベントも実施。イベントでは、ブランド紹介や試食イベントのほか、ファッションショーの時間もたっぷり設けました。プラントベースフードとファッションショーには一見つながりがなさそうにも思えますが、ショーに登場した衣装は、廃棄予定の着物やインドネシアの伝統衣装バティック、ソファ用の生地の端切れなどをアップサイクルし、新たな命を吹き込んだもの。ブランドが大切にしている、サステナビリティを表現するコンテンツでした。
「現在、日本のスーパーマーケットに来る方の年齢層は高めで、スーパーマーケットでの取り組みだけでは、『Green Growers』が届くのもそうした層の方たちに留まってしまいます。Z世代やα世代のように、将来スーパーマーケットを利用することになる若い層と接点を持ちづらいのが現在の課題です。情報過多の社会で若い世代の関心を引くには、クリエイティブな手法が必要でしょう。押しつけがましくならないメッセージを発信し、あらゆる年齢の方が衣食住のなかで持続可能なものを生活の一部として採り入れてもらえるようにしたいと思っています」(ジュン)


試食を採り入れたイベントやサンプルの配布など、幅広い世代の人たちとの接点づくりに力を入れていきたいと語るジュン。「我々U.S.M.H自体も事業活動のあらゆる面で持続可能性のあるものを採り入れ、信頼される存在にならなくてはいけないと思っています」と締めくくりました。
Green Growers ブランドマネジャー
ジュン マーディアン スガンディー


Boston Consulting Groupにて金融サービスを専門にキャリアをスタート。Fortress Investment Group (Goldman Sachs` Fund)を経て、Marubeni Group Capitalへ移籍し、シンガポールでの投資を10年以上担当。その後インドネシアに戻り、ライフスタイル、ファッション、レストラン、家具、メディア、IT/ソフトウェア・アプリケーション事業などを手がける。2012年にCEO就任。


2019年にはユナイテッド・スーパー・マーケット・ホールディングス株式会社へシニア・アドバイザーとして入社し、ITバックエンド開発とブランディングに注力。その後、2022年6月に子会社である株式会社カスミにて、チーフ・ブランディング・オフィサーに就任。主にデジタルウェブマーケティング、海外展開戦略、ブランディングデザイン、マーケティングデータ分析、ITバックエンドアプリケーション開発などを手掛ける。
商品開発担当
川上 一也


1998年:マルエツ入社 店舗:精肉(ミート)配属
2004年:本社精肉(ミート)豚肉バイヤー着任
~企画、鶏肉、豚肉、牛肉の各バイヤーを担当する~
精肉(ミート)を20年間 務める
2018年:中国事業 リンコスの商品担当に着任
2022年:4月マルエツ帰任
2022年:9月USMH着任 経営企画 BEYOND MEAT®担当

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