世界に誇れる介護リフトを開発し、使用して頂きたい想いから。ロボティックモバイルリフト「SOEL MX-Air」の誕生秘話。

2024.04.12 09:00
日本ケアリフトサービス株式会社(略称:JCLS)は、介護リフト製品を取り扱う4社により、2012年に設立されました。


[ 介護リフトを取り扱う4社 ]
東京都:
埼玉県:
兵庫県:
福岡県:
弊社は、2013年にスウェーデンの介護リフトメーカー「Handicare 社」の製品を日本国内で取扱い、その後、介護リフト製品の自社開発に取組み、2021年12月に初となる自社製品の介護リフトシリーズ「SOEL(ソエル)」を発表し、販売を開始いたしました。


[ " SOEL " に込めた想い ]
私たちが提供する介護リフト製品は、介護を受ける方、介護をする方、介護に関わるすべての方々に寄り添い、そっと手を添える(SOEL ソエル)ような存在であり続けたい。この想いから「SOEL」という名が誕生いたしました。
 そしてこの度、弊社の介護リフトシリーズ「SOEL」より2023年4月に発売いたしました、移動アシスト機能付き床走行リフト「ロボティックモバイルリフト SOEL MX-Air」の誕生秘話について、JCLS 代表取締役 / SOEL MX-Air 開発者である、私 高橋 恒治がご紹介いたします。
【 念願の自社製リフトが誕生するも操作性に課題 】
介護リフト市場において後進国の日本で、「世界に誇れる画期的なオンリーワンのリフト作りたい!」、そして「 “Made in Japanの介護リフト” を海外の方々に広く知って、使ってもらいたい!」、そんな想いで2019年から日本製床走行リフト「SOEL MX」の開発プロジェクトがスタートしました。コロナ禍の中、数々の苦難を乗り越えて2022年春、「SOEL MX」が誕生いたしました。我々が長年描いていた床走行リフトの理想形がついに形になった時の喜びは今でもはっきりと覚えています。
従来品が抱えていた多くの課題をクリアした理想的な床走行リフト「SOEL MX」でしたが、1つだけ大きな課題が残りました。それは使用する床の材質によって操作性が大きく左右される事でした。これは「SOEL MX」に限らずあらゆる床走行リフトに共通する大きな課題でした。使用する場所に絨毯が敷かれていたり、柔らかい床材(クッションフロア)が使用されていると床走行リフトの操作性が非常に悪くなり、極端なケースでは床走行リフトが使用出来ないケースもあります。操作性能が格段に向上した「SOEL MX」ですが、前述したケースで使用した場合、従来品に比べて操作性は向上しましたが完全に課題が解決したとまでは言えませんでした。
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【 課題解決の糸口、様々な検討を重ねたロボット化への挑戦!】
 そこで私たちはこの最大の課題を解決すべくある技術に着目しました。「ロボットテクノロジー」です。
近年、高齢者施設でもロボットテクノロジーを取り入れた機器(以下介護ロボット)がたくさん導入され、介護ロボットは珍しいものではなくなりました。入所者の眠りの状態やバイタルサインなどを把握して見守りに活かす「見守りセンサー」などは最も導入が進んでいる介護ロボットの一つです。
しかし移乗介助のような身体的負担のある作業を軽減するための介護ロボットは製品化されていましたが、まだまだ普及が進んでいない状況で、普及が進まない理由はいくつかの課題が解決されていないことが原因でした。


[ 課題 ]非装着型の移乗介助ロボットは、利用できる対象者が限定されている(重度者に使用できない)非装着型の移乗介助ロボットは、床走行リフトと同様に床の材質によって操作性が大きく左右される。体に装着する装着型のロボットは、業務内容ごとに着脱が必要で着脱が面倒。


 そこで我々は「SOEL MX」とロボット技術を融合させて床走行リフトの最大の課題を克服すれば、既存の床走行リフトと移乗用介護ロボットが抱える問題全てを解決できるのではないかと考えました。そこから我々の「SOEL MX」ロボット化計画がスタートしました。
まず初めに、どうすれば床走行リフトの最大の課題である床の材質に左右されない操作性を確保できるのかを検討しました。
単純に本体脚部のすべてのキャスター径を大きくすれば操作性は大きく変わることは理解していましたが、ベッドサイドで床走行リフトを使用する際、脚部の前方からベッドの下に差し込む必要があります。現在の日本の介護ベッドの多くが低床タイプであり、ベッドフレームと床のすき間が7cmほどしかないケースが多く、脚部の前輪キャスターを小さくせざるを得ません。この事が床走行リフトの操作性を悪くしている最も大きな原因でした。したがって、すべてのキャスター径を大きくすることは介護リフトそのものが使えなくなってしまうのでキャスター径の変更はできない状況でした。そこで私たちは、ベッドサイドでの使用に影響されない脚部の後輪を電動化すれば、介護者は楽に操作できるのではないかと考えました。しかし後輪の電動化を検討するにあたりいくつかの課題がありました。
1つ目の課題は、駆動する速度をどのようにコントロールするかという点でした。床走行リフトをベッドに差し込む操作、要介護者に近づける操作、車いすへ移動させる操作、他の居室へリフトを搬送する操作など、すべての場面でリフトを移動させる速度が異なります。これらを一定の速度で行うと、要介護者にリフトを当てて怪我をさせてしまうリスクや、周囲の家具や壁を破損させてしまうリスクも生じます。また、これらの場面ごとに速度を調整する機能があることで操作を複雑にしてしまうと、介護現場では受け入られにくい機能となってしまうことが予想されました。この課題は「SOEL MX」をロボット化するにあたり非常に重要な要素で、介護する方が直感的に扱える仕様でないと現場では受け入れられないことをこれまでの経験から感じていました。
2つ目の課題は、後輪を電動化するにあたりモーターやバッテリーをどのように搭載するかという点です。高齢者施設の居室はベッド周辺のスペースが狭いケースが多くあり、介護リフト本体を出来るだけコンパクトにする必要がありました。しかし、「SOEL MX」にモーターやバッテリーを搭載するとどうしても現行モデルより本体が大きくなってしまい、介護現場での使用に支障をきたすことが懸念されました。様々な検討を重ねた結果、特に重要な要素である操作する際の速度コントロールについて電動自転車に代表される電動アシスト機能に着目しました。介助者の操作した力を感知し、駆動輪の速度制御が可能な電動アシスト機能は、まさに「SOEL MX」のロボット化に欠かせない技術だと感じたからです。
【 多くの協力企業者様の協力を経て、ロボット仕様の介護リフト誕生!製作過程での出会いから得た人生訓 】
偶然にも既存の協力企業の中に電動アシストモーターを開発している企業がいましたので、試作第1号の完成まではそれほど時間がかかりませんでした。しかし完成した試作機は我々が満足できるような製品レベルではありませんでした。電動モーター付きキャスター(後輪)を本体に取り付ける際、構造上どうしても固定キャスターを取り付けざるを得ず、結果として非常に旋回操作がしづらい構造となってしまったことが失敗の大きな原因でした。狭い居室で床走行リフトを操作するには旋回操作がスムーズに行えることが必須要件となりますが、完成した試作機はその要件を十分に満たすものではありませんでした。またモーターやバッテリーが大きく、現行の「SOEL MX」より外寸が大きくなってしまう事も課題の一つでした。結果的に再度モーターの選定から見直す事となり開発は振り出しに戻ってしまいました。
そんな時、貴重な出会いが我々の開発を後押ししてくれることとなります。弊社の別途製品開発をバックアップしてくれた企業様と、とある展示会で久しぶりにお会いした時のことです。その場で「SOEL MX」のロボット化について何気なく話をしたことがきっかけで思いもよらぬ方向で開発が急速に進むことになりました。なんとその企業様は既に作業用アシスト台車の製品化に成功しており、そのノウハウを「SOEL MX」に搭載してはどうかとご提案してくださったのです。そこで具体的なお話をお聞きすると、これまで我々が抱えていた技術的課題もそのアシストユニットを搭載することで全て解決する見通しが立ったのです。そればかりか製品化への道筋も一気に見えた瞬間でした。とはいえ開発は試行錯誤の連続でしたが、2度の製品試作を経て日本初(※2023年自社調べ)のロボティックモバイルリフト「SOEL MX-Air」が誕生しました。展示会で再会してからわずか1年という期間で製品化することができ、当事者である我々も驚くほどのスピードでした。
完成した「SOEL MX-Air」は、介護リフトの扱いに慣れた介護の専門職が驚くほど操作性が良く、絨毯の上でも軽々と操作でき、介護現場の方々の評価は上々でした。また、介護リフトの利点を活かした「SOEL MX-Air」は軽度から重度な要介護者まで幅広く対応でき、従来の移乗用介護ロボットが抱えていた問題を全て解決した画期的な移乗介助用介護ロボットが誕生しました。
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こうして完成した「SOEL MX-Air」ですが、その製品開発の裏側には私たちを支えてくれた人々との貴重な出会いがありました。「SOEL MX」開発の際に出会った2人の海外在住のスペシャリスト、そして「SOEL MX-Air」開発時に出会ったパートナー企業の方々、彼らとの出会いが無ければ間違いなく弊社 SOEL シリーズの介護リフトは存在せず、私たちの夢も実現しなかったことでしょう。


私はそんな彼らとの出会いを通じて3つの大きな人生訓を得ました。
1. 人とのつながりを大事にする事
2. 誰にでも敬意と誠意をもって接する事
3. 自らが積極的に動く事


今ではこの3つの人生訓を胸に、日々業務に邁進することで、どのような苦難があっても必ず道は開けると確信を持って働く事が出来ています。
多くの方々のサポートと努力で誕生した業界初のロボティックモバイルリフト「SOEL MX-Air」。非力な女性でも、介護者と要介護の体格差が大きくても、床の材質が柔らかくて狭い場所でも、驚くほど軽く操作できる操作性を実現したロボティックモバイルリフト「SOEL MX-Air」を、是非皆様に体感していただければと思っています。

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