世界の巨人「トヨタ」の本拠地「豊田市」は公共交通が微妙!? アクセス方法と自治体の声を聞いてみた

2024.03.26 07:00
この記事をまとめると
■愛知県豊田市はトヨタ自動車の発展とともに繁栄してきた
■豊田市内には鉄道が4路線乗り入れており、交通の便に関して改善を求める声はほぼない
■豊田市へのアクセスにはやや時間がかかるが、郊外工業地帯としてみれば十分に公共交通機関も発達しているといえる
トヨタとともに繁栄した挙母市が「豊田市」に改名
  日本が誇る製造メーカーのひとつ「トヨタ自動車株式会社」は、2023年の営業収益43兆円と、ブラジルの国家予算と同じレベルの規模の売り上げを記録する世界でも有数の企業です。ダイハツ、日野などを含むグループ全体としては、世界の自動車関連企業でトップの販売台数を誇ります。
  そんなトヨタが本社を置く愛知県の「豊田市」は、トヨタの繁栄をともに過ごしてきた都市だけに、さぞや近代化が進み、ちょっとしたメトロポリスのような姿になっていてもおかしくはない、と考えたりしてしまいます。
  しかし、いざトヨタ自動車の本社工場を訊ねてみると、名古屋駅からの公共交通でのアクセスはけっしていいとはいえず、取材でちょくちょく訪れる編集部員からは「乗り換えがちょっと……」という声が聞こえてきたりします。
  そこでここでは、そんな「豊田市」の公共交通事情について少し調べてみましたので、その実際をお伝えしてみたいと思います。
■豊田市(とよたし)の成り立ち
  現「豊田市」は、もともとは「挙母市(ころもし)」という名称からスタートしました。
  その母体となる「挙母町」は養蚕・製糸業の町として栄えていましたが、需要の低下で町の産業が衰えてしまいます。そのテコ入れ政策として、大手の繊維業となっていた「豊田(とよだ)自動織機製作所」の新業態である「トヨタ自動車工業株式会社」の誘致を計画しました。
  1938年には「論地ヶ原(現豊田市トヨタ町)」に大規模な工場が完成。稼働後は「トヨタ」の発展にともない、産業の収益とともに人口も増加して、1951年に「挙母市」にグレードアップしました。
  そしてそれから8年後、トヨタの所属する豊田市の商工会議所から市の名称変更の要請が出されました。当時は賛否に分かれて議論が交わされたようですが、最終的には世界的な規模の自動車メーカーとともに歩むという目的に沿って、「豊田市(とよたし)」という名称に変更されました。
  そして「愛・地球博」がおこなわれた2005年には、山間部を含む藤岡・小原・下山・足助・旭・稲武の周辺地域を合併し、愛知県でも最大の広さを持つ市となりました。
  豊田市の総人口は約52万人で、愛知県では名古屋市に次ぐ2位の位置づけです。ちなみに日本の自治体のランキングでは50位(2024年時)にあたります。そのなかで、住民の85%がトヨタ関連の企業に従業していると言われています。
  豊田市の2019年(令和元年)の製造品出荷額は15兆1717億円で、堂々の全国第1位です。自動車関連額の割合は97.6%とほとんどを占めているそうで、まさに「トヨタの城下町」という表現がピッタリといえます。
市内で生活する分には不満なく公共交通機関も発達している
■意外なことに公共交通のカナメの鉄道が少なく感じる
  そんな活気のある都市の豊田市には、広大な範囲のなかに鉄道が4路線通っています。
  1本目は、豊田市を南北に縦断している「愛知環状鉄道」。北は「高蔵寺」から南は「岡崎」まで、23駅の区間です。トヨタ自動車本社工場にいちばん近い「新豊田」はちょうど真ん中に位置しています。
  2本目は「名鉄三河線」です。こちらは豊田市の北にある「猿投」から南下して「豊田市」を通り、さらに南下しつつ西に斜めに進んで境川に当たったところで川沿いに下り「碧南」に至る路線です。地図で追っていくと、豊田織機など、トヨタ関連の企業の工場の近くを通っている路線だということがわかります。
  3本目は同じ名鉄の「豊田線」です。こちらは「豊田市」を起点に、少し北上した後で西に向かい、日進市にある「赤池」までの短い路線です。「赤池」からは「地下鉄鶴舞線」に接続しているので、名古屋市の中心部を通り、最長で岐阜の「犬山」まで直通で行ける列車もあるようです。
  4本目は豊田市の北の方を東西に横断する「愛知県道6号力石名古屋線」に沿って通る「東部丘陵線」です。「リニモ」の愛称のほうが通りがいいでしょう。愛知県で「愛・地球博」がおこなわれた際に、名古屋中心街と博覧会場を結ぶために建設された、日本初の実用リニアモーター路線です。いまでは豊田市と名古屋市の中心部とを結ぶ生活のための路線として活用されています。
「八草」で「愛知環状鉄道」に乗り換えできるので、「新豊田」へ向かう路線のひとつとして有効です。
  さて、この路線の数が多いか少ないかという点については、見る角度によって変わると思います。
  そもそも豊田市のように、工場が多く区画のひとつひとつが広い区域では、鉄道よりも自動車での移動が多い傾向がありますので、これだけの路線があるのは、移動手段が十分に多く整備されているようにも感じられます。
  実際のところはどうなのかというところで豊田市役所に問い合わせてみたところ、市内の生活においては、現状の鉄道網にバスなどの公共交通を含めた交通の便に関して、改善を求める声はほぼないとのことでしたので、需要に対して十分に賄えていると考えられます。
■外からトヨタ自動車本社工場へ行く場合はどうだろう?
  さてその一方で、県外からトヨタの本拠地である「トヨタ自動車本社工場」に向かうとしたらどうでしょう?
  鉄道で向かう場合、まずJRの名古屋駅が起点になるでしょう。そこから本社工場に向かうにはいくつかの選択肢があります。最寄り駅は「愛知環状鉄道」の「三河豊田駅」です。駅前から本社工場の各施設に向けて、市営の「おいでんバス」と「名鉄バス」に乗ることができます。
  豊田市の中心地からだと、「愛知環状鉄道」の「新豊田」と「名鉄」の「豊田市」の駅前から多くの路線が出ていますが、そのなかから「名鉄バス」の「豊田市内線」に乗れば工場区画に直行できます。
  南まわりのJR東海道本線>愛知環状鉄道の乗り換えで、最短で1時間、平均では1時間半くらいで「三河豊田」に着きます。このルートでは通勤時間帯で15〜20分に1本という感じです。
  また、北まわりの地下鉄>リニモ、または地下鉄>名鉄の乗り換えパターンでも、だいたい1時間半の所要時間のようです。
  ちなみに「三河豊田駅」の時刻表を見ると、1時間に3〜4本という頻度なので、その本数を見る限りは郊外の駅の平均くらいかなと思われます。
  確かに、「あのトヨタ」のお膝元の都市という期待感を持って県外から「豊田市」へ向かう側からしたら、想像より時間がかかりますし、乗り換えもちょっと煩わしいと感じる人がいるかもしれませんが、地元の人たちの生活のための交通手段としては十分以上に機能していますし、似た規模の郊外タイプの工業地帯として見ても十分に網羅されているように思えます。

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