AIの力で個人がアニメを作れる世界を実現する。KaKa Creationが挑むアニメ業界の課題解決と新たなビジネスモデルの確立

2024.03.25 10:01
生成AI時代における、新しいアニメのワークフローやビジネスモデルを作り、クリエイターエコノミーの活性化を目指すKaKa Creation。


さらなる成長に向けて事業を拡大させていくなか、取締役CCOとして元Production I.Gの飯塚直道がCCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)に就任しました。
今回はKaKa CreationのボードメンバーのCEO竹原とCCO飯塚による対談を通して、アニメ業界の課題解決に向けた取り組みや、AIアニメの可能性を探りました。
「アニメ業界を外から変えたい」という思いからKaKa Creationへジョイン
── まずはCEO竹原さんとCCO飯塚さんのこれまで歩んできたキャリアや、自己紹介について教えてください 。


竹原:新卒でサイバーエージェントに入社し、広告営業やソーシャルゲームのプロデューサー、フィギュア事業の立ち上げなど、さまざまな仕事に携わってきました。なかでも、コンテンツビジネスに15年間ほど関わった経験が、今の起業にもつながっていると感じています。
ゲームやアニメ、フィギュアなど、いろんなジャンルのクリエイターと接し、対話してきたことで、コンテンツビジネスの面白さや奥深さ、そして何より日本が世界に誇るIPビジネスとしての可能性に惹かれたのです。
そうした中で、エンターテインメントとテクノロジーを掛け合わせ、日本のコンテンツをもっと世界に発信していきたいという思いから、2023年6月にKaKa Creationを立ち上げました。


飯塚:私は大学在学中に、インターンとしてサイバーエージェントで働いていました。その頃はYouTuberやVTuberが台頭する前の時期でしたが、他社に先んじてYouTuberのタイアップ事業に取り組んでいましたね。
実は自分の最初の上司が竹原さんだったのは、今でもいい思い出です(笑)。


その後、AbemaTV(現ABEMA )のゲームチャンネルでメインプロデューサーを務め、任天堂やポケモンといった大手ゲーム会社と協力しながら、番組制作を経験しました。
サイバーエージェントを退社後は、コンテンツプロバイダーのProduction I.G社へ転職し、Netflixオリジナル作品『ULTRAMAN』FINALシーズンや劇場作品『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』のプロデューサーを務めていました。


KaKa CreationではCCO(チーフ・コンテンツ・オフィサー)として、プロジェクトの企画や品質担保に従事しています。


── なぜ飯塚さんはKaKa Creationへジョインを決めたのでしょうか。そのきっかけや想いについてお聞きしたいです。
飯塚:生成AIブームは2023年3月頃から、急激に盛り上がっていたんですが、私自身その動向を知ってはいたものの、キャッチアップは全然していなかったんです。こうした中、とある飲みの場で竹原さんと再会する機会があって。


その席で色々と話していくうちに、生成AIがクリエイターにもたらす可能性や、コンテンツビジネスの将来性に気づいたというか。
5年間アニメの制作会社で働いて見えてきた様々な課題を何とかしていきたい思っていた矢先に、竹原さんの会社に誘われたのはちょうどいいタイミングでした。
アニメ業界の抱える課題解決には「ワークフローの変革」と「ビジネスのスケール」のバランスが重要に
── 長年アニメ業界が抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか。


飯塚:アニメ業界の課題は大きく以下の6つがあると思います。

厳しい労働環境、スケジュールの圧迫手塚アニメの頃からワークフローが変わっていないアニメ制作に関わる人材の高齢化と後継者不足IP毀損の懸念から新しい技術を取り入れづらい制作現場に利益還元されづらい仕組みになっている技術の海外流出


CG技術もデジタルで描けるようになったとはいえ、40年以上も基本的なワークフローが変わっていないのが実態です。
良い作品を創るためにつくられた大切なワークフローではありますが、一方で制作会社の負担が非常に多く新しい技術を取り入れづらい様々な状況があるのも事実だと思っています。


── その課題に対し、KaKa Creationではどのようなアプローチを行っていますか。
飯塚:今のアニメ制作におけるワークフローは、ものすごくセクショナライズされています。一作品につき300〜400人くらいのスタッフが関わらないといけない。
そんな中、生成AIを用いれば、それこそボタンひとつで最終画ができるレベルなので、ワークフローが根本的に変わる可能性があるわけです。


ワークフローが変われば、新しい会社が登場してくるので、制作会社の業界におけるパワーバランスをひっくり返すチャンスにもなると感じています。


竹原:僕らはAIの力を使って、新しいワークフローや付加価値の創出を手段として、新しいアニメビジネスの構造自体を創っていきたいと考えています。
その中で、「コンテンツに向き合うこと」と「ビジネスとしてスケールさせること」のバランスがとても重要になってくると考えています。


加えて、生成AIでコンテンツを作る技術サイドのノウハウや知見も必要になってきます。今現在、制作現場においてクリエイターが創る「クリエイティブ」の領域と、AIで省人化できる領域は何かを見定めるために、いろんなアプローチを試しています。
また、クリエイターとタッグを組み、AIを用いて制作コストを下げていくことで、もっと作品を量産できるサポート体制を組みながらソーシャルアニメの制作に取り掛かっています。


クリエイターによってその線引きはもちろん異なってくるため、様々な要望にこたえられるためのバラエティにとんだAIサポートの技術が必要になってくると考えています。
AIで描けるハイディテールな「美麗アニメ」は、新たなアニメジャンルの確立につながる
── AIを活用したアニメ制作と普通のアニメ制作では、どのような違いがあるのでしょうか。


竹原:今、飯塚がチャレンジしているのは「AIの新しい表現方法」の模索です。
かつてCGが登場したときには、CGでしか作れないコンテンツがあったように、生成AI時代ならではの独自表現方法も、今のアニメとは別に確立されてくると思うんですよ。
既存のアニメ制作をAIでサポートを行うことと並行に、新しいビジュアルやコンテンツを生み出すために、会社としても新しいクリエイティブ開発には積極的に投資していきたいと考えています。


飯塚:私がやりたいのは、ディテールのすごく細かい「美麗アニメ」です。多彩なグラデーションでハイディテールな美麗イラストを手描きで作ろうと思うと、通常は制作カロリーがものすごくかかるのですが、生成AIを用いれば容易に美麗イラストを作れるんですよ。


静止画が生成できるなら、動画としても生成できるはずなので、そうなれば超リッチなアニメジャンルを新たに確立できる可能性が生まれ、マーケットチェンジを起こせるわけです。


竹原:飯塚が言うような、全く新しいアプローチでビジュアルフォーマットを設計し、AIアニメとして成立させることがひとつのポイントになると考えています。
飯塚:その一方で、今あるものをAIで省力化、効率化を図っていくことも大事になります。例えば、コストの低い、アニメのキャラクターが口パクするカットでさえ、作るには、10人くらいのスタッフが関わります。
アニメの制作会社で働いていたので、「面倒な作業を簡略化したい」という気持ちは痛いほどわかるんですよ。そういった工程を省力化、効率化できることで、作品のクオリティを上げるところに時間が使えたり、もっと多くの作品が作れるようになったりしていくと思っています。
業界のビジネス構造を変え、個人がアニメを作れる世界を実現させる
── 飯塚さんに期待することや、CCOとしてコミットしてほしいことはあります
か?
竹原:僕らはAIの技術会社でも一般的なコンテンツ制作会社でもなく、その両方の大切な要素を合わせ持った組織づくりを行い、人を感動させるというのを目指していきます。
そんな中でも、人の心をつかむコンテンツ作りのノウハウとコンテンツ作りを加速させるためのAI技術に向き合う姿勢、ビジネスとして成立させていく経営視点を兼ね備えた飯塚は、本当に稀有な存在だと思っています。


僕らが目指したい世界は、AIテクノロジーを、今までにないクリエイションを創り出す最強の「ツール」と捉え、とことん向き合う。その上で、「本当の感動を創りだせるクリエイター」に、力を取り戻したいと考えています。


クリエイター自身が表現したいアニメをつくり、それ自体がビジネスとして成立する世界をAIの力を使って創り出していくことが、僕らの使命だと感じています。そうすることでもっと世の中に、人を感動させられるコンテンツがあふれる世界を目指したいと思っています。


表現をするところにクリエイターが集中し、AIでも成立できるところをツールとしてAIを活用する世界。そういう意味では、新しいテクノロジーでコンテンツを作っていく能力と、ビジネス観点でやるべきことを判断する力を持ち合わせている点が、飯塚をCCOに起用した決め手になりました。


飯塚:足元では自社で作品をいくつか仕込んでいるほか、「AIを使って何かコンテンツを作れないか」というお話は多くいただいています。
目の前のことは全力で取り組みながらも、目指すビジョンとしては業界のビジネス構造を変え、個人がアニメを作れる世界を実現させることですね。


やはり、初音ミクが登場したことで作曲活動が個人でできるようになったり、YouTuberが台頭したことで動画を視聴する可処分時間がテレビからYouTubeに移行したりと、世の中全体で個人の時代に変わってきているなと。


その中で、日本の得意な手描きアニメは、これまで量産していくのが難しいわけだったんですが、 AIの力で劇的にハードルが下がる未来は確実に到来することを見据えると、個人がアニメを作って生計を立てる人を増やせるようにしていきたいと考えています。


日本では小説や漫画が多く創り出されるなど、想像力が豊かで表現したい人がたくさんいる国だと思います。アニメはそういった小説や漫画を世に広める最も最良なツールであり、グローバルに発信していく上では、とても価値のあるビジネスにできるのではと捉えていますね。
アニメの歴史に大変革を起こすためにKaKa Creationが目指すこと
── 最後におふたりの今後の展望についてお聞かせください。


飯塚:KaKa Creationでやっていきたいのは、新しいアニメのビジネスモデルを作ること。新しいアニメのフォーマットを確立すること。そして、個人でアニメを作れる世界を作ることです。


ショート動画が流行っているように、動画の尺も短くなっているなか、アニメのフォーマットも新しく変わっていくのだと思っています。そんな中、今こそアニメの歴史に大変革を起こせる最初で最後のタイミングだと捉え、僕たちから構造を変えていけるように頑張っていきたいですね。


竹原:アニメは世界に誇る日本の強み。AIによる省人化が進み、個人がアニメを創れる世界とビジネスモデルの成立の両軸が成立すれば、アニメ制作を目指す人が増え、グローバルにもっとたくさんの作品を届けることができ、新しいマーケットの確立を目指せると本気で考えています。
その世界を実現させるために、尽力していきたいと考えております。今後のKaKa Creationにご期待ください。
株式会社KaKa Creationについて
KaKa Creationは「AIの力で、創造する人に力を。もっと、世界をつなぐクリエイションを。」というミッションの元、AIを活用したアニメ制作事業 / コンテンツサービス開発事業を展開しています。また、子会社である株式会社KaKa Merchでは、AIを活用した海外流通支援事業 / MD関連事業を展開しています。最新のAI 技術と独自のフローをベースにしながら、世界を見据えた最高のコンテンツをつくれる体制で、クリエイターの皆様と一緒に様々な感動を創り出してまいります。
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