全国から注目を受ける西条市の「移住×プロモーション」戦略。成功の裏にある担当職員たちの想い

2024.03.20 10:00
愛媛県西条市は、テレビやラジオ、雑誌や新聞、WEBサイトなど多くのメディアに「移住したいまち」として紹介されています。
宝島社が発行する『田舎暮らしの本』「住みたい田舎ベストランキング」若者世代部門で3年連続全国1位を獲得したほか、2023年12月末には日本テレビ朝の情報番組「ZIP!」の特番「妄想移住ランキング」において、“2024年に移住するべき市町村ランキング”全国第6位に選ばれ、中国・四国地方で唯一ランキング入りを果たしました。
今回のストーリーでは、なぜ四国の片田舎である西条市が「移住したいまち」として注目されるようになったのか、担当職員たちにお話しを聞きました。
移住施策では後発組だった西条市
西条市が「移住×プロモーション」のプロジェクトをスタートさせたのは2018年からでした。当時はすでに日本全国どのまちも移住施策を本格化させており、取り組むにはむしろ遅く、まちの知名度も低いと言わざるを得ませんでした。
それでも西条市への移住者数は、プロジェクトをスタートさせた2018年度から右肩上がりに増加し、スタート前の2017年度106人と比較すると、2023年度の移住者数は1,500人程度を見込んでおり、約15倍増加したことになります。
令和3年度から移住推進課長に就任した森本課長は「移住を検討している方がどう考えて行動するのか、そういった人たちに西条市がどう見えるのか、とにかく一生懸命考えていました。引き継いだ当初は、『本当にこんな事までするの?』と驚きました。」と、当時を懐かしそうに振り返ります。
オンリーワンの移住体験ツアーを実施
職員が悩みぬいた末に生まれたのが、現在も実施している完全オーダーメイド型の無料個別移住体験ツアーです。
この体験ツアーは、複数の家族に同じコースを提供するいわゆる「団体パック型」のツアーではなく、完全オーダーメイド型の体験ツアーです。「徹底した移住者目線」により、往復の交通費や宿泊費、食費も全て無料、しかも土、日、祝日大歓迎で実施しています。
また、このツアー最大の特徴は、場所ではなく「人へのアクセス」を優先し、参加者それぞれのライフスタイルや関心事に合わせてカスタマイズし、先輩移住者や地元農家、企業の社員や学校の先生など、人と人をつなぎ、“密着軸”で実施することです。
時には、ツアー参加者と一緒になって就職活動を頑張ったり、空港から就職試験会場までの送迎、家探しや引っ越しの手伝いもしました。お子さんがいる家族には、入園・入学の手続きや入学式の記念撮影、ある時は朝5時からカブトムシを捕まえに行ったり、学校やPTAに声掛けして制服など学用品のおさがりを探したりと、多岐に渡っています。
すぐ近くで移住推進課職員の奮闘ぶりを見てきたという、シティプロモーション推進課の田邊専門員は「休日返上で頑張っている移住推進課の人たちを見て、私たちも何とか力になりたいと思っていました。“働き方”としてはちょっと心配にもなりましたが(笑)。でも当時の担当者が『こんなことで西条市を好きになってくれるなら安いもんだよ』って言ってたんです。彼らがここまで本気なら、私たちも本気じゃないといけない!と感じました」と言います。
「移住×プロモーション」で事業を最大化
移住検討者に向けたセミナーや体験ツアー、空き家バンクの運用など、移住施策そのものは移住推進課が担当し、シティプロモーション推進課は情報発信面で移住推進課の事業をサポートしています。WEBサイトや公式SNSなどのオウンドメディアはもちろん、テレビやラジオ、Youtubeなど、様々なメディアをミックスしながら移住に関心の高い若い子育て世代へのアプローチを行っています。例えば、関東圏や関西圏のローカルテレビ番組でのPRを通じて、その後開催予定の移住セミナーなど関連イベントに誘導しています。
西条市が移住施策を全国的にプロモーションする転機となったのは、宝島社が発行する『田舎暮らしの本』2020年の「住みたい田舎ベストランキング」若者世代部門で全国1位を獲得したことでした。この“全国1位”という結果をひとりでも多くの、特に大都市圏在住の方に知ってもらうためには、外向きのアウタープロモーションを徹底する必要がありました。
「オウンドメディアはもちろんですが、とにかく知っている限りの手段を使って情報発信しました。それが結果として様々なメディアの取材につながったのだと思います。『愛媛県西条市がなぜ全国1位に選ばれたのか?その謎を解き明かそう』という切り口でたくさん取材していただきました。」と田邊専門員。
最近では2023年12月末に放送された日本テレビ朝の情報番組「ZIP!」の特番「妄想移住ランキング」に紹介されたことが記憶に新しいと思います。
また、番組放送時にはカットされた未公開シーンを詰め込み、再編集した西条市特別版の動画をYouTubeで公開中です。
▼【未公開シーン満載】ZIP!特番「妄想移住ランキング」西条市特別版
「番組放送後の反響は本当にすごかったですね。その後、都内で開催した西条市単独の移住セミナーには41組72名もの申し込みをいただき、当日も大盛況でした。あまりにも大変だったので、シティプロモーション推進課の二人にもお手伝いしてもらったくらいです(笑)。」と移住推進課の越智専門員はプロモーションの効果に驚きの声をあげます。
部署を超えた連携が生む好循環
現状、西条市役所の組織では、シティプロモーション推進課と移住推進課は別々の部署です。行政視察や取材を受ける際、「どうして別々の部署がこんなに連携できるのですか?」と、質問されることもあります。
「シティプロモーションと聞くと、あれもこれもと手を出してしまって結果失敗する、といった話も聞きます。西条市にとって、①何が一番の課題で、②誰をターゲットに、③何を売りにするかを考えた結果、これまで“移住施策”に特化して情報発信してきました。今後も①から③をしっかりと全体で共有しつつ、世間のトレンドも踏まえながら戦略的にプロモーションしていきたいと思います。また、私たちはあくまでも“裏方”として移住推進課を支えるのが役割だと思っています。彼らを主人公とした熱い仕事ぶりをメディアに取材していただく。この流れが上手く機能することで彼らの仕事を“最大化”しているんです。」と、シティプロモーション推進課の西村課長は語ります。
「シティプロモーション推進課が私たちの取り組みを色んなメディアに情報発信してくれたり、取材時の調整をしてくれるおかげで、私たちも移住体験ツアーをはじめとした事業に集中することができています。また、プロモーションの大切さを本当に実感させてもらっています。」と、森本課長。


西条市では、「地方移住といえば西条市」と言われるよう、「移住×プロモーション」を徹底し、コロナ禍においても一貫して「相手の目線に立った施策」に取り組んできました。その結果、「メディアがメディアを呼ぶ」好循環に加え、移住者が自身の体験を(メディアを通じて)広く発信し、検討層に波及させることで、「移住者が移住者を呼ぶ」という2つの好循環が生まれたと感じています。
今後は、これまでの取り組みを成功体験として、他の部署にも広く波及させる必要があると感じています。各担当者が自身の業務遂行にあたり、「事業×プロモーション」を意識するようになれば、組織内の好循環も拡大していくものと考えます。
西条市の「移住×プロモーション」プロジェクトがスタートしてまもなく6年。人事異動もあることから、その熱量を長く維持することはなかなか難しいと思いますが、これまでの担当者の想いはたしかに受け継がれ、広がりを見せていると感じています。

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