先代で極めたスポーティさは苦手な人もいた!? 新型スイフトが目指したものをデザイナー陣に直撃した

2024.02.26 13:00
この記事をまとめると
■スズキの新型スイフトを担当したデザイナーにインタビューを行った
■当初のデザインを仕切り直して「ひと目見たら印象に残るデザイン」を目指した
■ボディカラーのこだわりやインテリアの造形についても語ってもらった
スポーティさ狙ったら「保守的」と却下
  スイフトと言えばスポーティなコンパクトカーとして人気がありますが、新型では「軽やかさ」や「スマートさ」といった新しい面も追求したいといいます。ではデザインの新しさはどこにあるのか、今回は担当デザイナーの3人の皆さんに話を聞いてみました。
仕切り直しで見つけたまったく新しい要素
──では最初に、デザインコンセプトは「一目見たら印象に残るデザイン」とありますが、その意図を教えてください。
「じつはデザインチーム内では『ハッとするデザイン』ともいっていたのですが、いずれもファーストインプレッションを重視した考えですね。過去4世代のなかではキープコンセプトもあったし、先代は歴代のスポーティさの完成形でもあった。そうした財産は生かしつつも、次はまた違う新しさが必要だと考えたワケです」。
──新型は、女性など歴代のスポーティな印象が「自分には合わない」とする層へも訴求するとしていますが、そこはどう配慮したのでしょう?
「じつは、当初は歴代のようなスポーティさを狙っていたのですが、役員から「保守的だ」とダメ出しがありまして(笑)。そこで、スポーティとは異なるファクターを求めて仕切り直し、短時間ながら4つの案にまとめることができました」。
──そこでラウンドしたショルダーとフェンダーの対比という提案が出たワケですね。
「はい。とりわけ、Z世代に身近なデジタルデバイスやファッションなどから『多面体』というテーマを導き出した。ただ、ショルダー面の「輪」でボディを引き締めてワイド感を強調するなど、デザインテーマは大きく変えつつも歴代のスポーティさはしっかり残しているんです」。
──そのショルダーラインの深さは場所によって異なります。もっと一様に深くした方がよかったのでは?
「そこは5ナンバーサイズという制約がありますので……。ただ、弊社は軽自動車のノウハウがあるので、与えられたサイズのなかではかなりの立体感が出せたと思います。具体的には、ライン下部のエッジをしっかり出すことで強さを出しています」。
──フロントでは、前に突き出したグリルと絞りの少ないヘッドライトが新しい表現ですね。
「キースケッチにもありますが、ボディの「多面体」のなかのひとつをグリル面としてボリュームをもたせ、そこを左右のフェンダーで挟み込んだ造形ですね。ヘッドライトはたしかに横への張り出しが大きいですが、これはフード部をしっかり絞っているからこそできる造形ですね」。
──そのグリルでは、下半分に置かれたメッキパーツがユニークですね。
「はい。じつはスケッチの段階ではメッキパーツは描かれていなくて、実際スタンダードグレードのXGには付いていません。ただ、仕様的な判断から上級グレードに追加することになったのですが、グリル内のレーダーなど機能的な理由から下半分のみになっているんです」。
──先代ではリアピラーの一部がボディ色でしたが、今回は完全にブラックアウトさせましたね。
「はい。先代は全身が筋肉質な造形で、その一部としてピラーがはみ出していましたが、新型ではラウンドしたキャラクターに合わせてスパッと切りました。じつはキースケッチには逆三角形のピラーが描かれていて、実際に試したものの、下が細くなっている形状から安定感が得られなかったんですね」。
──おや? と思ったのが、テールランプ下のボディが斜めにカットされている点です。
「あ、そこですね(笑)。本来はランプに合わせて水平にするところですが、それではまとまりはイイけど印象に残らない。ここは今回の「ハッとするデザイン」として動きを出したということです」。
先進の素材感を打ち出したボディカラー
──ボディカラーでは新色が2色ありますが、次世代スズキを象徴するのが「フロンティアブルーパールメタリック」ですね。
「同じく3層コートで評判だった『バーニングレッド』の対となる色ですね。じつは開発は2016年から行っていたのですが、水溶性の塗料を安定して塗ることが難しく、発表が今回の新型スイフトまで掛かってしまいました」。
──もう1色の「クールイエローメタリック」は先進テクノロジーをイメージしたとありますが、具体的には何をモチーフにしたのでしょう?
「Z世代をターゲットとして、たとえばスポーツウエアやシューズなどで見られるシリコン系の新素材をイメージしました。スポーティの新しい解釈ですね。かなり思い切った色ですが、ここも「ハッとするデザイン」の一環と言えます」。
──次にインテリアについて。インパネとドアトリムをつないだシャープな造形は「スポーティ過ぎ」にはなりませんか?
「スポーティ過ぎるという点では、じつは当初は先代のスポーティな記号性の強い表現だったんですね。そこを仕切り直して、軽やかで包まれ感のある造形に修正した。グレーの樹脂部分は三角形のテクスチャーとすることで、明るい部分と暗い部分のコントラストを効かせています」。
──浮島的なインパネ造形は他社でも見られますが、これはトレンドでもあるのですか?
「それもありますし、Z世代に向けてあまり重厚に見せない狙いもあります。浮いている、抜けていることで従来とは異なる世界観を作りたかった。また、ナビ画面を上に移動させたことで中央の島がしっかり見えるようになったのですが、さらに金属調パーツを加えることで手前に飛び出して見えるよう工夫しています」。
──では最後に。新型は「従来のスイフトにとらわれないデザイン」を掲げましたが、実際に手掛けてみてどのようなことが達成できたと思いますか?
「スポーティさなど、記号的でストレートな表現から次世代へ更新するようなジャンプができたと考えています。ラウンドしたショルダーといった新しい要素や、ブルーの限界を超えた新しいボディカラー、黒一色ではなく軽やかなインテリアなど、いずれも仕切り直したことで実現した飛躍だと思います」。
──古典的なスポーティさからの脱却ですね。本日はありがとうございました。

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