もはや「あったかい」だけではない「あったかハイム」最新事情

2024.02.08 10:00
四季の中でも「早く終わってほしい」と思う人が多いのは冬だろう。寒さで身動きもとりづらくなる。そんな時期によく耳にするのが「あったかハイム」というフレーズだ。テレビCMなどによる「かえりたーい♪ かえりたーい♪ あったかハイムが待っている♪」という覚えやすいフレーズを思い出す人もいるかもしれない。しかし、そもそもこの「あったかハイム」とは何なのか?
「簡単に言うと、床下全体から家の中を温める仕組みです」


そう話すのは積水化学の住宅カンパニー 経営戦略部 マーケティング部 スマート推進室の相良峰雄だ。相良はエネルギーシステムの基礎研究、住宅空調設備などの技術開発を経てスマートハウス技術を核とした住宅商品企画に携わる。あっさり答えが出たかのようだが、実はこの仕組みが生まれるまでにはさまざまな試みが行われてきたという。
積水化学工業 住宅カンパニー 経営戦略部 相良峰雄


「単純に床下から暖房する仕組みを開発しても、家そのものの断熱性能が低いと効果は期待できません。また、床下暖房の省エネ性能が高くなければ光熱費が高くなり利用は現実的ではありません。あったかハイムは、建物の断熱性能も含めた全体設計の中であたたかい家を作り出す仕組みなのです」
あったかハイムが生まれるまで
日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けてCO2 排出量全体の約3分の1を占める住宅・建築物についてさらなる省エネ・CO2排出の削減を求めている。住宅の省エネ化を進めるためには、建物からの熱の逃げにくさや、日射熱が建物へ入りにくいかなどの「断熱性能」と、「省エネ性能」を高めることがポイントとなる。この課題に取り組んできたのが積水化学の展開する住宅ブランド「セキスイハイム」だ。


「私どもセキスイハイムでは1997年より太陽光発電搭載住宅の販売を開始し、省エネ住宅を推進してきました。太陽光を受けて発電し、その電力をエネルギーとして活用、停電時には発電エネルギーを利用できる仕組み(※1)に27年前から取り組んできました」
(※1):[蓄電池採用の場合] 停電時、蓄電池の残量が無い場合は電力を利用できません。また、使用できる範囲は、蓄電池や事前の設計により異なります。同時に使用できる電力には限りがあります。


そう話すのは開発統括部 住宅技術研究所 基盤技術研究室 住環境技術グループの塩見健だ。新築一戸建て住宅の現場設計業務から、開発業務などを経て、現在は住宅技術の研究・開発を行っている。
積水化学工業 住宅カンパニー 開発統括部 塩見健


「日本の住宅は、欧州などと比べると断熱性能が低いのが現状です。しかし、日本が推進するCO2排出量削減を目指す上では、断熱性能と省エネ性能を高めることが必須です。私たちは太陽光発電搭載住宅を発売した時から、住まいの断熱性能を高め、日本の住宅をあたたかくしていくことを検討していました」


セキスイハイムは湿気が上がりにくく、地震に強いという安心・安全面からベタ基礎を導入している。ベタ基礎とは基礎の立ち上がっている部分と基礎の床一面を、鉄筋を入れたコンクリートで一体化して大きな面で家の重みを支えるものだ。またボックスラーメン構造の躯体により、基礎の立ち上がりを極力低減できるため、仕切りが少ない大空間の基礎ができることを利用して「あたたかい床」作りの検討が始まったという。2001年のころだ。
あたたかい床をつくるために、床下の熱を逃がしにくい基礎断熱を作りあげ、2004年に床下蓄熱システムを完成、そして2006年に「あったかハイム」というネーミングで広く知られるようになる。あたたかい空気は下から上に上がる。それを建物の床下全体から行うことで家の中をあたためるのだ。
あったかいだけではない、最新の「あったかハイム」
現在の「あったかハイム」は、冬のあたたかさだけでなく、夏もさわやかに暮らせる「快適エアリー」が導入されている。そして、快適に室内で過ごせることを目指して、空気の質も向上させている。空調・換気時に汚れた空気の侵入を抑える仕組みをバージョンアップ。積水化学グループの技術力を融合し、室内空気の吸込口に抗ウイルス加工材「ウィルテイカー」を使用したフィルターを開発 (※2)し、換気フィルターに「HEPAフィルター」を採用してニューノーマルにも対応している。つまり「あったかハイム」は“あったか×さわやか×きれい”を実現しているのだ。
(※2):フィルターに付着したウイルスに対する抑制機能についてJIS規格(JISL1922:2016(ISO18184))に基づき実証しています。ただし、すべてのウイルスに効果があるわけではありません。また、フィルターを通過する空気に対する抗ウイルス機能については確認していません。疾病治癒や改善、予防を目的とするものでもありません。


断熱性能も非常に高い。


「国が定めた『断熱等性能等級』があります。私たちは断熱性・日射性・結露防止対策を行い、断熱等級6の標準化(※3)を実現しています」と相良は話す。
(※3):標準化対象は、一般地(省エネ地域区分5~7 地域)で展開する平屋・2階建ての戸建全商品(鉄骨系セキスイハイム・木質系ツーユーホーム)。プランや一部採用メニュー等の条件によっては、断熱等級6に適合しない場合があります。


断熱等級6はいわゆるZEH(ゼッチ)水準とされる断熱等級5を超えたものだ。つまりZEH水準よりもさらに高い断熱性能を誇る。ちなみにZEHとはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのことで、断熱性能などを向上させ高効率な設備システムの導入で室内環境の質を維持しながら大幅な省エネルギーを実現、再生可能エネルギーを導入し年間の一次エネルギー消費量(建物の利用に伴う直接的なエネルギー消費量)の収支をゼロとすることを目指した住宅のこと。ZEH水準は、このZEHを目指す上で国が定めた等級だ。
「断熱性能を高めることで、部屋と廊下の温度差が少なく、足元は冷えにくい、結露がしにくいなどのメリットが生まれてきます。ただ、この等級実現のためには、三つの課題をクリアする必要がありました」と相良と塩見は話す。
断熱性能を高めるためには、3つの課題をクリアする必要があったと話す相良と塩見


一つめは「何を使うか」。セキスイハイムでは住宅に高い性能を持つさまざまな断熱材やサッシを利用している。二つめは「どこに使うか」だ。いい材料であっても、使いどころを間違えると効果は減少してしまう。例えば天井には断熱性・施工性・耐久性・耐火性に優れる高性能グラスウールを活用したり、開口部には断熱性・意匠性に優れたアルミ樹脂複合サッシなどを用いたりしている。


「三つめは『どのように施工するか』です。セキスイハイムでは家づくりの大半を工場で行います。建築現場ではないため、大型機械も利用でき、ミリ単位の正確な施工が行えます。工場で断熱材を適切な形でしっかり充塡(じゅうてん)し、気密も工場で隙間の大半をしっかりふさぎます。このため設計通りのあたたかさが実現可能となるのです」
家づくりの大半が工場で行われる
熟知した職人が設計通りの施工を行う
「今の住まい」を「あったかハイム」に変身させる「あったかハイムTR」
あったかハイムはこれまで新築時に設計するものだったが、2023年9月に断熱リノベーション「あったかハイムTR」が生まれた。これは鉄骨系住宅「セキスイハイム」の既存住宅を対象に、ZEH水準の断熱性能を目指すものだ。


ストック事業統括部 リフォーム開発部の榊原茂が解説する。榊原は住宅生産会社の製品技術業務を経て、リフォームメニューの企画、開発業務などを行ってきた。


「あったかハイムTRの特徴は、仮住まいをせず(※4)暮らしながらZEH水準の断熱性能にリノベーション出来ることです。あったかハイムTRにより居室内の温度ムラの改善や、冬場の足元の冷えや朝の起きづらさなどの軽減が期待できます」
(※4):あったかハイムTR以外の改装工事と組合わせた場合、仮住まいが必要になる場合もあります。
積水化学工業 住宅カンパニー ストック事業統括部 榊原茂


光熱費削減効果も大きい。家全体の施工を想定したモデルプランでの試算では、年間約7万円の光熱費削減効果、1.3トン/年のCO2排出量削減効果が見込まれるという。(※5)
(※5):[試算条件]建物:セキスイハイム(鉄骨系)フラット屋根タイプのモデルプラン、床面積:約126㎡(1階:約68㎡、2階:約58㎡)、断熱性能:リフォーム前UA値1.31、リフォーム後UA値0.55、気象データ:東京都、電力契約:東京電力「従量電灯B」2023年7月単価(燃料調整費、再生可能エネルギー発電促進賦課金含む)、空調条件:暖房22℃、冷房26℃設定、運転時間:LDK、和室、主寝室(6~10時、12~14時、16~22時)、洋室2か所(20~23時)。光熱費はお客様の生活スタイルを推定して算出した予想値です。金額は目安であり、使用電化製品、生活スタイル、敷地の条件、地域周辺等の条件により数値を下回る場合があります。


あったかハイムTRは三つのパッケージプランを用意。(1)家全体でZEH水準の断熱性能を目指す「家まるごとTR」をフラッグシップに、(2)家族が長い時間を過ごす1階全体を対象とする「ワンフロアまるごとTR」、(3)LDKに特化した「LDKまるごとTR」がある。


「あったかハイムTRは新築のあったかハイムと比べて、築25~40年以上の建物の断熱性能を向上させる必要があり、ZEH水準の断熱性能を達成するには、各部位にどれ位の性能UP必要か、またその施工はお客様がお住まいになりながら可能か考える必要があり、難しさはありますが、だからこそチャレンジのしがいもあります。セキスイハイムに住まわれているお客さまの建物を、この取り組みでバージョンアップしていけたら」


すでに問い合わせは多くきており、手応えを感じているという。


「いまは断熱等級5をベースにしていますが、新築で等級6が標準(※3)となったので、リフォームでも等級6を目指していきたい」と榊原は意気込みを語る。「セキスイハイムは耐久性が高く長くお住まいいただけるのが特徴。だからこそ、既存住宅の断熱リフォームは重要と思う。それに、すでにある建物の性能を向上させるのでBeforeとAfterの実感がつきやすい。建物は以前と同じなのに、快適性は全然違うと感動してくれる方もいます」
(※3):標準化対象は、一般地(省エネ地域区分5~7 地域)で展開する平屋・2階建ての戸建全商品(鉄骨系セキスイハイム・木質系ツーユーホーム)。プランや一部採用メニュー等の条件によっては、断熱等級6に適合しない場合があります。


一方、新築に関わってきた塩見は「私が今の立場で目指したいのは、躯体(くたい)性能を数値でしっかり上げていくこと。単純に断熱材を入れたらスコアが上がるかというとそうではない。どこに手を入れればコストパフォーマンスの高い状態で性能を引き出せるのか? そのためには無限の組み合わせの中から解を導き出さないといけません」とこれからの目標について語った。


2人の話を聞いた上で相良は「あったかハイムの性能は私が言うことではないかもしれませんが、すばらしい。ただ、お客さまはあたたかいことだけを求めているわけではありません。昨今のエネルギー価格の高騰など社会の動きは日々変わっていきます。その中で光熱費も抑えながら、あったかを感じていただく。お客さまのニーズにあわせて常に対応していけるような家づくりをしていきたい」とまとめた。


あったかハイムを導入したユーザーからは、「冬でもはだしで過ごしている」「寒くなりがちなキッチンも心地いいから料理も楽しめる」「フロア全体が夏に暑くなく、冬に寒くない温度になる(※6)ので自分たちだけでなくペットにとっても適切な環境」などの声が届くという。実際にセキスイハイムの住宅展示場では、誰もいない朝の早い時間にあったかハイムを体験するイベントなども過去にやってきたという。「まずは展示場などで快適さを体験してほしい」と相良らは語る。新築だけでなくリノベーションでも実現可能となった「あったかハイム」を体験してみては?
(※6):温度の感じ方には個人差があります。
(関連リンク)
あったかハイム
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