電気料金の低減以外の付加価値を。初期費用ゼロでマンションの防災と脱炭素化を可能にするサービス実現への挑戦

2023.09.27 08:40
私たちレジル株式会社は、「結束点として、社会課題に抗い続ける」をパーパスとして掲げています。私たちの事業や取り組みを通じて、社会課題を少しでも解決する結束点になりたいという想いのもと、日々社会に向き合い、新しいことにチャレンジする気候テックカンパニーです。
電力自由化前に、一括受電方式でのマンションへの電力供給から始まった当社ですが、現在はその基盤とノウハウを活かし次の30年に向かって、「脱炭素を、難問にしない」のミッションのもと、分散型エネルギー事業、エネルギーDX事業、グリーンエネルギー事業の3つの事業を柱とした分散型エネルギーのエコシステムを構築し、地球沸騰時代の社会に貢献してまいります。
今回のストーリーでは、業界初の「マンション防災サービス」誕生のきっかけやサービス設計の裏側について、サービスを設計してきたマンション事業本部の立役者とともに振り返っていきます。
災害時の安心とマンションの脱炭素化を可能にする「マンション防災サービス」
「マンション防災サービス」は、既存マンションに初期費用ゼロ円で太陽光発電設備と蓄電池を設置し、停電発生時にマンション共用部の動力設備(給水ポンプ(水道やトイレ)、エレベーターや立体駐車場等)へ、発電・貯蓄した電気を供給できる仕組みを提供するサービスです。
自然災害発生時、可能な限り在宅避難することが推奨されていますが、災害の影響で停電が長期化するケースがあります。停電発生時にも給水ポンプやエレベーターなど生活に不可欠な設備を使用できれば、マンション居住者は安心して在宅避難することができます。
ただ、実はマンション防災サービスのメリットは、マンションの災害レジリエンス強化だけではありません。屋根の上に設置した太陽光発電設備に加え、実質再生可能エネルギー100%の電気を供給し、蓄電池を有効利用することにより、マンション居住者の負担なく建物を1棟丸ごと脱炭素化できてしまうのです。
マンションの課題解決に焦点を当てたサービス開発のきっかけ
 マンション防災サービスは、当社の主幹事業である「マンション一括受電サービス」がきっかけとなり開発されました。
マンション一括受電サービスとは、マンション全世帯で電気を一括契約し、安価な電気をまとめて購入することで戸別契約よりも割安な電気を利用できるサービスです。2004年より始まったこのサービスは、今では約2,200棟、17万世帯を超えるお客様へサービスを提供しています。
そして、電力自由化、電気代の高騰など、様々な時代を乗り越えてゆく中で、2022年、当社の第二創業期を迎えるにあたり、電気料金の削減以外で、私たちがマンションや地域社会、ステークホルダーに対してできること=「付加価値」は何かを改めて考えました。これがサービスを開発する最初のきっかけです。
そうして模索していく中、今、日本で自然災害が増えつつあること、マンションで「防災対策」をするべきと感じているのに、費用面や手間面で対策ができないマンションが多いという現状を知りました。
マンションは堅牢な建物ということもあり、国や一部の地方自治体は災害時の在宅避難を推奨しています。しかし、対策を行っていないマンションでは、長時間の停電が起こると、水道(トイレ)やエレベーターも使用できなくなり、自宅で生活を続けることが困難になります。また、停電の際に水道ポンプやエレベーターを稼働しようとすると、容量の大きい大型の蓄電池や太陽光発電設備をマンションに設置する必要があり、管理組合様やマンションオーナー様の費用負担が大きくなってしまいます。
東京都が推進する「東京都LCP住宅」(現:東京とどまるマンション)
災害による停電時でも、自宅での生活を継続できるよう、ハード・ソフト面、
両方の対策を推進する事業。




初期費用無償で蓄電池と太陽光発電設備を導入し、停電時にマンション設備を継続的に稼働、なおかつ地球にやさしい再生可能エネルギーをマンション1棟で使用できれば、マンションそのものの価値や災害レジリエンスが向上するのではと私たちは考えました。


プロジェクト進行にあたり、執行役員兼マンション事業本部本部長 石井大地、開発企画グループ ジェネラルマネージャー 佐藤光宏、事業企画グループ ジェネラルマネージャー 松本将吾に話を聞きました。
(左:石井大地、中央:佐藤光宏、右:松本将吾)
コスト面でマンション防災を断念しないために、初期費用無償化の道を模索し実現
 サービス設計を行う上で課題はたくさんありました。
今回のサービスのポイントである「初期費用の無償化」に関してはサービス設計にあたり、揺るぎない必須条件と考えていました。
通常、数十、数百の世帯が住むマンションで、蓄電池と太陽光発電設備を導入するには、設備規模が大きく、平均で約3~4,000万円の設備費用がかかります。現状は費用の捻出が難しい管理組合様が多く、災害に備えたいと考えている方々がコスト面で断念せざるを得ない状況でした。
実際にマンションに設置する蓄電池(CONNEXX SYSTEMS株式会社製 
高さ:2,035mm 奥行:1,095mm 幅:1,280mm)




そこで、設備の工事方法の見直し、メーカーとの仕入れ交渉、太陽光発電設備と蓄電池のAIを使った制御による電力利用の最適化、補助金の活用など様々な方法により、設備費用無償化を実現できました。
これは一括受電を用い、マンション1棟まるまるの電気をマネジメントすることができる我々でしかなし得ない方法であり、関係各所が新たなチャレンジをすることで実現できたものだと実感しています。
防水シートと太陽光発電設備の併存、停電時の電気供給の優先順位。様々な問題解決の糸口は、現場や住民の声にあった
 苦労も数え切れないほどありました。
その中でも、サービスをスタートした時に、マンション屋上の防水シート問題が浮上したことは記憶に新しいです。
マンションの屋上には防水シートが貼られており、マンションを雨水から守る役割を果たしています。防水シートが施工された状態で、上から設備を設置するなどの工事を行うと、防水シートの保証が効かなくなり得るということが判明し、とても頭を悩ませました。
 その中で、とある気付きからヒントを得ました。
公共施設、学校に太陽光発電設備を設置できているのに、なぜ分譲マンションには設置できないのだろう・・・
ここに疑問を感じました。疑問を解決するため、色々な方にヒアリングをしたり、現地にも何度も足を運び、調査を重ねました。防災サービスを世の中に広めたいという想いで進め、最終的には施工してくれる協力業者さんと出会い、この防水シート問題を解決することができました。
太陽光発電設備設置済みマンションを調査した際の写真


 そしてもう1つ、停電時にどの設備に電気を供給するのか、というところもたくさん悩みました。
設備規模の大きさや費用面から、マンション全体の電源を蓄電池で確保することが難しく、当初は、コンセントで携帯を充電できたり、集会室の明かりが点いている方が安心するのでは、という観点で、停電時にマンション廊下や集会室のコンセントに電気を供給する設計をしていました。その方が、設備の設計や工事が比較的簡便でした。
社内では、共用部の電灯を使えるようにするのか、それとも水道ポンプやエレベーターなどの動力を使えるようにするのか、意見が分かれたことを覚えています。
意見が分かれる中でも、一人一人が、「マンションにお住まいの方が、万が一災害に見舞われた時、その電力供給が正しいのか」という観点を持ち、たくさんの議論を重ねました。
マンション事業本部 会議の様子


そして最後は、マンションにお住まいの方にアンケートを実施しました。すると、多くのマンション居住者様が、在宅避難時に水と非常用コンセントが使えなくなることに不安を感じていらっしゃるということがわかりました。コンセントは、個人で小型バッテリーなどを準備いただければ、非常時に備えることができますが、生活用水を個人でまかなうには限界があります。次いで、動力設備であるエレベーターや機械式駐車場の稼働も意見が多く、総じて、マンションにお住まいの方の需要は動力設備の稼働にあるということがわかりました。
お客様の声を聞くまえに自分達視点でサービス設計をしようとしていたことを深く反省し、ご意見を真摯に受け止めた結果、工事方法や運用方法を見直し、動力設備の稼働にたどり着くことができました。
アンケート結果(2023年3月当社実施)


「やっておけばよかった」を「やっててよかった」へ。防災意識の向上を目指してサービスを普及していく
 サービス開始後は、よりお客様に当社のサービスを知ってもらうため、東京ビッグサイトでの展示会実施や新聞への掲載、関係企業様への提案等、地道な営業活動を続けました。
その成果もあり、現在では、マンションの防災対策にご関心があるお客様よりお問い合わせをいただくことが多くなっています。また、提案を行う中での反響もあり、過去には、当社の一括受電サービスを導入しているお客様から、「お金を払ってでも導入する意義がある」とお声をいただいたこともあります。そういったご意見が、日々営業を行う上での活動の源になっています。


ただ、防災のお話しをする中で感じることは、防災対策を行いたいけれどどうすれば良いか分からないという方が多いということです。
私たちはこれまで、電気というインフラに関わり、マンションの居住者様と多くのやり取りをしてきました。
災害により長時間停電しているマンションへ足を運んだこともあります。
我々は、何も起きていない平和な日常こそ、もしもに備えるチャンスだと考えています。
大事なご家族や自身の身を守るためにも、「もしかしたら自分にもあるかもしれない」という観点をお持ちいただけるよう、かつ対策していてよかったと感じていただけるよう、全身全霊でマンション防災サービスの普及を促進していく所存です。
今後はマンション防災サービスを起点とし、EVやモビリティ領域などの周辺領域にも積極的に進出していく
今後は、2030年までに3,000棟のマンションと契約、そしてそのすべてのマンションに再生可能エネルギー100%の電力を供給することを目標としております。そして、当サービスを起点に、EVやモビリティサービスなどの周辺領域へも拡大し、さらにはスマートシティのような大きいひとつの社会を構築、すべてのステークホルダーにとってより良い社会になることを想像しています。
最終的には、カーボンニュートラルを達成し、次の世代へ「住みやすい地球・社会」というバトンをつなげる。そんな存在となれるよう、今後も活動を続けてまいります。

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