場所によっちゃ「水を失った魚」のごとく「なんじゃこりゃ」な走り! 残念な「乗り心地」のクルマ4台

2023.09.25 17:30
この記事をまとめると
■カーライフジャーナリストまるもさんが思い出す乗り心地の悪かったクルマをピックアップ
■スポーツ性能を突き詰めたことで乗り心地に悪影響を及ぼしたクルマが多い
■普段の乗り心地は良好なのにワインディングに入ると印象が激変するクルマもあった
「なんじゃこりゃ!」と印象に残る残念な乗り心地
  クルマの乗り心地とは、人ぞれぞれ多少なりとも感じ方が違ってくるもの。評価の際になかなか数値化しにくい領域でもあり、同じクルマでも運転席とそれ以外、前席と後席といった、座る場所によっても変わることがあるものです。
  だから、自分で運転しているときにはまったく気にならなかったのに、いざ誰かに運転を代わってもらって助手席や後席に座ってみたら、「なんじゃこりゃ!」ということも。最近は、ボディ剛性の向上やタイヤの高性能化、スポーツカーでもチューニングの方向性が変わってきたことなどで、あまりにもひどい乗り心地のクルマは減りつつありますが、この20年ほどで印象に残っている残念な乗り心地のクルマをピックアップしたいと思います。
  まずは、スポーツカーなら多少の乗り心地の悪さは仕方がない……と思っている人でも、これはちょっとやりすぎでは? と感じたのが、最近新型がお披露目されたばかりのニッサン・フェアレディZ NISMOの先代モデル(Z34型)です。
  デザインは5代目のふっくらと豊かなヒップを持つイメージを踏襲しつつ、ブーメラン型のヘッドライトやさらに抑揚を増したフェンダーアーチなど、熟成された感のある6代目Z。スカイラインクーペで好評だった3.7リッターV6エンジンを搭載し、ホイールベースを切り詰めて加速性能や旋回性を高めた走りは、これぞスポーツカーと爽快な気分にさせてくれるものです。
  足まわりなどをさらにハードに突き詰めたNISMOですが、7代目となる新型が登場する直前に、最後にと思って試乗してみたところ、路面のちょっとした凹凸やアスファルト舗装のザラつきまでもを拾ってガッガッガと常に振動が絶えず、ちょっと飛び出たマンホールを乗り越えたらゴンッと大きな突き上げが……。助手席の人と話しながら、思わず舌を噛みそうになりました。
  もし、SUPER GTのレース中のオンボード映像を見たことがあるなら、レーシングドライバーのヘルメットが常に上下に揺れている状態が思い浮かぶと思いますが、大袈裟に言うとあんな感じに近い乗り心地。ドライブデートをするなら、やはり新型のベースモデルのほうがオススメです。
  2台目は、1998年に登場してから2018年に新型が登場するまで、20年の長きにわたって生産された、先代のスズキ・ジムニー(JB23型)。軽自動車規格が変更されたのを機に登場したモデルで、デザインは少し丸っこいところがありつつ、アクティブさとタフさがしっかり感じられるジムニーらしさは、いま見てもフレンドリーで魅力を感じる人が多いのではないでしょうか。
  でも、現行モデルのジムニーに乗ったときにいちばん驚いたのは、オンロードでの乗り心地の劇的な改善でした。先代ジムニーの初期、1型から4型と呼ばれるくらいまではとくに、ひとたびオフロードに入れば水を得た魚のように生き生きと、自信満々でタフな走りで魅了してくれるのに対して、オンロードではいきなり別人になったかのように頼りなさげな足さばきで、常に小刻みな振動が伝わり、エンジン音をはじめノイズも大きく、とても快適とは言えない乗り心地。
  20年前の骨格に3リンク式コイルリジットサスペンションなので、オンロードでの快適性は割り切っているとはいえ、高速道路のカーブやレーンチェンジではビヨーンと大きく沈み込んでヒヤリとすることもあったほど。何も知らずに乗ったら、助手席の人には運転が下手なのかと思われてしまうかもしれないですね。
乗り心地は実際に乗ってみないとわからない
  3台目は、2007年にプレミアムスポーツセダンとして登場したレクサスIS F。当時はトヨタ、レクサスを通じて本格的なスポーツモデルが絶滅しかかっていた時期で、5リッターのV8エンジンを搭載して300km/hオーバーでも楽しめる走りを目指して開発された、豊田章男氏肝入りのプロジェクトとして注目されていました。
  専用セッティングが施された「8Speed SPDS(Sport Direct Shift)」という8速ATによって、423馬力/505Nmというモンスター級のパワーを引き出し、ブレンボと共同開発した大型ブレーキローターを採用したIS Fの走りは、確かに当時とてもトンガっていて感心したものですが、乗り心地だけは運転席でさえも内蔵が一回転しそうな突き上げを感じたり、お尻がだんだん痒くなってくるような微振動が続いたりと、これまたちょっとデートには不向きかもしれません。
  4台目は、プレミアムなラグジュアリーSUVの先駆けとして2002年に北米で発売され、大人気となって日本でも2004年から発売されたニッサン・ムラーノ。エレガントなフロントマスクの彫刻的ボディに、3.5リッターV6と2.5リッター直4の2タイプのパワートレインを搭載して、レザーを贅沢に使ったインテリアも魅力的なモデルでした。と、日本では過去形ですが北米では継続して販売されており、新型もお披露目されたばかり。日本での復活を心待ちにするファンも少なくないようですね。
  このムラーノの初代に試乗したときに、ちょっとしたナゾだったのが乗り心地。3.5リッターV6モデルで車重は1.8トンなので、現代からするとそれほど重くないですが、当時はそこそこ巨体の部類に入っていました。
  発進はちょっと重めですがそこから先はスムースな加速フィールで、クルージングに入ると安定してスルスルと駆け抜けてくれます。一般道ではステアフィールもしっとりなめらか、継ぎ目のショックは小さくて上質感があります。ところがワインディングに入ると、舗装が乱れているところなどでナゾの浮遊感が発生。ビタッと路面に食いついて欲しい場面で、フワッと身体が浮く感じなのです。
  挙動そのものには不穏なところは出ないのに、振動もやや大きめで乗り心地に関してはプレミアムと言いきれず、豪華でゆったりとしたシートが見かけ倒しに感じてしまったのでした。新型がどのように熟成されているのか、乗ってみたいものです。
  ということで、見た目からもスペックからも判断できず、実際に乗ってみないとわからないのが乗り心地ですね。走りのよさと乗り心地のよさは、クルマづくりにおいては相反する要素が求められるものだと言いますので、これからの進化にも注目していきたいと思います。

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