健康的で歯本来の白さへ導く美白歯みがき「アパガード」は、1985年に誕生し、2025年には発売から40周年を迎えます。1995年に放映されたTVCM「芸能人は歯が命」のキャッチフレーズで一躍有名に。
アパガードシリーズは、美白高機能歯みがき売上No.1*を誇り、2022年の美白高機能セグメントでトップシェアを占めています。ロングセラーの要因として、“歯本来の白さへ導く”訴求が明確であること、コスメ系口コミサイトやSNSなどで高い評価をいただいている“商品力”が挙げられます。
発売からおよそ40周年を迎えるロングセラーでありつつ、今年の3月にもステインケアに特化した「アパガードセレナ」がラインナップに加わるなど、時代のニーズに合わせて進化を続けています。
今回は、そんな美白歯みがき剤市場を開拓した「アパガード」の誕生秘話に迫ります。長年アパガードのマーケティングを務めている執行役員の毛籠氏と、ブランドマネージャー麓氏のインタビューを交えながらお届けします。
* インテージSRI+2022年 美白高機能歯みがき市場売上金額主要シリーズ「アパガー
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「むし歯予防」ができる商品として発売したアパガード。現在の「美白歯みがき」へとブランディングを方向転換したきっかけとは
―― サンギの代表商品である美白歯みがき「アパガード」は、発売時から“美白ケア”ニーズに応えていたのですか?
今でこそ、「アパガード」は素敵な笑顔に欠かせない白く美しい歯のケアアイテムとして幅広い年代から支持を受けていますが、発売当初はそうでありませんでした。実は、歯の“美白”ではなく“むし歯予防”を訴求していたんです。
きっかけとなったのは、「アパガードを使っていると、歯が白くなる」といったお客様からのお問合せでした。
――そうだったのですね。今のように“美白”ではなく“むし歯予防”を訴求していたのですか?
サンギが歯みがき剤の開発に着手した1970年代、歯みがき剤の位置付けはあくまで、“歯の汚れを落とす”ブラッシングの補助剤といったものでした。サンギは歯の主成分である「ハイドロキシアパタイト」と出会い、主成分で歯を修復しむし歯を予防する歯みがき剤を作ろうと、創業者であり現会長の佐久間が決断しました。
アパガード発売時のおよそ40年前、販売されている歯みがき剤の大半が“むし歯予防”を打ち出していたんです。一部に歯周病訴求もありましたが、今でこそ浸透している知覚過敏、美白といった言葉も、当時はまだ現在のように明確にセグメント化されていなかったように思います。
――40年前と現在とでは、人々のオーラルケア意識もだいぶ変わりましたよね。アパガードは“むし歯予防”の成分を配合されているのですか?
「アパガード」には、むし歯予防成分である「薬用ハイドロキシアパタイト」が配合されています。
この成分は、リン酸とカルシウムから合成され歯を構成する天然ハイドロキシアパタイトに極めて近い組成で、歯に直接作用し、なじみやすいミネラル成分です。
当時、お問合せをいただいたお客様は「アパガード」でエナメル質が健康に保たれたことで、“歯が白くなった”と感じられたのだと気が付きました。そこから、歯の“美白ケア”のニーズを捉え、「アパガード」は美白歯みがきとして思い切ってシフトチェンジすることに。歯みがき剤といえば“むし歯予防”を謳う商品が多いなか、オーラルケア市場に“美白”というカテゴリーを創出しました。
アパガードはNASAの特許技術から着想?!世界初の「修復発想歯みがき剤」発売当初、なかなか売れずに厳しい時期も
―― 1970年代に歯の主成分「ハイドロキシアパタイト」と出会ったそうですが、どのように出会い、“薬用ハイドロキシアパタイト”開発に至ったのでしょうか。
マーケティング本部 執行役員 毛籠氏
元々、商社としてスタートしたサンギは、特許の売買を行うなかで米国国家航空宇宙局(NASA)の特許技術に注目していたんです。NASAは宇宙飛行士の歯や骨を無重力の環境下で守るために、歯と骨の構成成分を補給する研究を進めていました。
このNASAの特許をヒントに、「歯とほぼ同じ成分のハイロドキシアパタイトを、歯みがき剤に配合すれば日々の歯みがきで歯の表面にとりこまれ、修復するのではないか」という考えに至りました。
この考えから、世界初の「修復発想歯みがき剤」を発案し、研究開発をはじめ、歯の修復に適した「ハイドロキシアパタイト」を独自技術と努力で合成することに成功しました。さらに、臨地試験や工業化のために、歯みがき剤製造メーカーや外部機関などの協力を得て、1980年OEM商品として世界初のハイドロキシアパタイト配合歯みがき剤「アパデント」を発売、1985年に初めての自社ブランド「アパガード」が誕生しました。
――世界初の「修復発想の歯みがき剤」を発案されたのですね。当時はどんな反響だったのでしょうか。
高価だったこともあり、最初はまったく売れませんでしたね。
当時歯みがき剤は、数百円程度のものが大半だったこと、1993年に薬用ハイドロキシアパタイトがむし歯予防の薬用成分になるまでは、その作用や効能効果を全く謳えなかったこともその要因です。
新聞での通販や、TV通販でも販売をしていましたが、あるTV通販番組でのコメンテーターの「この商品、周りの芸能人で使ってる人結構多いんだよね」の一言がきっかけで、一気に売り上げを伸ばしました。実際、芸能人の方に愛用者が結構いたんですが、消費者の方に「芸能人=綺麗な白い歯」のイメージが連想され、歯みがき剤を使うと、どんな素敵な歯になれるのかという期待感を創出できたんだと思います。
「芸能人は歯が命」でブランディングを確立したアパガード。イメージを支えた確かな“商品力”は今もなお進化を続けている
――「アパガード」は、女性誌などで著名な方が愛用されていると聞きますが、その頃から芸能人に愛用されていたのですね。ロングセラーの“商品力”はどこからくるのでしょうか?
アパガードブランドマネージャー 麓氏
私たちは“商品力”に自信を持っています。多くのお客様から使用感だけでなく「笑顔に自信が持てるようになった」など前向きな言葉をいただいています。歯の「汚れを落とす」という引き算から、「成分を与える」という足し算の発想が他にはない商品力となってファン獲得に繋がっていると考えています。
「芸能人は歯が命」のCMで一躍有名になったアパガードですが、実はもう何年もCMは打っていません。お客様の自発的なクチコミが集客となって新たなユーザーさんを生んでいる状況が続いています。これも商品力がなせる業だと自負しています。
また、芸能人の方がメディアやSNSなどでアパガードを愛用していると言ってくださることも多く、私たちはお客様アンケートなどで後日知ることも多いです。自分の好きな芸能人がアパガードを愛用していると言ってくださったときは嬉しすぎて眠れないこともありました。
ロングセラーブランドですが、定番商品を進化させることも忘れていません。アパガードの購入理由のほとんどが「美白」です。その気持ちに応えるべく、研究開発には特に力を入れています。コーヒー・紅茶・ワインなどさまざまな飲料で着色させた歯のサンプルが並べられている研究風景は圧巻で、日々研究員が一丸となって新たな処方を検討しています。これからもひたむきに真っ直ぐ、アパガードは「美白」を追求するブランドとして、商品力を磨いていきたいです。
2025年で発売から40周年を迎える「アパガード」の今後の展望とは
―― 歯みがき剤市場で、アパガードは今後どのような展望を考えているのでしょうか。
日本国内における歯みがき剤全体の市場規模は約1300億円で、近年は2~3%と徐々に拡大しています。
歯周病や口臭予防、歯の美白など、多様な生活者のニーズに応える歯みがき剤が増えました。市場規模の拡大は、このような付加価値を付けた高機能商品へのシフトが進んだことで、販売単価が上がっていることが考えられ、今後もこの傾向は続くと予想しています。
元々、美白高機能歯みがきである「アパガード」は、こうした市場背景を追い風と捉え、さらなるチャレンジと新しい付加価値の創出を目指しています。
また大々的なCMを打たない分、「トライアルを喚起し続けること」が売上拡大の鍵となります。企画品・サンプリング強化を図り、定番売上に繋げていけるような施策を引き続き計画中です。
アパガードが誕生し日本で初めて美白カテゴリーが創出してから、もうすぐ40年を迎えます。発売以来、研究を重ねて新たなニーズや変化に応えながら、美しく健康的な歯へ導く商品を提供してきました。
私たちは、毎日の歯みがきが、ただ単に歯の汚れを落とすためだけでなく、自分を輝かせるものであると考えています。「アパガード」を通じて、“笑顔に自信が持てるようになった”という嬉しいお声もよくいただきます。外見の美しさだけではなく、自信からあふれてくる前向きな姿こそが本当の“美しさ” です。歯が美しくなることで生まれる自信から、人々の「ときめく毎日を」お手伝いができるブランドであり続けたいです。