なんとロールス・ロイスには「公認運転手」制度があった! ドラテクだけじゃない驚きの「プログラム」の中身

2023.05.13 10:00
この記事をまとめると
■ロールスロイスには「公式ショーファー(運転手)」が存在する
■ロールスロイス・ホワイトグローブ・プログラムという3日間の講義がある
■講義では顧客への徹底した気配りや万が一に備えたさまざまな対応を学ぶ
ショーファーカーを操るプロフェッショナルになるための講義とは
  ロンドンのタクシー運転手になろうとすると、市内の道という道を知悉していることはもちろん(これとても並大抵ではありません)、地点間の最短距離を即座に、しかも正確に走ることが求められるといいます。一方で、ドライビングテクニックについては寛容なようですから、ピカデリーサーカスでドリフトでもしない限りは合格できるかと。
  これが、ロールスロイスの公式ショーファー(運転手)ということになるとだいぶ状況は変わり、さすが世界のセレブを乗せるだけあって、運転マナーにとどまらない徹底したレクチャーが実施されています。
  ロールスロイス・ホワイトグローブ・プログラム、ショーファーを指して白手袋とはじつに大時代的な表現ですが、正式な講義としてスタートしたのは2013年のこと。以前にもロールスロイスは同様のプログラムを持っていましたが、ワールドワイドに体系化したのがこのタイミングだったようです。
  プログラムは実質3日間が費やされるのですが、初日はいわゆる座学というやつ。ロールスロイスの歴史から始まって、メカニズムや各種スイッチの機能や使い方もここで習います。さらに、身だしなみについてのアドバイスも初日の重要なカリキュラム。曰く「プラスチックのサングラスはNG(品格に欠ける)」「ソールが黒いレザーシューズ」あるいは「シルクの黒いネクタイ」といった具合です。
  翌日からは実技となりますが、まずは「ロールスロイスを停める場所への留意」として、どんな場所に停めるか、こと細かく指示されます。例えば、側溝やマンホールの近くはNG(万が一にも顧客が落ちたりしないよう)、下世話なクルマの近くは避ける、ごみ箱の横などもってのほか、とにかくロールスロイスが美しく見える場所が望ましいなど、「なにもそこまで!」感が漂います(笑)。
「いうまでもなくロールスロイスという高価なクルマを雇うわけですから、顧客はクルマにそぐわない運転手を歓迎するはずがありません」。
  ごもっともなコメント。これはプログラムのチーフを務めるアンディ・マッキャン氏によるもの。彼はプロのショーファーになる以前はスキー競技に参戦し、また運動力学の博士号を取得というキャリアの持ち主で、普段はロールスロイスのCEOのためにショーファーをしている人物。これ以上、説得力のある人物もいないでしょう。
ショーファーは細かい配慮を決して忘れない
  さて、顧客を乗せる前の支度もまた微に入り細を穿つもの。
  ルーバーの角度、室内温度(左右をきちんと揃えておく)前席が適切な位置にあること、シートベルトが乱れていないことなどなど、チェックポイントは数十カ所にのぼるそうです。「最後に忘れがちなのが、サービスで載せておくエビアン(ミネラルウォーター)のボトルです」とのことですが、これ日本でも個人タクシーなんかで経験ある方もいらっしゃるのでは。筆者の場合はのど飴や、夏場に梅干しってサービスもありました(笑)。おもてなしの気持ちは世界共通ですね。
  で、ようやく顧客を乗せるタイミングなんですが、まずは荷物をトランクにしまうことが優先だそうです。「盗難の危険を常に用心すべきです。顧客のなかには、ロールスロイスよりも高価な荷物を持っているケースもあるのです」
  なるほど、宝石だの金塊だの持ってそうですからね。そして、ようやくお乗りいただくのですが、ショーファーは後席の顧客と「目を合わさないよう、バックミラーを調節」することが求められるそうです。「富裕層の顧客はほとんどが携帯電話で会話しどおしですが、それでも目が合うのは彼らのプライバシーを侵害していることに等しいのです」。
  よく映画なんかでアイコンタクトしてるシーンがありますが、あれは雇い主とショーファーだったりするからかもしれませんね。
  ドライビングレッスンについては書ききれないほどあるのですが、昨今の事情を反映した「危険回避」についてご紹介しておきましょう。信号などで停止する際、前車との距離を多めにとることがマスト! だそうで、なぜなら「停車中に襲われるケースは少なくありません。したがって、前車が邪魔にならず瞬時にハンドルを切って発進できる用意をすべきです」。
  ちなみに、マッキャン氏はある顧客を乗せていた際、警官に停車を命じられ、ロールスロイスを停めたそうですが、すぐさまニセ者と見破り、賊が全員クルマから降りてきたのを見るや、すぐさまアクセル全開で逃げ切った経験があるとか。
  また、ロールスロイスといえばドアに特製の傘が収められていることも有名です。この傘は「顧客、とくに女性をレッドカーペットの上に案内する際、片方はドアで、もう片方を傘でもってガードするのです」
  ゲスなカメラマンが狙う、いやらしい写真を撮らせないようにする配慮、と思いきや、「傘の先は3インチの鉄芯が入り、ロッドは鋼とカーボン製なのでパパラッチを撃退するのにもちょうどいいのです」だそうです(笑)。
  ともかく前述のとおり、わが国では個人タクシーの運転手さんにも優れたショーファーが少なくありませんが、こうしたプログラムを知ると、ロールスロイスを運転しているショーファーを見る目も変わってくるのではないでしょうか。

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