北極から南極へ約2万7000kmをクルマで走破!? しかもEVのアリアで挑む冒険を日産が行う意味とは?

2023.04.18 07:00
この記事をまとめると
■日産アリアで北極から南極を目指す約2万7000kmの冒険の旅がスタートした
■気温によって変わるバッテリー性能という欠点の一方で、モーター駆動による4輪制御と瞬時の応答性という長所もある
■日産は2010年の初代リーフ発売から13年の実績があり、EVでは他メーカーに一歩先んじている
日産アリアによる気温差±30度・約2万7000kmの挑戦
  日産自動車は、電気自動車(EV)のアリアで北極から南極まで約2万7000kmを走破する計画を、2022年5月に発表した。
  車両は、ほぼ標準車に近いアリアのe-FORCEで、モーターによる4輪駆動車だ。悪路走破性を高めるのためタイヤを大径にし、これによって外観のフェンダーあたりに手が加えられている。また、サスペンションを大径タイヤにあわせて改良しているという。
  挑戦するのは、英国のクリス・ラムゼイ/ジュリー夫妻である。彼らは、2017年のモンゴルラリーにリーフで出走した経歴を持つ。
  今回は、南北の極地から極地への地球縦断の旅となり、気温差は-30~+30℃におよぶという。移動の道筋は、北米(カナダ)から中南米を経由し南極大陸に至る。今年3月にいよいよ出発した。
  EVは、気温の高低によって車載のバッテリーが影響を受ける。なおかつ冷暖房の空調を使えば、電力をそれで消費し、一充電走行距離に長短の開きも生じる。さらに、同じ距離を走っても、高低差によって登りは電力消費が多い反面、下りは回生によって充電することができ、走行距離の予測が変わる可能性もある。
  モーター駆動は、エンジンの100分の1の早さで応答できるので、わずかなタイヤの滑りなどの路面変化に対する適応力が高い。雪面や凍結路面、あるいは未舗装の大地での的確な走行に寄与する。より安全かつ的確にクルマを前進させることができるのだ。そこを実体験する場ともなるだろう。
  EVならではの特徴や性能への影響を、気象条件の厳しい、また路面変化の多彩な環境下で試すことで、将来へ向けた知見を得ることができるのではないか。
13年の実績を持つ日産がEVでの優位性を証明する
  また、日産は常にアクセル全開で走行することの多いフォーミュラEへも参戦しており、超高速域でのEV性能も試している。
  2010年の初代リーフ発売から13年の歳月を経て、日産はEVのあらゆる可能性を探り続けている。単にクルマとしての性能に止まらず、廃車後のリチウムイオンバッテリーの再利用といった資源の有効活用も試行錯誤し、事業化にこぎつけている。世界的に見ても、ここまでの多様な実績を持つ自動車メーカーはない。
  米国テスラといえども、太陽光と蓄電池の取り組みはしていても、EV後の再利用には手を付けていない。欧州メーカーも、試作車などのバッテリーを試験的に再利用した実証などに止まる状態だ。
  駐車中のEVを活用したヴィークル・トゥ・ホーム(VtoH)でも日産は実績を積んでいる。同じくEVを販売し続ける三菱自動車工業もVtoHやVtoLを手がけているが、欧米の自動車メーカーはまだ十分な活用へ踏み切れていないのが実態だ。充電方式の違いも影響していそうだ。
  世のなかはEVの一充電走行距離の長短に注目しているが、じつはEVのあるべき姿はそれだけでない。単に走行距離を競うだけなら、エンジン車の代替としての価値しか見ていないことになる。EVがエンジン車と違うのは、バッテリーという資源の社会への有効活用を含めた次世代社会の構成要素になる点にある。
  今回のアリアでの挑戦にはしかし、懸念材料もある。この挑戦を北極から南極へと題しているが、北極点は海の上だ。なぜそこが出発点となり得るのかという実証が無い。貴重な挑戦であるなら、表現は的確であるべきだ。ごまかしや嘘が含まれてはならない。言葉を正しく使わなければ、挑戦そのものの実証が疑われかねないのである。的確な言葉遣いと、適正な情報発信が望まれる。

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