「ほらEV減速したじゃん!」と色めき立つクルマ好きはちょっと待て! EVもHVもエンジン車も正しく評価できる視点の重要性

2024.04.07 17:30
この記事をまとめると
■カーボンニュートラル実現にはゼロエミッション車へのシフトは避けられない
■最近よく報道されている「EV減速・ハイブリッド復権」というのは短期的な調整局面だ
■気持ちよく運転できるクルマへのアプローチはエンジン車とEVでは異なると知ればEVをまっとうに評価できる
カーボンニュートラルを実現するならEVへのシフトは避けられない
  クルマ好きのなかにはEV(電気自動車)を目の敵のようにとらえている人もいるようだ。最近、EVのシェア拡大が減速しているという報道もあるが、まさに我が意を得たりと「EVよりハイブリッドカーのほうが環境負荷は小さいのだ」と主張する向きも少なくない。
  もっとも、EVセールスの減速という点については、それが恒久的な流れなのかいわゆる調整フェイズなのか、現時点で判断するのは難しい。一般論として、世の変革期においてある方向に一心不乱に進むということはなく、揺り返しがあるのは常だからだ。
  そもそも、世界的に2050年あたりのカーボンニュートラルを目指しているのであれば、いつまでも化石燃料を用いるモビリティを利用するわけにはいかない。その意味では長期的にはハイブリッドカーを含めたエンジン車からEVを軸としたゼロエミッション車にシフトしていくという大筋の流れにあることは間違いないだろう。
  ただし、短期的には充電インフラの整備や製造コスト(≒製造時のCO2排出量)など、EVシフトが時期尚早となる地域や状況が存在しているのも事実。
  このところ報道されている「EV減速・ハイブリッド復権」というのは、短期的な調整局面と捉えておくのが適切ではないかと思う。
  今回は、こうした前提に立って、いまのEVラインアップをクルマ好きとして、どのように見ていくべきかということを整理したいと思う。
乗りやすいクルマへのEVならではのアプローチを理解すべし
  注意してほしいのは、現時点で話題の中心となることが多いハイパフォーマンスなEVというのは、将来的にはニッチ商品になるであろうことだ。前後モーターの出力を合計して1000馬力以上、最大トルクも1000Nmオーバーを誇るようなEVはそれなりに存在しているが、それがEV時代の主流になるということは考えづらい。エンジン車においても、ハイパフォーマンスカーというのは各ブランドのフラッグシップであって、大衆向けモデルではないように、だ。
  なぜなら、EVにおける最高出力にもっとも影響するのはモーターではなくバッテリーだからだ。エンジン車の感覚でいうと、「モーター=エンジン、バッテリー=燃料タンク」と捉えたくなるが、そうではない。基本的な考え方として、バッテリー出力によってEVのアウトプットは決まってくる。同じくらいの出力が期待できるモーターであっても、バッテリーによっては最高出力が異なるのだ。
  これを逆説的に単純化すれば、ハイパフォーマンスのためには高価なバッテリーを多量に積む必要がある、となる。ビジネス的には、EVの製造においてバッテリーの調達(確保)が重要テーマとなっているが、同じバッテリーの調達量でEVの生産台数を増やすには、一台ごとに積むバッテリーはニーズを満たす最低限にしたい。現在のハイパフォーマンスなEVというのは、あくまで普及初期の打ち上げ花火のような存在であると捉えておきたい。
  また、EVに限らずハイブリッドカーでも同様だが、モーター駆動のパワートレインに対して「まわり始めから最大トルクを発生する」だとか「エンジンとは桁違いのレスポンスが魅力」という定番の表現がある。しかし、これはモーターの性能からするとけっして正しい表現とはいえなかったりする。
  筆者のつたない経験では、モーターのレスポンスやトルクを完全に引き出した量産EVを運転したという記憶はない。モーターの性能を100%引き出してしまうと、人間の感性や能力を超えたレスポンスとなってしまう。そのため、ある程度マイルドにしていることが多い。「モーター性能をなまさないと、普通の人間には扱えない」ともいえる。
  逆にいえば、どれだけうまく「なましている」かがモーター駆動車の乗りやすさにつながってくる。エンジン車の感覚でいうと、レスポンスは上げたほうがリニアになるが、電動車においては逆といえる。人間がリニアに感じるためには、適切にマイルドなレスポンスにすることが重要で、そのあたりのノウハウがEVの乗りやすさにつながってくる。
  ユーザー意識としては、気持ちよく運転できればいいといえる。ただし、そこへのアプローチはエンジン車とEVでは異なる部分もあることを覚えておくと、EVをまっとうに評価できるドライバーになるかもしれない。

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