こかぶは、サラダ、煮物、漬物などにして根も葉も美味しく食べられる野菜です。春まき、秋まきの両方で栽培できますが、涼しい気候を好むので、秋まきの方が育てやすく、病害虫も少なくなるので、質の良いものが収穫できます。種まきから1カ月半程度で収穫できるのも魅力です。
準備するもの
こかぶの種
プランター(深さ15cm以上の長方形)
野菜用培養土
鉢底石
移植ごて(小型の園芸用シャベル)
化成肥料
じょうろ
種まきの準備
種は乾燥したままでも十分に発芽しますが、種まきの前日に、一晩、水に浸けておくとより発芽しやすくなります。
種まき
よく洗ったプランターに鉢底石を敷き、培養土を入れます。深さ1cm程度の溝をつけて(※)、1cm間隔で種をまきます。溝の両側から土を寄せて、手で軽く押さえます。プランターの底から流れ出るまで、たっぷりと水をやります。
下の写真のように、溝の間が15cmほどとれれば、2列にしてもOK。
1回目の間引き
1週間ほどで双葉が出揃います。約3cm間隔になるよう、生育の悪い芽をそっと引き抜いて間引き、土寄せをします。
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土の表面が乾いたら、水やりをします。乾燥に弱いため、特に暑い時期の水切れに注意しましょう。
2回目、3回目の間引きと追肥
本葉が2、3枚になったら、2回目の間引きをします。約6cm間隔に間引きをし、その後に化学肥料約10gを株元にパラパラとまいて土寄せをします。本葉が4、5枚になったら、3回目の間引きをします。約12cm間隔に間引きをし、2回目と同様に追肥と土寄せをします。
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間引きのタイミングを逃すと根が大きくならないので注意しましょう。
土からせり上がるようにして育つので、間引き後はしっかりと土寄せします。
間引いた葉や小さな根も汁物の具などでおいしく食べられます。
収穫
土の上に直径5cmほどのぷっくりと丸い根が見えてきたら、収穫のタイミングです。手で引き抜いて収穫し、抜いた穴は埋め戻します。収穫が遅れたり、土壌の水分量が急激に変わったりすると、根の表皮と内部の成長バランスが崩れて裂けてしまうので気をつけましょう。ただし裂けた場合は、その部分をよく水洗いします。そうすれば、食用には問題ありません。
害虫予防のコツ
こかぶは、アオムシやコナガ、アブラムシがつきやすい野菜です。病害虫を発見したら、専用の薬剤で駆除します。農薬を使いたくない場合は、水で洗い流したり、粘着シートを棒につるしたりして防ぎます。また支柱を設置して防虫ネットで覆い、虫が侵入できないようにする方法もあります。
最後に
丸々としたこかぶを育てて、いろいろな食べ方で楽しんでください。藤田 智さんプロフィール
藤田 智
恵泉女学園大学教授・副学長
1959年秋田県湯沢市生まれ。宮澤賢治に憧れ、岩手大学農学部に入学し、同大学院修了。向中野学園高校教員、恵泉女学園園芸短期大学助教授を経て、現職。専門は、園芸学、野菜園芸学。野菜栽培に関連する著書は140冊を超え、「NHK 趣味の園芸 やさいの時間」や日本テレビ「世界一受けたい授業」などのTVにも多数出演する。家庭菜園や市民農園の指導、普及活動を通じて、野菜づくりの楽しさを広げる取り組みを行っている。
ホームページ/藤田 智さんプロフィール
[かぶ]根にも葉にも!栄養を逃さない下ごしらえ&保存のコツ
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味にクセがなく、幅広い料理に活用できるかぶ。さっぱりとした味わいのピクルス、厚切りにしてステーキ、また正月明けに食べられる七草粥の「すずな」としてもおなじみの野菜です。根だけではなく、葉にもβ-カロテンなどの栄養が含まれているので、すべて活用しましょう。今回は、根と葉の両方を余すところなく使いこなす、下ごしらえと保存のコツをご紹介します。
最終更新:2023.03.28
文:アーク・コミュニケーションズ
写真(撮影):谷山真一郎
監修:藤田智、カゴメ
出典:
『野菜とハーブのプランター菜園』藤田智監修(ブティック社)
『NHK趣味の園芸 やさいの時間 藤田智の 野菜づくり大全』藤田智監修 NHK出版編(NHK出版)
『ベランダですぐ始められるコンテナで野菜づくり』藤田智著(日本文芸社)
『必ず収穫できる 藤田智の野菜づくり入門』藤田智著(実業之日本社)