新型カングー登場で気になるライバルとの違い! ベルランゴ・リフターと徹底比較してみた

2023.03.09 11:40
この記事をまとめると
■ルノーの人気車種「カングー」が新型となって日本に上陸した
■ライバルに「シトロエン・ベルランゴ」と「プジョー・リフター」が存在する
■フランス製のMPVということで3車種を比較した
話題の新型カングーとライバルを比較してみた
  コロナ禍が落ち着いてきたとはいえ、いま、引き続き空前の大ブームになっているのがアウトドア、キャンプ、車中泊だ。そんななか、およそ14年ぶりにオールニューの新型となったルノー・カングーの登場で、人とはちょっと違うユーティリティカーを望む人達に愛される両側スライドドアを備えたフレンチ大容量ワゴンが、「プジョー・リフター」、「シトロエン・ベルランゴ」とともに出揃ったことになる。ここでは最新のカングーを軸に、3車を比較したみたい。なお、リフターとベルランゴの基本部分は同一だ。
  まずはボディサイズ。カングーは全長4490×全幅1860×全高1810mm。ホイールベース2715mm。リフターとベルランゴはともに全長4405×全幅1850×全高1880mm。ホイールベース2785mm。全長ではカングーがやや長く、全幅は3車ほぼ同一。全高はカングーがグッと低いことになる。また、ホイールベースはリフターとベルランゴが長く、さらにリフターとベルランゴには全長4770×全幅1850×全高1870mm。ホイールベース2975mmの3列シート、7人乗りのロングボディが加わったところだ。つまり、現時点でロングボディ、3列シート、7人乗りモデルが選べるのはリフターとベルランゴだけということになる。
  エクステリアデザインについては、カングーはルノー最新のアルカナなどとも共通する顔つきとボディ同色バンパーを備えるインテンスグレードとともに、日本市場専用の、おなじみダブルバックドア×ブラックバンパーとなるクレアティフグレードを用意する(祝)。
  リフターとベルランゴのエクステリアデザインは基本的に変わりなく、いずれもアウトドアに似合うクロスオーバーテイストあるアピアランスとなる。とはいえ、アウトドアや悪路対応度で気になる最低地上高は、カングー164mm、ベルランゴ160mm、リフター180mmと違いがあり、リフターはその車名どおり、リフトアップされ、最低地上高に余裕があるのが特徴だ(FFだが)。
  パワーユニットの違いにも注目だ。カングーは新たにルーテシアなどに積まれ、自動車専門家からも定評ある1.3リッター直4ガソリンターボ、131馬力/5000rpm、24.5kg-m/1600rpm、WLTCモード15.3km/Lユニットとともに、先代最後のリミテッドモデルに搭載されていたコモンレール式1.5リッター直4直噴ディーゼルターボ、116馬力/3750rpm、27.5kg-m/1750rpm、WLTCモード17.3km/Lの2種類が選べる(ミッションはともに2ペダルセミATの7速EDC)。
  一方、リフターとベルランゴはともに1.5リッター直4ディーゼルターボ、130馬力/3750rpm、30.6kg-m/1750rpm。WLTCモード18.1km/L(ロングボディも同一。ミッションは8速AT)のディーゼルターボ1種類のパワーユニットとなる。
なんだかんだでカングーはよくできている!
  つまり、現時点のパワーユニットの選択肢では、ガソリンターボも選べるカングーに軍配が上がり、なおかつルーテシアで見せた1.3リッター直4ガソリンターボエンジンの気持ち良さもそのまま受け継がれている点に注目したい。ただし、ディーゼルターボエンジン比較では、リフター、ベルランゴが優位かも知れない。カングーの先代からキャリーオーバーされたディーゼルターボエンジンは、トルクアップされたとは言えディーゼルから想像できるトルクの太さは、こと低中回転域ではそれほどでもないからだ。しかし、リフター、ベルランゴのディーゼルターボエンジンはじつにトルキーかつスムースにまわる優秀で上質なパワーユニットなのである。ディーゼルターボ同士の燃費性能でもリフター、ベルランゴが上まわる。
  では、フレンチ大容量ワゴンとして、荷物の積載はもちろん、アウトドア、キャンプ、車中泊などで威力を発揮するラゲッジルームの使い勝手はどうか。
  まず、カングーとリフター&ベルランゴの大きな違いは、カングーは観音開きのダブルバックドアを引き続き採用している点だ。一方、リフター&ベルランゴは一般的な縦開きのバックドアとなる。となると、車体後部にスペースのない場所に止めると、ボックス型ミニバンのように、バックドアが全開にしにくいデメリットが生まれるのだが、なんとガラスハッチだけ開く(日産セレナのデュアルバックドアのように)ため、軽い荷物であれば、車体後部にスペースがない場所でも出し入れすることが可能となる。
  歴代カングーユーザーの悩みが、意外にもどこでも開けやすいデュアルバックドアにある。
  というのは、アウトドアなどでバックドアを、雨や直射日光を遮ることができる大きな日除けとして使うことができないのだ。ただし、愛犬家や動物関係のプロにとっては、ラゲッジルームに乗せた犬などの乗降がより安全に行える点で(犬の飛び出しをブロックしやすい)、ダブルバックドアが重宝されていたりする。
  各車の大容量なラゲッジルームの容量に不満があるはずもなく、また全車ともに車中泊にも対応する最大荷室長(ベッド長)を誇っているため、ここでは全車アウトドア、キャンプ、車中泊対応度では合格としたい。が、ラゲッジルームを上下に仕切れるトノボードを備え、車中泊用の純正ベッドキットをアクセサリーとして用意しているのは、リフター&ベルランゴとなる。
  走行性能はディーゼルターボエンジンではリフター&ベルランゴが優位。ガソリンターボであれば現時点で選択肢はカングーだけとなり、リフター&ベルランゴのディーゼルターボ、カングーのガソリンターボであれば、極めて気持ちいい走り、快適無比な移動が可能になる。そして3車ともにカーブなどでの4輪のタイヤが路面に張り付くような安定感に満ちたフットワークテイストを味わわせてくれる点はうれしいことに共通だ。ちなみにステアリングを通してメーターを見るのはカングーとベルランゴ。リフターは最近のプジョーらしく、遠くにあるメーターをステアリングの上越しから見るアウトホイールメーターとなり、身長、体形によっては見にくいと感じるかもしれない。
  また、室内の収納はいずれも豊富だが、カングーは先代にあった後席天井部分のルーフコンソールボックスが廃止され(前席頭上のものは健在)、先代比較では収納は減少。一方、リフター&ベルランゴはパノラミックガラスルーフとルーフストレージが一体になったMODUTOP(モデュトップ/グレード別装備)に加え、後席後方の天井部分に60リットルの容量を誇るリヤシーリングボックスを装備。天井の高さを生かしたアイディアが光る収納の豊富さではリフター&ベルランゴが圧倒することになる。
  最後に価格だが、ディーゼルターボエンジンモデルで揃えると、カングーは419万円(インテンス、クレアティフ共通!!)。リフターは396.1~424.1万円。ベルランゴは384.5~423.1万円と、カングーがやや高めに感じられるのだが、アライアンスの日産由来である先進運転支援機能の充実度を加味すれば、むしろお値打ちにも思えるほどだ。また、個人的にカングーのお薦めパワーユニットとなるガソリンターボモデルは396万円である。

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