新車の値上げ! 残価設定ローン金利上昇! 納期遅延だけじゃない新車販売に立ちこめる暗雲

2023.01.27 13:00
この記事をまとめると
■2022年12月、日本銀行は事実上の利上げを表明した
■自動車ディーラーではローンの金利の上昇が懸念される
■車両価格の値上げが顕著になっていく可能性も
利上げの影響は自動車ディーラーにも波及している
  日銀(日本銀行)の黒田総裁が12月20日の記者会見において、事実上の利上げを表明した。長期金利操作の許容変動幅をプラスマイナス0.25%から0.5%へ引き上げるとしたことが事実上の利上げとなり、外国為替市場では1ドル=130円前半へ一気に円高に動き、日経平均株価も一時800円を超える下げ幅となった。
  しかし、公式にはあくまで利上げへ舵を切ったわけではないとしているし、メディアに出演していたあるエコノミストは、「それでも日本の物価高は進み、国民生活への負担が減るわけでもない」としている。経済環境がどうなろうと、増税が大好きな首相のおかげもあり、苦しい国民生活はまだまだ続くどころか、ますます深刻になっていく様子を見せている。
  ある新車ディーラーで話を聞いていると、セールスマンが別の角度で今回の日銀総裁の発言を気にしていた、それはオートローン金利の上昇である。おおむね3.5%あたりから5%を少し切るぐらいの間が、各メーカー系ファイナンス会社における、残価設定ローンの金利となっている。残価設定ローン自体が、その商品特性もあり同一メーカー車に乗り続けてもらうための囲い込み策として普及してきた背景もあり、金利は戦略的に低めに設定されてきた。それが今後の利上げの進み具合次第では現状の金利が維持できなくなる可能性があるというのである。
今後は車両価格の値上げが顕著になっていく可能性も
  現状の新車購入における残価設定ローンの利用について、全体の6割ほどに達しているとの話も聞いている。そもそも海外ではローンやリースを利用して新車に乗るのは、先進国、新興国問わずメインとなっていた。日本でも10年以上といった長期間同じクルマを乗り続ける人と、3年もしくは5年以内で新車に乗り換える人に二極化されてきている。前者のケースでは現金一括払いが目立つが、後者のように短期間で新車を乗り換える人の多くが残価設定ローンを利用しているのである。ローンを使うからといって、手持ち資金、つまり貯蓄も少なく現金一括払いができないというわけでもない。新車を買うたびに300万円から500万円ぐらいの現金を動かす手間や、何かあった時のためにまとまった現金を残しておきたいという人の利用も多いと聞く。その意味では金利上昇は新車購入の動きを鈍らせるリスクをはらんでいるのは間違いないだろう。事実、本稿執筆時点ですでに住宅ローンの一部では金利引き上げへ動き始めている。
  さらにこのセールスマンは、今後は車両価格の値上げが顕著になっていく可能性が高いとも語ってくれた。
  直近では三菱自動車がアウトランダーで22万円、eKクロスEVで14.85万円の価格改定を2022年12月22日に発表している。日産自動車も同日リーフで最大100万円超、サクラで最大16万円超の価格改定を行っている。いままでは一部改良などに伴い価格改定が行われたが、今後は輸入車や今回の日産や三菱のように単純な価格改定、つまり値上げが目立ってくるのではないかとセールスマンは語ってくれた。
「値上げを行わなければ、値引き額が圧縮されていくでしょうね。たとえば、メーカー希望小売価格を変えないまま、ディーラーがメーカーから仕入れる価格だけアップすれば、ディーラー利益分が値引き原資となるので、当然ディーラー利益が圧迫されれば値引き余力は少なくなります」(事情通)。
  それでも、新車の納期遅延がなかなか収束を見せないなか、そしてウクライナ問題でロシアでは西側諸国メーカーの新車はまず正規ルートでは買うことはできず、その分日本からの中古車輸出が堅調なことなどもあり、中古車市場が活況を呈しており筆者の体験でも、下取り査定額ベースでさえ、通常の1.5倍ほどの高値になっていた。つまり一定程度の値引き減は下取り車次第ともいえるが、下取り査定額でフォローできるが、今後価格アップが顕在化していけば、それも限界があるといえよう。
  今後は納期遅延に加え、新車購入に際してはさらにローン金利や新車価格の値上げなども心配しなくてはならなくなりそうである。

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