海外専売モデル「MAZDA2セダン」が今人気急上昇!? 日本の生活を支えるコンパクトカー「デミオ」&「MAZDA2」を振り返る

2023.01.22 17:00
この記事をまとめると
■マツダには海外専売モデルのMAZDA2セダンというモデルがある
■日本国内では教習車として導入されているケースがある
■2019年にデミオからMAZDA2という車名に変更された
マツダには日本未販売のコンパクトセダンがあった!
  マツダが販売するコンパクトカー、マツダ2は現在5ドアハッチバックのみがラインアップされています。ただ、海外市場では5ドアハッチバックをベースとした4ドアセダンも用意されているんです。今回は日本未発売のマツダ2セダンを取り上げます。
日本未導入のマツダ2セダンとは
  今回紹介するのはマツダ2セダン。「え、マツダ2にセダンってあった?」と疑問を抱くのは当然で、一般ユーザーが国内でこのクルマを買うことはできません。
  マツダ2セダンとは、その名の通り5ドアハッチバックのマツダ2をベースに開発されたコンパクトセダン。現行モデルは国内ではデミオとして販売されていた4代目をベースに開発されタイで生産、インドネシアなどASEAN地域などを中心に販売され人気を博しています。
  ボディサイズは全長4340mm、全幅1695mm、全高1470mm。ホイールベースはマツダ2(5ドアハッチバック)と変わらない2570mmとなっています。
  マツダ2セダンの生産地であるタイでは2022年1月にマイナーチェンジを施し、フロントマスクの造形などが変わりました。
  同車に搭載されるパワーユニットは1.3リッター直4ガソリンエンジンと1.5リッター直4ディーゼルエンジンの2タイプ。国内で販売されるマツダ2とは違い、1.5リッターガソリンエンジンは用意されていません。
・ASEAN市場でセダンが人気の理由
  セダン離れが進む日本とは違い、タイやインドネシアはセダンがまだまだ人気。ASEAN地域ではまだクルマを購入する層が日本などと比べ少なく、コンパクトカーでもショーファー的な使い方をされるケースが少なくありません。
  そのため、コンパクトハッチをベースとしたセダンの需要が高いのです。ちなみにマツダ2セダン以外にもトヨタはヤリスをベースにしたセダンのヤリスATIV、ホンダからフィットをベースにしたセダンのシティなどがラインアップされています。
・じつは国内でも販売されている!?
  先程お伝えしたようにマツダ2セダンは国内でラインアップされていません。ただ、マツダ2セダンをベースにした自動車教習所の教習車が2019年から販売されています。
  そもそもマツダが販売していた教習車はアクセラセダンをベースとしていましたが、ボディが拡大したことで教習車としては不向きに。そこでタイで生産されているマツダ2セダンをベース車として採用することになったようです。
  教習車として必要な助手席補助ブレーキや指導用アウター&インナーミラーを配置しているなど異なる箇所も多いですが、国内でもマツダ2セダンが活躍していることは興味深いですね。
マツダ2の特徴
・元々はデミオ
  2019年9月から海外向けの車名であるマツダ2を名乗るようになりましたが、そもそもは2014年にデビューした4代目デミオです。
  マツダが展開していたデザインテーマ「魂動(こどう)」を取り入れ、スカイアクティブエンジンを搭載したコンパクトカーとして開発されました。
  フィットやノートといったライバル車がユーティリティ性能を重視していたなか、デミオは長いノーズを身につけフロントピラーを立てるなどデザインを重視。コンパクトハッチバック車としては異端なモデルといえるでしょう。
・シャシー&サスペンション
  マツダ2のボディサイズは全長4065mm、全幅1695mm、全高1500〜1525mm。デビュー時は全長が4060mmでしたが、いずれにしても5ナンバーサイズに収められています。
  プラットフォームは先代から流用せず新たに設計されました。「SKYACTIV-ボディ」と名付けられたプラットフォームはデミオが属するBセグメントのみならず、ひとクラス上のCセグメントまでカバーすることを前提に開発。高張力鋼板の配置を最適化し、ボディ強度と軽量化を実現しています。
  サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リヤはトーションビーム式を採用。形式は3代目デミオと同様ですが、前後ともに再設計されました。
  4WDシステムも4代目へフルモデルチェンジされた際に一新。3代目は後輪をモーターで駆動する電動式4WDシステムでしたが、電子制御多板クラッチ方式を採用しています。
  勾配など路面状況やアクセル開度などを元に後輪にトルク配分を行うフルタイム&オンデマンド方式で、状況に応じ最適な制御を行います。
・パワーユニット
  4代目デミオのデビュー時に用意されたパワーユニットは1.3リッター直4ガソリンと1.5リッター直4ディーゼルの2タイプでした。
「SKYACTIV-D 1.5」と名づけられたディーゼルエンジンはVG(可変ジオメトリー)ターボと水冷式インタークーラーを装着。MT仕様とAT仕様でトルクが異なっています。
  ちなみに最大トルクはMT仕様が22.5kgm、AT仕様が25.5kgm。トルク容量にゆとりがあったことでAT仕様は過給圧を上げたため違いが出ました。
  一方のガソリンエンジンはミラーサイクルのP3-VPS型を新たに搭載。ガソリンエンジンは「SKYACTIV-G 1.3」と呼ばれ燃費性能はもちろん、実用域のトルクが確保されているため幅広い利用シーンで使い勝手が向上。ガソリンエンジンにもAT仕様のみならずMT仕様が設定されました。また、AT仕様にはエネルギー回生システム「i-ELOOP」を組み合わせることもできました。
  MTは小排気量車向けとして新たに開発したものとなっており、コンパクトカーに搭載することを目的としているため軽量化にもこだわり開発されています。
  ただ「SKYACTIV-G 1.3」は2015年に1.5リッター直噴エンジンの「SKYACTIV-G 1.5」を新たに用意。マツダ2となった現在は「SKYACTIV-D 1.5」とともに、このエンジンのみがラインアップされています。
・その他
  プレミアムコンパクトを目指して開発された4代目デミオ。そのコンセプトはマツダ2となっても継承されています。現在ではノートオーラのように同じコンセプトを備えたコンパクトカーも登場しましたが、4代目デミオのデビュー時はライバル車無し。クラスを超えた質感を備えていたことが特徴でした。
  とくにインテリアはまさにプレミアムコンパクト。レザーを張ったインパネなど素材にもこだわっていました。
  マツダ2になっても質感の高さはさらに高められ、表皮にスムースレザーを使ったシートなど、上質さが際立ちます。
  ただし、上質さだけでなく機能性も抜群。ペダルの位置や配置場所などを最適化し適切なドライビングポジションを取ることができる運転席や背もたれの高さを伸ばしたことで正しい乗車姿勢を保つことができるリヤシートなど、室内空間を広くするだけではない工夫がなされています。
日本のコンパクトカー市場の革命児だった
歴代デミオを振り返る
  日本ではデミオとして販売されてきたマツダ2の歴代モデルを紹介していきましょう。
・初代(1996〜2002年)
  1500mmと高い全高を備えたコンパクトハッチバックとして登場した初代デミオ。マツダが「マルチパーパスコンパクト」と称したように利便性と機能性が満載のコンパクトカーでした。
  全長は3800mmと大きなクルマではありませんでしたが、ステーションワゴンやミニバンの利点となる広い室内区間や多彩なシートアレンジを備えていたことなどで使い勝手は抜群。RVブームが巻き起こっていた当時、クルマを道具と捉えるユーザーから支持を集め大ヒットしています。
  用意されたパワーユニットはB3-ME型1.3リッター直4とB5-ME型1.5リッター直4の2タイプ。1.3リッター車には3速AT(※1999年のマイナーチェンジで電子制御式4速ATへ変更)と5速MT、1.5リッター車には電子制御式4速ATと5速MTが組み合わされました。
・2代目(2002〜2007年)
  初代のヒットを受け、デミオは2002年に初めてのフルモデルチェンジを行いました。高い利便性と機能性を備えたコンパクトカーとのコンセプトを受け継ぎつつ、エクステリアデザインやシャシーなどを一新。見た目が一気に垢抜けたと話題になりました。
  2代目の特徴は「コージー」「スポルト」「カジュアル」と大きく個性が異なった3つのグレードを設定したこと。年齢や性別、走りを重視するかなど幅広いターゲットを取り込むための戦略を行ったのです。
  そのため、初代にはなかったキャンバストップや、スポーティ仕様「スポルト」にシーケンシャルモード付き4速ATを用意しています。
  ただ、2代目が不運だったのが大きなライバルとなる初代フィットが同時期に登場したこと。デミオをさらに上まわるユーティリティ性能を誇ったフィットが既存ユーザーを奪ったこともあり、初代ほどのヒットとはなりませんでした。
・3代目(2007年〜2014年)
  初代、2代目と続いたミニワゴン的フォルムを捨て去り、正統派コンパクトカーへ生まれ変わったのが3代目デミオ。先代比で全幅こそ拡大されましたが、全長は−40mm、全高を−55mmまでサイズダウン。スポーティかつスタイリッシュなコンパクトハッチへと変貌しました。
  全高を大きく下げたことで室内長も低くなりましたが、後席のヒップポイントを下げることなどで頭上空間のゆとりは確保されていました。
  ボディを小型化したことで軽量化も実現。すでに燃費性能が重視されていた時代のニーズに対応することもボディを縮小したひとつの理由といえます。
  デビュー時のパワーユニットは2代目から1.3リッター直4と1.5リッター直4エンジンをキャリーオーバーして使用していましたが、2011年のマイナーチェンジで1.3リッター直噴エンジンの「SKYACTIV-G 1.3」を搭載。3代目の売れ筋モデルは1.3リッター車となりました。
  3代目は2014年に4代目へバトンタッチ。現行モデル(マツダ2)も3代目のコンセプトを受け継ぎつつ、高級感を備えたモデルへと進化しています。
まとめ
  ひと昔前とくらべセダンのニーズが圧倒的に低くなった日本で(一般)販売することはないと思われるマツダ2セダン。ただ、コンパクトなサイズながらスタイリッシュなフォルムを備えたマツダ2セダンはなかなか魅力的です。
  日本にも少なからず存在するセダン好きにとって気になる1台であることは間違いないでしょう。

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