全てダイハツのOEMとなったモデルの魅力とは? スバルの現行軽自動車を紹介

2022.12.14 10:00
この記事をまとめると
■スバルの現行軽自動車を紹介
■現在は全てダイハツのOEMモデル
■過去の自社開発のモデルもピックアップして紹介
現在は全てOEMモデルとなったスバルの軽自動車
  すでに軽自動車の自社生産を行っていないスバルですが、販売は継続中です。
  現在も多彩な車種をラインアップしているスバル軽自動車の特徴、また過去に販売されていた名車を紹介していきましょう。
スバルってどんな会社?
もともとは航空機製造会社
  スバルの源流となるのが中島飛行機。現在の群馬県太田市に生まれた中島知久平により1917年に設立された中島飛行機は、第二次大戦中に活躍した四式戦闘機「疾風」などを生産。また三菱重工が開発した零戦に搭載された栄エンジンは同社が開発した発動機でした。
  大戦後は日本が敗戦したことでGHQにより飛行機の研究・開発などが禁止。中島飛行機は富士産業へと改称し、航空機のエンジニアたちによりラビットというスクーターなどを生産していました。
  その後、GHQの占領政策が変化したことで複数へ分社した旧中島飛行機関連の5社が出資して、富士重工業を設立。関連5社を吸収合併し練習機のライセンス生産を行うなど航空機製造への復帰を果たすとともに、自動車製造へ乗り出すことになりました。
  余談となりますが戦中、隼などの航空機を生産していた立川飛行機の技術者たちは戦後、電気自動車を製造。中島飛行機の荻窪工場を母体とする富士精密工業と提携し、後にプリンス自動車へと発展。プリンス自動車は日産と合併し現在に至ります。
印象的な「6連星」のエンブレム
  スバルのシンボルマーク「6連星(むつらぼし)エンブレム」は、スバル360に初めて採用されました。
  プレアデス星団の6連星をモチーフにしたマークですが、先にお伝えしたように統合した6社を示してもいます。
現在は軽自動車の自社開発から撤退
  スバル360から長年に渡って軽自動車の開発・生産を行ってきたスバルですが、2008年に軽自動車開発からの撤退を表明。2012年にサンバーの生産を終了したことで自社開発の軽自動車販売も終えました。
  撤退の理由はさまざまですが、ひとつは軽自動車の開発・販売競争が激化したこと。また北米市場を重視する同社にとって海外販売ができない軽自動車の開発コストが重荷になっていたことも大きな要因でしょう。
  現在は議決権20%を保有するトヨタの子会社であるダイハツから軽自動車をOEMで提供を受けています。
スバルの軽自動車の特徴や魅力
  現在、軽自動車の自社開発を行っていないスバルですが、同社が生産していた軽自動車には高性能な4気筒エンジンを搭載していたこと、RR駆動の商用バンをラインアップしていたなど数々の魅力や特徴を備えていました。
  一方、OEMとなった現在のスバルの軽自動車が備える魅力や特徴はどういったものがあるかを紹介していきましょう。
その1:軽自動車はすべてダイハツからのOEM
  先程、お伝えしたように現在、スバルがラインアップする軽自動車はダイハツから提供されるOEMです。
  軽セダンからハイトワゴン、スーパーハイトワゴン、また商用モデルまで幅広いモデルを現在でも販売しています。
その2:100万円以下の車種を発売
  ひと昔前までは珍しくなかった100万円以下で購入できる軽自動車もいまや希少な存在です。
  スバルが販売するプレオプラスのエントリーグレードは97万200円。装備など簡素ではありますが、リーズナブルに購入できる軽自動車として注目したい1台です。
その3:先進安全装備を備える
  現在販売されている軽自動車にはダイハツの予防安全機能「スマートアシスト」や「スマートアシストⅢ」が搭載されています。
  スマートアシストは車両に搭載したステレオカメラが周囲の状況を認識し、ドライバーをサポートする機能。
  車種にもよりますが衝突回避支援ブレーキや誤発進抑制機能などを備え、事故被害の軽減を図る装備です。
スバルの軽自動車はOEMで充実のラインアップ
プレオプラス
 価格:97万200円〜136万4000円
  スバルの軽自動車ラインアップにおいてエントリーモデルとなるプレオプラス。ミライースのOEMとして提供され、エンブレム以外にプレオプラスと外観の差はありません。
  ミライース同様、いまや数少なくなった100万円以下で購入できる軽自動車ですが、プレオプラスのエントリーグレードFほうがフルホイールキャップを備えるなど、やや装備が充実していることで価格が高くなりました(ミライースのエントリーモデルBは86万200円)。
  プレオプラスは軽セダンに属する同車ですが、長めのホイールベースを採用することなどにより、室内空間は見た目以上の広さを確保。価格が安いことなどで、ビジネスユースからの需要も高い1台です。
  パワーユニットはKF型660cc直3NAエンジンの1タイプのみを設定。
※写真はダイハツ・ミライース
  ターボ付きエンジンは用意されていませんが、NAエンジンでも最高出力57馬力とパワーは十分。670kgと軽い車体を軽快に走らせます。
  気になる燃費は23.2〜25.0km/L(WLTCモード)。メーターにはアイドリングストップ精算や燃費スコアが表示されるなど、低燃費性能に貢献する機能も装備されています。
  ハイトワゴンほど運転席の座面は高くありませんが視界は広く、最小回転半径は4.4mと軽自動車のなかでもとくに取り回しがラクなことも大きなポイント。
  また衝突回避支援ブレーキ機能などが備わったダイハツの先進支援安全装備「スマートアシストⅢ」が装備されていることも忘れてはなりません。
ステラ/ステラカスタム
 価格:120万1200円〜164万4500円
  軽トールワゴンを牽引するムーヴのOEM車ステラ。現行モデルはムーヴがフルモデルチェンジされた2014年に登場しました。
  またステラカスタムは標準仕様をベースに、エアロバンパーやサイドストーンガードなどを装備しプレミアム化。フロントグリルやアウタードアハンドルなどにメッキ加飾を施すなど、標準仕様との差別化を図っています。
  パワーユニットはKF型直3エンジンのNAとターボをラインアップ。インタークーラー付きターボエンジンは最高出力64馬力、最大トルク9.4kg・m。
※写真はダイハツ・ムーブカスタム
  一方、NAエンジンの最高出力は52馬力、最大トルク6.1kg・m。高速道路でのロングドライブなどではターボ車のパワーやトルクが大きなアドバンテージを得ますが、街乗りメインであればNAエンジンで走行性能に不満は出てこないでしょう。
※写真はダイハツ・ムーブ
  室内空間はハイトワゴンだけに大人がゆったりとくつろげる広さを備えています。リヤシートは左右それぞれにスライドやリクライニングが可能。長い荷物の収納に便利な「フロントサイドフラットモード」や、後席片側を倒して荷室が拡大できる「ハーフラゲージモード」など、多彩なシートアレンジを備えています。
※写真はダイハツ・ムーブ
  またラゲッジルームには大容量深底アンダーボックスを備えることで、背が高い荷物を積載することも可能とするなど、高いユーティリティ性能を実現しました。
残るふたつのOEMモデルと過去の人気軽自動車を紹介
シフォン/シフォンカスタム
 価格:138万6000円〜201万3000円
  シフォンはスーパーハイトワゴンのパイオニア、タントのOEM車です。標準モデルをベースにエアロパーツなどを装備したシフォンカスタムは、タントカスタム同様、今年10月に行われたマイナーチェンジでデザインを変更。2ピースとなったバンパーまで広がるほど大型化されたフロントグリルなど、派手さを増した意匠チェンジが行われました。
  4代目となる現行型はタントのフルモデルチェンジにとともに2019年に登場。先代同様、広大な室内空間とBピラーレスのミラクルオープンドアを備え、とくに子どもがいるファミリー層からの支持が高いモデルです。
  リヤシートの前後スライドは240mmと広い調整量を実現しているなど、室内の使い勝手は抜群。同ジャンルの軽自動車同様、高いユーティリティ性能を誇ります。
  ただ先代とは異なるのがプラットフォーム。アンダーボディやサスペンションの高剛性化を図り、車体の安定性や乗り心地を向上させた「DNGA」と呼ばれる新世代プラットフォームを採用したのが大きな特徴です。
  パワーユニットはKF型直3エンジンを搭載。カスタムだけでなく標準モデルにも最高出力64馬力を発揮するターボが用意されました。
※写真はダイハツ・タントカスタム
  エンジンに組み合わされるのはスプリットギヤ式CVTで、どの回転域からでもスムーズな加速が味わるのが特徴です。
  また16種類の予防安全機能が備わる「スマートアシスト」を全車に装備しました。
スバル・サンバーバン/サンバートラック
 価格:104万5000円〜188万1000円(バン)、96万8000円〜145万2000円(トラック)
  2021年にOEMの供給車となるハイゼットカーゴがフルモデルチェンジ。2022年1月に新型サンバーバンがやや遅れて登場しました。
  プラットフォームにはダイハツが展開する「DNGA」を採用し、予防安全機能「スマアシ」を搭載するなど新世代の軽商用バンへと進化しています。
  ただし同シリーズのサンバートラックは、供給元となるハイゼットトラックが2014年にフルモデルチェンジされたまま2021年にマイナーチェンジ。
  トランスミッションにはCVT、4WDは電子制御式を採用するなど、バン同様、現在に通用する軽トラックへと大きく進化を果たしました。
  またキャビンをやや拡大し乗用性能を高めたグランドキャブもラインアップしています。
スバルのこだわりが詰まった歴代の自社開発軽自動車
  こだわりや魅力を備えていたスバルの軽自動車をピックアップして紹介していきましょう。
スバル360(1958〜1970年)
  スバルの軽自動車を語る上で外せないのがスバル360。スバルの前身となる中島飛行機が備えていた航空機の技術を取り入れ、スバル初となる軽自動車として開発されました。
  スバル360はモノコックボディを採用したことで軽量化を実現。360cc直2エンジンをリヤに搭載することで大人4名が乗車できる室内空間を確保しています。
  サスペンションはフロントがトレーリングアーム式、リヤはスイングアクスル式を装備した4輪独立式を採用。スプリングは国産車として初となるトーションバーを備えたことも特徴といえるでしょう。
  デビュー時は16馬力だった最高出力は改良を重ねることでパワーが向上していき、1968年にはツインキャブレターを装備して36馬力を実現。同エンジンはスポーツ仕様のスバル360 ヤングSSに搭載されました。
  スバル360は1970年まで10年以上に渡って販売されましたが、スバル軽自動車の原点であり、国産軽自動車のパイオニアとしても大きな存在感を誇ったモデルでした。
初代プレオ(1998〜2010年)
  スズキ・ワゴンRの登場をきかっけに軽自動車のスタンダードとなったトールワゴン。その波に乗り遅れまいとスバルが投入したのが初代プレオです。ヴィヴィオの後継モデルとして開発されました。
  ただし、2010年に登場した2代目プレオはダイハツからのOEMとなっています。
  ワゴンRと対抗するため全高を高くとるミニバン的スタイルを採用していましたが、スバル曰く同車はあくまで「5ドアワゴン」だと主張。当時、好評を博していたレガシィツーリングワゴンの軽自動車版として、リヤピラーまわりのデザインにイメージを反映していました。
  初代プレオに搭載されたパワーユニットは直3エンジンが主流となった、いまの軽自動車には用意されない660cc直4エンジン。NA、マイルドチャージ、スーパーチャージャー(これらはSOHCエンジン)、さらにDOHCスーパーチャージャーと4種類の直4エンジンをラインアップしていました。
  またサスペンションは全車4輪ストラット/コイルの独立式を装着。「RS」のみならず、すべてのグレードで上質な走りを実現していたところも特徴です。
  初代プレオはデビュー後、軽自動車のレベルを越えた質感を備えていたことなどで評価が高く、販売的にもまずますの売れ行きとなりました。乗用モデルだけでなく商用モデルやフロントマスクを変更しレトロ調に仕立てた「ネスタ」、ファニーなスタイルを採用した「ニコット」などを追加するなど、バリエーションを拡大していきます。
スバルR1(2005〜2010年)
  プレミアム軽クーペとして2005年に登場したスバルR1。スバル360を彷彿とさせるエクステリアデザインや、軽自動車のレベルを超えた上質なインテリアを装備。当時としても異質だったパーソナル軽カーでした。
  デビュー時はすでに室内空間を重視するハイトワゴンが売れ筋となっていましたが、R1ならびに姉妹車となる4ドアのR2はデザインを重視。インパネの一部がボディカラーと同色でコーディネートした質の高いインテリアなど、特別な軽自動車に仕上げるというスバルの大きなこだわりを感じました。
  筆者も試乗したことがありますが、シートの作りが2時間以上のロングドライブでも疲労を感じさせることがないほどしっかりとした作りだったことが印象的です。
  パワートレインは660cc直4エンジンを用意。NAをはじめ、スーパーチャージャー付きもラインアップされました。
  外観やインテリアの質感とともに、高速走行での直進性やコーナリングの安定性など走りの高さも特徴的。軽自動車のレベルを超えた走行フィールもスバルのこだわりといえるでしょう。
まとめ
  ダイハツのOEMとなったスバルの軽自動車ですが、セダンからハイトワゴン、商用車まで幅広いラインアップを誇ります。
  ただ、スバル360をはじめ、過去に自社生産されたスバル軽自動車を振り返るとやや寂しく感じるのも事実。今後、軽自動車を自社開発することはないと思いますが、その思想を受け継いだ小型車などの登場を期待したいものです。

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