いまどきの高性能スポーツ車は4WDだらけ! それでもホンダの「タイプR」がFFを貫くワケ

2022.11.11 10:00
この記事をまとめると
■ホンダがFFにこだわりを持っている理由を解説
■シンプル・イズ・ベストの思想に忠実な車両作りにFF駆動は最適だった
■4WDやFRとなると重量増加やプラットフォームを作り直す必要があった
ハイパフォーマンスでありながらいまだにFF駆動である理由
  走りに特化したモデルは、走りや装備類に性能の凝縮感が現れ、これがスポーツ派ユーザーの心を捉えて魅了することになる。高性能感に浸れるスポーツモデルは、それだけで商品価値を持ち、各メーカーとも高性能モデルをリリースするわけだが、それらのなかでもひと際印象的な存在が、ホンダ一連の「タイプR」だろう。ベース仕様、ゴージャス仕様、スポーツ仕様と車種ごとにいろいろなグレードが用意されるが、その末席に加えられた「タイプR」を目にすると、他とは違う特別な「何か」を強烈に感じてしまう。
  走りに特化した「タイプR」が、初めてホンダ車に加えられたのは、1992年のNSX-R(のちにタイプR)だった。非常に高性能だが、限界付近のハンドリングにあいまいさを残す標準仕様車に対し、シャシー性能を引き上げサスペンションを締め上げたタイプRは、逆にNSXが持つ本来の性能を引き出しやすいクルマとして走り派の共感を集めていた。
  そして、第2弾のインテグラ タイプR(DC2型、1995年)、第3弾のシビック・タイプR(EK9型、1997年)と続き、現在もシビック(FL5型)でその存在感を強烈に放っている。
  さて、タイプRに共通する車両コンセプトだが、純粋に動力性能、運動性能の良化を意図したグレードで、言葉を換えれば、余剰なものを廃したシンプル・イズ・ベストの思想に忠実な車両作りと表現できるモデルだ。
  二輪車メーカーだったホンダが、四輪車の市場に足を踏み入れるきっかけとなったのはライトウェイト・スポーツのS360/S500/S600/S800のシリーズだった。構成メカニズムやエンジン性能は、さすがホンダと思わせる群を抜く水準のものだったが、あくまでニッチな市場が対象だった。ホンダの本格的な四輪市場参入となったは、小型セダン/クーペのホンダ1300だった。強制空冷(DDAC)の高出力エンジン、日本ではまだ珍しいFF方式を採用する特徴的なモデルだった。
タイプRはこだわりを持ってFF駆動を極めている
  駆動方式にFFを選んだ理由は、小型乗用車の基本パッケージングとして、合理的かつ効率的な駆動方式と判断した結果だが、第1作目となったホンダ1300は、モデルとしての完成度に疑問が残っていた。これを払拭したのが次のモデルとなる初代シビック(EB型)で、ワイド&ローのシャシーディメンションを持ち、効率に優れたSOHCエンジンとの組み合わせで、新時代の小型車像を作り上げることに成功した。
  シビックシリーズには、このとき動力性能を強化したRS(ロードセーリング)グレードが追加され、走りのファンを喜ばせたが、その後排出ガス規制対策の時代を迎え、高性能モデルの登場が許されない時代がしばらく続くことになった。
  排出ガス規制対策が一段落した1980年代に入ると、高性能化の波が一気に押し寄せた。ホンダは一時期ターボ化で対応したが、パワーリニアリティに優れるエンジンは自然吸気方式と結論付け、シビック/CR-Xシリーズのホットモデルに新開発の4バルブDOHC、ZC型エンジンを搭載。その後、可変バルブタイミング方式のVTEC機構を開発し、ホンダエンジンの高性能ぶりを強く印象付けたが、駆動方式はホンダ1300以来、すべてFF方式が使われていた。
  ホンダは、合理的かつ効率的なことを高性能の原点と考え、量産車にはすべてFF方式を採用する方針で臨んできた。そして、そこに高性能エンジンや運動性能方向に振り込んだシャシーチューニング、簡素(スパルタン)な艤装類などでまとめたモデルとして、走りの「タイプR」を設定するにおよんだわけである。
  実際、歴代の「タイプR」に乗ってみれば、贅肉を削ぎ落とし、性能を研ぎ澄ました結果が、タイプRだと気付かされることになる。駆動系の重量によって動き自体が緩慢となる4WD方式、プラットフォームを新造しなければならないFR方式、パワーリニアリティの重視から過給機の装着は最近になるまで回避。走りに特化したホンダの「タイプR」は、ホンダ量産車技術の昇華を象徴するモデルとしての役割が課せられているようだ。

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