クラウンは21インチ! どこまでタイヤは大きくなる!? 大径化のメリットとデメリットを明らかにする

2022.10.27 17:20
この記事をまとめると
■タイヤの大径化トレンドはまだまだ止みそうにない
■クラウンのクロスオーバーモデルが大きなタイヤを標準装着したことも話題となった
■タイヤ大径化のメリット・デメリットを解説する
大径タイヤはスタイリッシュ!
  タイヤの大径化トレンドはとどまる様子がありません。最近ではトヨタ・クラウン(クロスオーバー)が225/45R21という大きなタイヤを標準装着したことも話題となりました。
  はたして、タイヤ大径化を支えているのはどのようなユーザーニーズで、大径タイヤにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
  まず、いえるのはスタイリングに対するポジティブな効果です。
  カーデザイナーが描く、デザイン初期段階でのイメージスケッチを複数見ていると感じたことがあるかもしれません。イメージスケッチではタイヤは実際以上に大きく、フェンダーとのすき間がほとんどないような状態で描かれていることが多くなっています。
  このあたりの事情を、何人かのデザイナーに聞いた話をまとめて単純化すると「多くの人は本能的に、タイヤが大きいほうがクルマはかっこうよく見える」ということのようです。
  イメージを示すのに、わざわざカッコ悪くする必要はありませんから、コンパクトカーであっても大きなタイヤを履いたスケッチとなることが本当に多くなっています。
  さらに、タイヤの大径化について見ていくと2つの方向性があることに気付きます。
  ひとつにはタイヤ外径を大きくするというアプローチです。もうひとつ、タイヤ外径は従来どおりで、内径(ホイール)を大きくするという手法です。
  ドレスアップの定番である「インチアップ」は、後者のカスタマイズとなっていることがほとんどです。タイヤの外径は許容範囲のままインチアップするためには、偏平率を小さくする必要があります。
  そうしたタイヤは一般論として、アタリが硬くなることが多く、乗り心地は悪化することもあります。また同じタイヤ外径のままインチアップするとタイヤ&ホイールの合計重量では増えてしまう傾向にあります。タイヤ&ホイールが重くなることも乗り心地にはマイナス要因といえるでしょう。
  冒頭で例に挙げた新型クラウンクロスオーバーのように、タイヤ外径自体を大きくするような進化においては、ドレスアップ的インチアップとは話が異なります。サイズ表記からもわかるように偏平率は45とそれほど低くなっていません。
  そのため、極端にタイヤのアタリが硬くなるということはありません。さらに外径が大きいとタイヤの変形量が少なくなります。タイヤというのは常に丸い形状ではなく、路面に触れている部分は平らになるという変形を繰り返して回っています。
  同じ速度で走っているとして、小径タイヤは回転数が多くなるのでトータルでの変形量が増えます。タイヤの変形というのはすなわちフリクションロスといえます。つまり、変形量が少なくて済む大径タイヤというのはロスが少なく、燃費に貢献できる要素といえるのです。
大きなブレーキも収められる
  ここまでの話をまとめると、タイヤは大きいほうが本能的にカッコよく見えるというのが定説です。そして外径の大きなタイヤは乗り心地と燃費性能を両立するのに都合がいいともいえるのです。
  メリットはそれだけではありません。ホイールが大径になると、その中に収めるブレーキシステムのサイズも大きくすることができます。
  ブレーキディスクのサイズアップは、すなわち熱容量を増やすことですから、運動エネルギーを熱に変換して制動力とするブレーキの性能アップに直結します。
  大きなキャリパーはブレーキパッドの面積増加やマルチピストンによる作動圧力の均一化に貢献します。こちらもブレーキ性能アップにつながります。
  いずれにしてもホイールよりも大きなブレーキシステムを採用するのは物理的に難しいことですからタイヤ内径を大きくするということは制動力に関するポテンシャルを上げることが可能となります。これも大径タイヤを採用する代表的なメリットです。
  一方、大径タイヤのデメリットは維持費が上がってしまうことでしょう。
  あくまで傾向の話ですが、タイヤというのは大きくなるほど高価になります。基本的にゴム製品であるタイヤは消耗品ですから、大径タイヤはランニングコスト上昇につながってしまうのです。とくにスタッドレスタイヤが必須の地域に住んでいるドライバーにとっては、無視できない部分といえます。
  大径になるほど高価になるというのはホイールも同様です。スタッドレスタイヤ用ホイールを購入する場合、ぶつけてしまってホイールを買い直す場合などのコストも大径になるほど上昇します。
  ディメンション的なデメリットは、タイヤの外径が大きいほど切れ角を確保するために大きなタイヤハウスが必要になるということです。大きなものを左右に動かすのですから当然です。
  同じボディサイズで比べると、大径タイヤを採用したシャシーは切れ角が少なく、最小回転半径が大きくなりがちということです。つまり、大径タイヤにあわせてボディをデザインするとタイヤハウスを大きくするためにボディ幅を広げる必要が出てきます。
  最近のニューモデルが軒並みボディを広げているひとつの理由に、タイヤ大径化トレンドも影響しているといえそうです。

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