馬刺しと日本酒の相性は? 部位ごとにおすすめの日本酒を紹介!

KUBOTAYA
2022.08.26 11:50
8月29日は「馬肉の日」です。今回は、馬肉の魅力や日本の食文化の一つとなった背景、そして馬肉の最もスタンダードな食べ方である馬刺しと日本酒のペアリングについて紹介します。
8月29日は馬肉の日
8月29日は「馬肉の日」。記念日を通じ、日本の食文化の一つとして馬肉を愛してもらおうと制定されました。由来はもちろん「ば(8)にく(29)」の語呂合わせです。

牛肉や豚肉、鶏肉に比べると、熊本県や福島県といった名産地以外では馴染みの薄い食材ですが、最近ではお取り寄せでも美味しい馬肉を食べられるようになり、自宅で味わうハードルがぐっと下がっています。

普段馬肉を食べることがない人も、記念日をきっかけに馬肉に親しみ、美味しい楽しみ方を学んで、お気に入りの食材を一つ増やしてみませんか?
馬肉のカロリーはどれくらい?
馬肉の魅力の一つは、低カロリー。馬肉は100グラムあたり約110kcalで、低カロリーフードとして代表的な鶏のささみと同程度のカロリーです。その上、牛肉や豚肉と比較するとタンパク質を多く含んでいる、ヘルシーな食材です。

そして、ヘルシーでありながら栄養価の高い食材であるというのも忘れてはいけない馬肉の長所。骨や歯を維持するカルシウムや、不足すると立ちくらみやめまいの原因になる鉄分、疲労回復に効果的とされるグリコーゲンなどの成分が、牛肉や豚肉の2倍以上含まれているのです。

食材としてメジャーな牛肉や豚肉、鶏肉と並んでも、馬肉はカロリーや栄養価の観点で全く引けを取らない魅力があります。積極的に食べていきたい、体によい食材なのです。
馬肉が食べられるようになったのはどうして?
日本で馬肉が食べられるようになった背景には諸説ありますが、その出発点は熊本県だったと言われています。キーパーソンとなるのは、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将で、現在の熊本県にあたる肥後藩の藩主、加藤清正です。

朝鮮半島に出兵した際、食糧難というピンチに直面した加藤清正。その際、飢えをしのぐために食べたのが軍馬だったのです。それがきっかけで馬肉の美味しさに気付いた加藤清正は、日本に戻っても好んで馬肉を食べたと伝えられています。熊本県阿蘇地域は軍馬の産地ということもあり、戦後の食糧難の頃、軍馬としての役目を終えた馬の肉を食べ始めたことで馬肉料理は一般的になっていきました。
現代の熊本県では、肉じゃがなどの家庭料理にも使用されるほど日常生活に浸透した食材となっています。

一方、熊本県と同じく馬刺しを郷土料理とする福島県会津若松地域では、戊辰戦争の頃、回復を目的に傷病者に馬肉を食べさせていました。そのような背景から馬肉は食材の一つとして広まっていき、熊本県と同様に福島県の家庭でも馴染みのある食材となっています。

馬肉の持つルーツの一つとして、危機に瀕した人々によって食され、それを端緒に食文化の一つとして浸透していったというのが挙げられるのかもしれません。
馬刺しと「久保田」のペアリング
馬肉と一言に言っても、牛肉や豚肉、鶏肉と同じように、部位によって味わいや食感が異なります。今回は馬肉の食べ方でも最も王道である馬刺しの中から、特色ある味わいを持った定番の部位を揃えました。それらに組み合わせるのにおすすめな日本酒「久保田」を紹介していきます。
赤身×久保田 碧寿
馬肉で最もポピュラーな部位の「赤身」。赤身は特定の部位ではなく赤い色をした肉のことで、馬刺しではももやロースなどの部位に赤身が多く含まれています。

赤身の魅力は、噛みごたえのある食感や、旨味がぎゅっと凝縮されているのにすっきりとした味わいです。旨味は感じられますが生々しい獣臭さはないため、肉料理が得意でない人でも食べやすいはずです。

すっきりした味わいの赤身には、コクのある旨味を持つ「久保田 碧寿」をペアリングするとバランスのよい組み合わせに。碧寿はシャープな酸味を持った、山廃仕込みの純米大吟醸酒です。碧寿の持つその酸味や軽快なキレが赤身に加わると、赤身の旨味が強調され、思わずもう一切れ、と手が伸びます。

「久保田 純米大吟醸」とも合わせてみたところ、赤身のジューシーな旨味と久保田 純米大吟醸の輪郭のはっきりした華やかさが喉の奥で混ざり合い、ゴージャスな味わいに。赤身らしいすっきりとした味わいは碧寿との組み合わせの方が楽しめますが、こちらも捨てがたい組み合わせでした。
霜降り×久保田 純米大吟醸
続いては「霜降り」。こちらも赤身同様、特定の部位ではなく腹側のバラ、肩ロースなど、複数の部位から取れます。サシと呼ばれる白い脂肪が網目状に入った見た目には、思わず目がいってしまう存在感がありますよね。

存在感のある見た目から想像するよりも、さっぱりとした甘味を楽しめるのが魅力です。また、サシが入っていることにより、赤身と比較すると弾力が少なめの肉質をしているため、食感も優しい柔らかさがあります。
サシの部分を構成している脂は融点が低いため、口に含むと体温で溶け始めるという特徴があります。牛肉の脂肪分は40~50℃が融点ですが、馬肉の脂肪分の融点は30~43℃となっていることからもそれが分かります。そのため、霜降りでは口に含んだ途端に脂がすっと溶けて消えていくような感覚を味わえます。

そんな霜降りと一緒に楽しみたいのが香り、甘味、キレが融合したモダンな純米大吟醸酒「久保田 純米大吟醸」。溶け出した霜降りの脂と重なることで、まろやかでありながらクセのない甘味が口の中に広がり、思わず目を細めてうっとりとしてしまうような幸福感のある味わいが堪能できます。舌に置いてすぐ溶け出してしまうという儚さのある霜降りですが、ペアリングすることによって高い満足感が得られます。
フタエゴ×久保田 純米大吟醸
馬肉にしかない部位「フタエゴ」。バラ肉の一つであり、馬の腹部の外側、皮膚に近い箇所になります。赤と白のストライプ模様になっており、それぞれ赤身の層、脂身の層となっています。馬1頭からわずかしか取れない希少な部位でもあります。

フタエゴでは馬肉の旨味が詰まった赤身と、甘味がありつつさらりとした脂身をいっぺんに味わうことができます。食感の観点でもそれは同様で、赤身の弾力、脂身のとろけるようなもっちり感、その両方を一回で楽しめてしまいます。

フタエゴとも組み合わせたいのが「久保田 純米大吟醸」。フタエゴ全体を久保田 純米大吟醸が柔らかく包み、赤身のあっさりとした味わいも、脂身のまろやかな味わいも強調してくれます。それでいて後味は、フタエゴの余韻も感じられながら久保田らしいキレが漂います。料理に寄り添う日本酒、久保田の面目躍如といったところでしょうか。
コウネ×久保田 翠寿
「コウネ」はたてがみとも呼ばれ、その名から連想される通り、馬の首の後ろの皮下脂肪です。こちらもフタエゴと同じく、馬1頭からたった数kgしか取れない希少な部位です。

コラーゲンを多く含むため、コリコリとした噛みごたえある特徴的な食感をしています。その食感を楽しんでいると、喉の奥まで脂の味わいがジュワーっと染み渡っていきます。その脂からは甘味を感じますが、濃厚過ぎずマイルドな味わいです。

コウネと相性がよいのは「久保田 翠寿」。清々しい香り、軽やかな味わいをした春夏限定の生酒です。コウネは穏やかでまろやかな甘味を味わえる部位ですが、ともすればその丸みのある味わいに少し物足りなさを感じてしまうかも。そこに翠寿を合わせると、翠寿の透明感ある爽やかな甘味があたかもコウネを装飾してくれるようで、飽きの来ない味わいへと変化します。

試しに霜降りやフタエゴと相性ばっちりだった久保田 純米大吟醸とも合わせてみたところ、味わいが少々重たくなってしまいました。ただ、こちらも美味しい組み合わせでしたので、どっしりとした重量感のある味わいが好きな人は試してみる価値アリです。
馬肉と日本酒を共に味わい、馬肉をもっと身近な存在へ
名産地ではない地域では日常的な食材とは言い難い馬肉。ですが実は栄養満点であったり、日本の食文化の一つとなるまでには人々を救ったルーツを持っていたりと、もっとメジャーな食材になってもいいのでは? と思われる魅力に溢れていました。

そんな馬肉を楽しめる定番料理、馬刺しに日本酒を合わせると、部位ごとの魅力が際立ったり日本酒がアクセントになったりといった効果があり、相性のよさが分かりました。その部位にどの程度の脂が含まれているのか、という点が、どんな日本酒を合わせるとよいか見つける近道になりそうです。

馬肉には他にもさまざま部位があるので、本記事を一つの指標に日本酒と組み合わせてみてください。美味しく食べられる組み合わせを探す過程で、馬肉がもっと身近な食品になることは間違いありません。お気に入りの食材が一つ増えれば、明日からの食卓がさらに豊かになるはずです。

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