「安いグレード」のほうが走りがいい場合もある! 同じ車種でサイズ違いのタイヤが用意されているクルマの選び方

2022.05.31 06:20
この記事をまとめると
■タイヤサイズが数種類用意されているクルマがある
■その理由やどれを選ぶのがベストなのかを解説
■トヨタ・アルファードやホンダeなどを例に挙げた
タイヤサイズによって走行性能が大きく異なることは少ない
  1台のクルマでタイヤサイズが数種類用意されていることがある。が、じつは新車の開発時には、設計基準となるタイヤサイズがあり、それを基本に足まわりなどのセッティングを煮詰めていくわけだ。当然、テスト走行もその設計基準のタイヤで行う距離が一番多くなる理屈だ。
  しかし、設計基準タイヤが17インチだとして、ベースグレード用には、コスト的にも有利な1ランク下の16インチを履かせ、さらに見栄えが良く、スポーティな走行感覚も得られる、設計基準タイヤより1ランク上の18インチを用意するような車種もある。本当は、タイヤサイズは1種類のほうが、走行性能を煮詰めやすいのだが、営業的にはそうもいかないのが実情なのである。
  とはいえ、トヨタ86(初代)の開発責任者の多田さんが、開発を行った初代トヨタ・ラクティスは、サーキット走行を楽しめる走行性能、サーキット用のタイヤを積み込めるラゲッジスペースの確保といった、走り好きの多田さんならではのエッセンスが詰め込まれたコンパクトカーで、当時としては画期的な全車175/60R16サイズの大径タイヤを履いていたのが大きな特徴だった。当時の多田さんへの取材メモを紐解けば、やはり「タイヤが1サイズのほうが、走りを追求しやすい」というのが、贅沢な16インチ、1サイズのタイヤチョイスだったのである。
  もっとも、最近のクルマはボディやサスペンションの取り付け部がとてもしっかりしていて、タイヤサイズによって走行性能が大きく異なるようなことはまずない。ただし、である。車種によっては走りのキャラクター、乗り心地がタイヤサイズによって微妙に違う車種も、あるにはある。
  たとえば、国産ハイエンドミニバン、トヨタ最上級乗用ミニバンであり、VIP需要も多いトヨタ・アルファードを例に挙げると、タイヤサイズはベースグレードのXの16インチから、中間グレードの17インチ、ガソリン車のハイグレード専用の18インチの3種類が用意されている。
  そのアルファードがデビューした当時、開発陣の設計基準タイヤを聞いてみると、やはりというか、中間の17インチとのこと。ハイエンドミニバンに相応しい乗り心地や操縦性、安定感のすべての項目をバランスよくまとめられているベストバランスなタイヤサイズと言っていい。2018年のビッグMCを機に加わった、VIPユーザーの要望に応えた、MC前にはなかった最上級のエグゼクティブラウンジのエアロ仕様に、同ガソリン車の操安性重視となる18インチではなく、17インチタイヤをあえて装着しているのも、ベストサイズタイヤの証明と言っていいだろう。
  当然、18インチタイヤのほうが乗り心地面、とくに荒れた路面での快適性では不利になるものの、3.5リッター、2.5リッターのガソリン車のエアログレードでは、大径タイヤ&ホイールの見映えを含め、よりカッコよく、似合うと感じる人は少なくないはずだ。
ベースグレードの方が走りの印象がいいクルマも!
  そんなエピソードを紹介すると、たとえば16インチと17インチタイヤを履き分けるクルマの場合、大径17インチのほうが圧倒的によい印象を受けてしまうが、逆の例もある。それがホンダのBEV、ホンダeだと思っている。ホンダeにはモーター出力154馬力、32.1kg-mを発揮する上級のアドバンスと、モーター出力136馬力、32.1kg-mを発揮するベースモデルの2種類のグレードがあり、アドバンスのタイヤはミシュランパイロットスポーツの17インチ。対してベースグレードはヨコハマ・ブルーアースAの16インチという履き分けがある。
  結論から言えば、ベースグレードの16インチタイヤ装着車のほうが、車重減もあって都市部での走りの軽快感が高まり、より爽やかな走行感覚を実現しているとともに、素晴らしくしっとりマイルドな上級感ある乗り心地を示し、またロードノイズも低減。より静かなのだ(サイズだけでなく、タイヤのキャラクターによるところも大きい)。静かで快適に走る乗用BEVらしさという点では、迷うことなく、16インチタイヤを装着するベースグレードに軍配を上げたいとリポートしたぐらいである。余談だが、ヨコハマ・ブルーアースAのバランス性能に感動し、その直後、愛車にもヨコハマタイヤを履かせたぐらいであった(アドバンデシベルだが)。
  ちなみに筆者の愛車はVWゴルフヴァリアントだが、タイヤサイズは16インチと17インチが基本。しかし乗り味の差は大きく、ドイツ車らしい、ゴルフらしい乗り味を示してくれるのは間違いなく17インチのほう。ゆえに筆者のゴルフヴァリアントも17インチタイヤ装着グレードであり、満足している。
  よって、新車購入時のグレード選びで、乗り心地と操縦安定性のハイバランスにこだわるのであれば、設計基準のタイヤサイズを選ぶのが正解だが、販売店のセールス氏がその情報をもっているかは分からない。なので、 WEB CARTOP、CARトップを始めとする自動車専門媒体の試乗リポートが参考になると思う。その上で、ぜひ、そのクルマに最適なタイヤを履くグレードを選んでほしい。

あわせて読みたい

フォレスター圧巻のコスパ!! ヴェゼルは上級グレードがオトク!? 国産SUV14台の「高コスパグレード」
ベストカーWeb
クルマは高額なだけに買ってから後悔……はシャレにならん! プロが教える「迷ったときの」クルマ選びのコツ
WEB CARTOP
カゴメの新にんじん100%ジュース、そのおいしさの秘密は!?
antenna
第780回:より快適に 気持ちよく! ブリヂストンの自信作「レグノGR-XIII」を試す[エディターから一言]
webCG
ホットハッチ好き今1番の悩み!! できるだけ早く欲しいけど……24年6月発売予定の新型「スイフトスポーツ」を待つ価値はあるのか!? 
ベストカーWeb
dアニメストアが新テレビCMを公開!
antenna
走り屋あがりの家族もちオヤジが歓喜した! いまや絶滅危惧種の「バカッ速ミニバン」6台
WEB CARTOP
タイヤは「デカくて太けりゃいい」は今は昔のハナシ!?  タイヤサイズは今後どうなる?
ベストカーWeb
【NEW ERA®✕ANEICA】コラボ第二弾!キャップとTシャツ発売開始
PR TIMES Topics
ノアのエアログレードめちゃお買い得!! アルヴェルにセレナは!? 大人気ミニバン4台のコスパ最強グレード
ベストカーWeb
やっぱり上級ミニバンはもはや消滅したV6エンジンだろ! たとえ燃費が悪くてもHVや直4じゃ味わえない魅力を知ってくれ
WEB CARTOP
世界最高峰のヨットレース「アメリカズカップ」が追い求める「人の可能性」
antenna*
【MonoMax 乗り物オブ・ザ・イヤー】クルマ部門の大賞は「日本が誇る究極のマルチパーパスカー」に決定!
MonoMaxWEB
ヴェゼルがベストバランスか!? ヤリスクロスのハイブリッドも魅力的……200万円台で「失敗しない」おススメSUVベスト5
ベストカーWeb
東急の新しいデジタルチケットサービス「Q SKIP」の魅力
antenna
「新型スイフト」の無双を許してはならん!! ガチ勝負ができるハイスペックモデル5選
ベストカーWeb
「トヨタ プリウス Z」試乗レポート!カッコイイとエコを兼ね備えた奇跡の一台の魅力を深掘り
smart
限界に挑戦し続ける姿勢とサステナブルな価値観。ヨットレース「アメリカズカップ」に世界が熱視線を送る理由
antenna*
デカすぎ……レクサスLMは48インチのディスプレイ採用!! もう「高級車=セダン」は時代遅れ? 高額なミニバンやSUVが登場するワケ
ベストカーWeb
ノートシリーズで1番オトクなの「NISMO」ってマジか!! 国産コンパクトカー6台の「コスパ最強グレード」
ベストカーWeb
"木育"で自然の素朴さと温かさを感じ創造力が鍛えられる2in1木製三輪車 発売
PR TIMES Topics