「働き方改革」のプロが実践するメソッドとは?

2020.02.12 00:00
J-WAVE(81.3FM)の人気モーニングワイド「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」内で
様々な企業が取り組んでいる「働き方」から、これからの変化や未来を考える「RECRUIT THE WORK SHIFT」。1日のスタートに「新しい働き方」のヒントをシェアしています。

1月13日~16日の放送では、株式会社クロスリバー代表で、これまで529社、30万人のビジネスパーソンの働き方改革をサポートしてきた越川慎司さんが考える、「これからの働き方」のヒントをご紹介しました。

数多くの企業、社員の働き方を調査、分析した越川さんによると、約87%の企業が働き方改革に取り組む一方、成功している企業は12%程度と考えられているそうです。働き方の改革がうまくいっていない企業の多くは、AIやRPAといったテクノロジーを導入するだけで、働き方を変えられる、と考えている企業もいるようです。
こうした現状の中、越川さんが代表を務めるクロスリバーでは、特定の企業だけではなく様々な企業が「再現」できる「働き方仕組み・方法」を提案しています。そのキーワードが・・・「JITAN」です。
このJITANは、これまでサポートしてきた企業の事例などから見出したもので、分解すると、J = Justification、I = Identification、T = Time-Based outcome、A = Assessment、 N = No Exceptionという5つの「行動・意識」を示しており、この頭文字をとって「JITAN」と名付けられています。
番組では「会議」を例に具体的なアクションをご紹介して頂きました。
越川さんが携わってきた企業を分析すると、働く時間の43%が会議に費やされており、その内の4割が「目的」が決まっていない会議であることがわかったそうです。
こうした中で、実際に提案している会議のスタイルが「45分会議」というもの。もともと、多くの企業が会議の時間を1時間で設定していたそうですが、その場合、例えば、トイレ休憩の時間も考慮されておらず、次の会議が遅れてスタートするケースがほとんどだったようですが、たった15分、時間を短く設定することで、精神的な余裕も生まれ、時間的な余裕も生まれ、結果的に、生産性のある会議が増えたそうです。

この「余裕」は働く人の「心理的安全性」を生んでいるのかもしれません。その心理的安全性を、さらに効果的に生み出すアプローチの1つが「会議の冒頭2分間の雑談」です。
越川さんはご自身がサポートする企業の会議、約7000時間を録音、AIで分析、その結果から、会議は3つのスタイルにカテゴリできるとお話してくださいました。具体的には「情報共有をする会議」、「意思決定をする会議」、そして「アイディアを出す会議」です。生産性を高めるために必要な会議は、3つめの「アイディアを出す会議」となりますが、会議の冒頭に食べ物の話やスポーツの結果といったように、雑談をしてから会議を始めることで、会議で出されるアイディアの量が増えた、という統計結果が得られたそう。
こうした実績を含めて、越川さんは、現在、会議の冒頭2分間は雑談をすることを勧めているそうです。会議室をリラックスした雰囲気にデザインすることは、そこに参加するメンバーの「心理的安全性」を高める効果があるようです。
会議の他に、多くのビジネスパーソンが時間を割いていると考えられているのが「メール」です。労働時間の11%が、このメールに費やされている上に、メールの受信量は毎年8%ずつ増加する傾向にあるそうです。
今回、番組では、そのメールを効率的にするための方法として「C.C.のルール化」を紹介いただきました。情報共有のため、上司をはじめ、あらゆる人にC.C.でメールを送るケースが日常化している人も多いかと思いますが、このC.C.をルール化することで、長いスレッド上になった不要なメールを確認する時間を省くことができ、越川さんが関わった企業においては、メールの受信量を、11%も削減できたのだそうです。
メールの減量、これも働き方を豊かにする重要な要素の1つですね。
もう1つ番組が注目した越川さんが提唱する働き方のメソッドが「内円ワークショップ」です。
働く環境や条件、業務内容を「外円」と「内円」に分けていくと、例えば、労働に関する法律を変える、企業ビジョンの変更、組織の上司を個人の意見で代えてもらうなどの人事、といったことは、働く個人が自分の力だけでは変えられないこと=つまり「外円」にあたる要素。一方で、メールや会議、社内資料の作成といった要素は、自分で変えられること=つまり「内円」に入ります。この内円に入る要素は、やったままでは生産性や効果が分かりづらく、一週間に15分程度でも内省(振り返って検証する)時間を設けることが重要なのだそうです。こうした「内省」から見出した経験や仕組みを、内円ワークショップという形でチームや組織のメンバーと共有していくことも重要な働き方の進化を促すアプローチとなるようです。

4日間に渡ってご紹介した株式会社クロスリバー代表・越川慎司さんのお話から導き出したWORK SHIFTのヒントは
『 働き方改革 から 働き“がい”改革へ 』でした。
人生100年時代と言われる今、越川さんは、これからの重要なキーワードは「働きがい」の創出だとお話してくださいました。働きがいを構成する要素は「達成・承認・自由」。実際にクロスリバーが調査した中では、この3つの要素を感じていて働きがいをもっている社員は、そうではない社員と比べて45%も業務効率がいい、という結果が得られたそうです。働きがいをもっている社員は自分も幸せで、会社にとっても大切な存在ということでしょう。働き方という方法だけを追求するのではなく、これからは「働きがい」という意識の改革が、より重要な要素になってくるのかもしれませんね。
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